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» 2002年02月06日 12時00分 公開

CRMアプリケーション展望(2):CRMアプリケーションに求められる機能と製品動向 (2/2)

[鈴木崇,@IT]
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パーソナライズ、レコメンデーション

 パーソナライゼーションというのは、個々の顧客の好みやニーズに合わせて対応や提供する情報を変えることだ。レコメンデーションは“顧客に合わせて”という部分も含めて、提供側が積極的に行う商品の「オススメ」だ。いかに顧客の好みやニーズを知り、タイミングよく“オススメ”できるかがポイントである。

BroadVision One-To-One Enterprise

 パーソナライズという分野を開拓したのが、ブロードビジョン。「One-To-One」という言葉は同社の商標だ。その名を冠した「BroadVision One-To-One Enterprise」は、ルールベースによるパーソナライゼーションを行う製品。顧客の行動履歴を収集し、あらかじめ設定したルールにあてはめて、個々の顧客にマッチしたコンテンツをリアルタイムに提供する。企業内外ポータルプラットフォーム「InfoExchange」などCRMサイト構築の製品群がスイートとしてそろっているが、オープンスタンダードを標榜しており、他社製品に対してもオープン。同社は今後、エンタープライズセルフサービスをキーワードに製品開発をしていくという。

E.piphany E.5

 日本E.ピファニーの「E.piphany E.5」は本来3つのアプリケーションからなるCRM製品。この製品の特徴はリアルタイムパーソナライゼーション。インターネット上でのアクセス・ログや顧客の購買履歴、企業のマーケティング担当者などが設定したルールなど、さまざまな情報を継続的に学習しながら、Webサイト上でリアルタイムに顧客に対してレコメンデーションを行う。

ATG Dynamo 5.5

 「ATG Dynamo」は、“シナリオ”と呼ばれるパーソナライゼーション機能が特徴のWebアプリケーション構築プラットフォーム。同社ではこのシナリオによるソリューションを第3世代のパーソナライゼーションと位置づける。企業内ユーザー(マーケティング担当者など)は自らからの仮説に基づき、サイト上にイベントを定義し、顧客の反応を検証・分析して、イベントを修正するという作業を繰り返し行っていく。このイベントの定義・修正はワークフロー図型のインターフェイスでプログラミングなしに行うことができる。コンピュータまかせの自動化ではなく、マーケティングや販売の担当者が自ら使っていくツールである。

BroadVision One-To-One Enterprise ブロードビジョン
E.piphany E.5 日本E.ピファニー
ATG Dynamo 5.5 アートテクノロジーグループ

コンフィグレーション、セルフサービス

 コンフィグレーションというのは、「構成」というような意味だが、この場合は販売する商品やサービスの価格構成、商品構成の設定のことだ。商品オプションや価格体系などが複雑な商品をオンライン販売する場合では企業ユーザーがノンプログラミングでこれらを登録・更新できるようにするツールだ。

SalesPerformer Configurator 9.1

 ファイヤー・ポンドの「SalesPerformer Configurator」は、同社が提供するCRM製品「SalesPerformer Suite」の中核になるコンフィグレーションソフト。登録した商品の価格データなどの修正や商品組み合わせなどのルール記述をエンドユーザー(商品販売担当者)が行えるため、低コストかつ迅速な商品推奨・見積もりシステムなどが構築できる。従業員用の営業支援システムのほか、インターネットを介しての販売サイト構築にも利用でき、ユーザー企業は異なる販売チャネル間で整合性のある販売サービスを提供できる。

 旧バージョンからの最大の強化点は、SalesPerformer Pricer(価格管理エンジン)の強化。スプレッドシート型のインターフェイスで、一括価格改定、絶対額での指定、一定の範囲の金額のみの価格変更などが行えるようになった。Dreamweaverとの連携で、Web画面のカスタマイズも用意に行えるようになっている。

eGain eService Enterprise

 イーゲインジャパン「eGain eService Enterprise」は、電話、電子メールでの問い合わせやWebでのセルフサービスなど、複数のコンタクトチャネルを統合、自動化などを行うコラボレーティブCRM分野の製品。その中の「eGain Assistant」はWebブラウザ上のバーチャルなキャラクターに自然文で質問を入力すると、FAQ的な諮問であれば自動的に回答し、答えられないようなものであれば、コンタクトセンターのオペレータにエスカレーションするという製品。また、電子メールの自動対応を可能にする「eGain Mail」も注目。電話に比べて5倍以上かかるとされる電子メール対応コストの削減に役立つだろう。

SalesPerformer Configurator 9.1 ファイヤー・ポンド・ジャパン
eGain eService Enterprise イーゲインジャパン

一斉メール配信、オプトインメール

 電子メールは、マーケティング活動、カスタマ・リレーション活動を低コストで行うことのできるすぐれたツールだ。しかし、闇雲にメール配信をすれば、最近悪評がとみに高まっている迷惑メールとして、逆効果になりかねない。

 マス・マーケティングの延長線上にあるメール・マーケティングでは、メール・アドレスの入手、収集が最初のテーマとなるが、CRM(eCRM)では自社の顧客に対してメールを使ってコミュニケーションという位置付けになるだろう。であれば、なおさら顧客のニーズや好み、パーミッション(許可)に合わせて送信できる仕掛けが必要となる。

HDE Customers Care

 ホライズン・デジタル・エンタープライズの「HDE Customers Care」は、Linuxサーバで動作する電子メール配信を中核とするeCRMソリューション。1回の配信に対応できる最大数は仕様上では100万通で、150万通の配信実績もあるという。HDE Customers Careでは、顧客データベースと連動して顧客の名前などを差し込んでのメール配信、セグメントを分けての配信も可能。このほか、メールを配信した後のエラーメールの処理など、大量メール配信に特化した機能も備えている。

DARTmail

 メール配信ソリューションはASPで提供されるものも多い。ダブルクリックの電子メール配信サービス「DARTmail」も初期投資が少ないASP型サービス。1時間に100万通のメール配信を実現すると同時に、レポートティング機能によって、クリックスルー率、転送率、開封率、購買率を把握でき、最優良顧客の抽出も行えるなど、顧客のレスポンスを分析することが可能。

DE Customer Care ホライズン・デジタル・エンタープライズ
DARTmail ダブルクリック

コールセンター・ソリューション、CTI

 CRMへの取り組みで現在でも意外に熱心に行われているのが、電話による問い合わせへの対応強化(インバウンド)、そして電話を使った営業の強化(アウトバウンド)だ。こうしたコールセンターをCTIを活用して効率化したり、FAXやメール、Webでの問い合わせと齟齬のないようにデータを統合し、コールセンターをコンタクトセンターに進化させようというソリューションも顕著だ。

 電話がかかってきた段階で、ナンバーディスプレイによる発信者番号通知をもとに、発信者の情報をデータベース検索を行い、発信者のデータをコールセンターオペレータの画面に表示し、素早い対応をサポートするというのがポピュラーなソリューションだ。最近ではこのシステムにナレッジベースを組み合わせて、一度受け答えした質問&回答を検索できるようにしておくことで、派遣社員やアルバイトなど経験の少ないオペレーターでもFAQに関しては即座に答えられるようにするというソリューションが流行りである。

CTstage 3.0

 電話交換機メーカーである沖電気はやはり、電話関係のソリューションに強い。「CTstage」はグループウェアや他社CRMソフトと連動するシステムも含めて、多数の導入実績をもつ。最新版では、標準で電子メール、ボイスメール、FAXメールを一元管理するユニファイド・メッセージ機能も装備し、コールセンター以外に営業支援的なシステム構築にも役立つだろう。

Clarify eFrontOffice

 昨年末にアムドックスに買収されたが、それまではノーテルネットワークス傘下にあったCRMメーカーがクラリファイ。CTIと顧客管理ツールのインテグレーションによるカスタマサービス、ヘルプデスク分野に強い。同社の「eFrontOffice」は、問い合わせがあった場合、その記録と対応優先順位の決定を行い、事前に決定したルールに合わせての問い合わせのエスカレーションと自動通知などを行うことで、顧客からの問い合わせ業務を総合的に行うことができる。

Genesys Suite:G6

 ジェネシスは、オープンなCTIミドルウェアのベンダーとして評価の高い会社だが、同社の「Genesys Suite:G6」は、コールセンターの効率的な運用管理を支援する製品。コンタクトセンターの目的に沿ったビジネスルール定義を行ったり、スタッフ配置、スケジューリング、現在の任務状況の表示など要員管理機能、アウトバウンドの場合のサポート機能などが1つのフレームワークの上に選択的に追加できる形で提供されるソリューションだ。

CTstage 3.0 沖電気工業
Clarify eFrontOffice 日本アムドックス
Genesys Suite:G6 ジェネシス・ジャパン

OLAP、データマイニング

 アナリティカルCRMというと出てくるのがOLAPとデータマイニングである。

 OLAP(On-Line Analytical Processing)とは、 データウェアハウスなどに蓄積した大量の元データを多次元データベースに格納し、さまざまな角度から分析し、新たな知見を得るというシステム。例えば、第1次元に売り上げ金額、第2次元に時期、第3次元に場所、第4次元に商品の出荷数などと定義すれば、4次元からなる分析が可能になる。これをいろいろな切り口で表示、比較することで新しい発見や確認を行う。

 一方のデータマイニングは、大量のデータから統計的手法を使って、そのデータ間に何らかかの関係性を発見しようというもの。顧客セグメンテーションや併売分析などに利用される。

Teradata CRM Solution Version 4

 日本NCRの「Teradata CRM Solution Version 4」は、プロファイルや履歴データなど、顧客に関するあらゆるデータを統合管理するデータウェアハウスを中核に6つの製品グループから構成される統合アナリティカルCRMソリューション。最初からCRMのためのソリューション提供を目的に構成されたアプリケーションなので、顧客の将来行動予測を確率で数値化する機能や個々の顧客に対する最適なコミュニケーション回数の算出・管理機能などが用意されている。

Clementine 6.5

 SPSSの「Clementine 6.5」は、GUIによる操作とテンプレートにより、統計の専門家でないビジネスマンでもデータマイニングを活用できるように設計されたデータマイングツールだ。最新バージョンの6.5から、追加分析系CRMを実現する「CRMテンプレート」が追加され、「利益率の高い顧客を見つけ出す」「既存顧客からの収益を増加させる」「離反顧客を減少させる」などの分析系CRMプロセスを最小限のカスタマイズで利用できるようになっている。

Teradata CRM Solution Version 4 日本NCR
Clementine 6.5 エス・ピー・エス・エス

Web訪問者解析

 Webでオンラインショップなどを行っている場合、アクセス数やページビューといった指標を見ていくことが求められる。

WebTrends

 現在、Webログ解析ツールの定番といえる地位にあるのが、ネットアイキューの「WebTrends」シリーズだ。Webサーバのログファイル解析から、訪問者の振る舞いの分析まで、複数の製品がラインナップされている。

NetGenesis5

 米SPSS社に買収されて、SPSS CustomerCentric Solutions事業部となった米NetGenesisのハイエンドWebサイト分析ツールが「NetGenesis5」である。「NetGenesis5」は、Webサイトのログデータの収集・管理・レポートのほか、OLAP分析機能を備え、顧客情報などの外部データも統合可能。訪問者がどのような順番でサイト内のページを見たのかがトラッキングできる。

OPTICIAN

 ネットイヤーグループの「OPTICIAN」は、国産のWeb訪問者行動分析ツール。マーケティング担当者用のツールとして開発され、サーバのログではなくネットワーク上のパケットを取得することでユーザー行動をトラッキングする。このため、Webサーバに負荷をかけない。OPTICIANでは、“クリックストリーム”という指標を重視する。これはサイトを訪れた人がたどったページの流れで、サイトの内のページをグループ化し、グループ別のクリックストリームを見ることで、ユーザー全体がどのように動いているかという“傾向”を把握できるという。「木ではなく、森を見るツール」(ネットイヤー横江淳次氏)であり、マーケティング担当者が意図した導線と、実際のユーザーが行動した動線のずれを視覚的に表示することで、バナーやキャンペーンの有効性を検証できるようになっている。

WebTrends NetIQ
NetGenesis5 伊藤忠テクノサイエンス
OPTICIAN ネットイヤーグループ

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