現在のような低成長時代に企業が生き残るには、業務の効率化や意思決定のスピードアップが重要であることは間違いない。経営の動脈を担う企業情報システムの観点から言えば、目的ごとに独立して構築された業務システムを、いかにスムーズに連携させられるかが問われているのではないだろうか? 本稿ではBusiness Computingフォーラムが実施した第1回フォーラム読者調査から、システム連携についてのニーズやその進行状況を検証する。
まず読者がどの程度システム連携の必要性を感じているのか聞いた結果が、図1だ。回答者全体のおよそ6割が「現在必要性を感じている」、同3割が「将来的には必要になる」と答えており、企業情報システムにおける連携ニーズの高まりが明らかになった。
システム連携にあたっては、既存の業務システムを変更せずに連携を実現していく方法に加えて、最近ではERP/CRM/SCMなどの統合業務パッケージを導入する方法もある。読者が関わるシステムの考え方に近いものを選んでもらったところ、「既存システム連携」選択者が全体の半数を占め、「統合業務パッケージ導入」を大きく上回った(図2)。投資効果が厳しく問われる経済環境も影響してか、既存システム資産の有効活用が今後も求められそうだ。
ではシステム連携は現在どの程度実施されているのだろうか? 読者が関わるシステムの状況を尋ねた結果、全体の45%が「全社」または「特定システム間」で連携を進めていることが分かった(図3)。また「今後連携を予定/検討中」との回答も3割を超えるなど、図1で見た必要性認識を実現する形で、今後ともシステム連携事例が増えていくと思われる。
さて後半では現在システム連携を進めている(または予定/検討中)の読者を対象に、具体的な連携内容や方法について聞いた結果を紹介していこう。
まずシステム連携を進める際、連携の対象となるシステムの内容を聞いた結果が図4だ。「グループウェア/ナレッジマネジメント/社内ポータル」を筆頭に、「特定業種/業務用システム」「メインフレーム上の基幹システム」が続いている。システム分類でいうところの、情報系/業務系/基幹系が漏れなく連携対象となっている模様だ。「グループウェア〜」はもともと情報や知識の共有・交換を目的としているだけに、システム連携の要として用いられる機会も増えそうだ。
次にシステム連携に利用するツール/手法を尋ねたところ、FTPなどの伝統的な手法を上回って、「アプリケーションサーバを基盤とした統合ツール」がトップに選ばれた(図5)。アプリケーションサーバはWebシステムのロジック層を担うことで成長してきたが、データベース/TPモニタ対応などのエンタープライズ機能が進化したことにより、今後システム連携においても中心的な役割を期待されているようだ。
最後に読者がシステム連携を行う際の課題について聞いた結果、もっとも多く挙げられたのは「システム連携のための技術/スキル習得」であった(図6)。システム連携自体が新しい試みであるため、まずは技術者本人のレベルアップが求められているようだ。当フォーラムではシステム連携の実情と可能性に関する企画、特集「EAIで目指す統合ソリューション」の掲載を開始したので、こちらもぜひご参照いただきたい。
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