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» 2004年05月22日 12時00分 公開

特別企画 外部リソース活用 :失敗しないコンサルタント利用の秘訣 コンサルタントの探し方、選び方、付き合い方 (1/2)

ITアウトソーシングはいまや珍しくないが、戦略立案やプロジェクト推進などでも、うまく外部の知的リソースを活用できれば効果的だ。ここではコンサルタント・マッチング業務を行っている著者が失敗しないコンサルタントとの付き合い方を伝授する

[樋笠 耕治,@IT]

 社内のプロジェクトを進めるに当たって、外部のコンサルタントを活用するケースが増えている。このような場合、選定基準として「技術的なスキル」に注目するのは当然だが、それ以外にも見落としがちなポイントも多い。そこで情報担当者が、実際に外部のコンサルタントを選定する手順に沿って、失敗しやすいポイントを具体的に探ってみたい。

依頼前の準備〜フィージビリティ・スタディ〜

 まず解決すべき課題に対して、コンサルタントの活用が適切かどうか、検討する必要がある。課題解決の選択肢には、「社内で解決する」「人材を採用する」「業務委託する」などがあり、相互に検討することになるだろう。コンサルタントを活用するメリットを享受するためには、以下のような条件が満たされているのが望ましい。

  • 社内では解決が難しい
  • 必要な人材の採用や育成が困難
  • 業務委託には不向きである
  • 非定型的な業務でクリエイティビティが要求される
  • 外部専門家の客観的な見識やアドバイスが必要
  • 緊急または時間的な制約がある
  • 予算に合う

 ほかの代替手段よりも、コンサルタントの活用が得策であると判断した場合、具体的な候補先の選定へと進めるべきである。

 とくに予算、費用対効果は一番気になる点だが、正しくコンサルタントを選べば、社内で多大な時間と労力を掛けるよりも、かえって廉価でスピーディに効果を上げるケースが多い。内部コストは意外と高くつくものである。

 また、自社の課題自体が不明りょうでそれ故にコンサルティングを依頼したい場合は、予備的な診断(簡易アセスメント)と、正式依頼との2段階で検討するのも一法である。どうしたらいいか分からない、意思決定が不能な状態のままで、いたずらに時間を浪費すべきではない。

依頼候補の選定〜指名発注の弊害〜

 どのような購買・調達活動でも、1社指名による発注はリスクを伴う。指名発注は、信頼関係の下、スピーディに物事を進めることができるメリットもあるが、弊害も大きい。例えば次のような問題が起こりやすい。

  • 割高な見積金額を出される
  • 比較対象がないため、評価基準が甘くなる
  • なれ合い関係によりコミットメント意識が薄れる

 要するに「真剣味が薄く、品質の良くないサービスを高値で買ってしまう」結果となる。

 この企業間競争が厳しい時代、最適購買には「比較」が欠かせない。たとえ長い取引関係がある候補先があったとしても、緊張感を持ってプロジェクトに臨んでもらうためにはコンサルタントを複数の中から選定することが必須条件である。

 コンサルタントの候補先の選定に当たっては、インターネットのカテゴリ・キーワードによる検索やアウトソーシング系のポータルサイトなどから探すことができる。例えば、「コンサルタント」というキーワードと、課題となるテーマの「キーワード」を掛け合わせて検索したり、Yahoo!のディレクトリからテーマをたどって探したりするのが一般的である。正攻法で探しにくい場合は、詳しい人に質問するタイプの「はてな」などを活用する方法もある。

 なお、コンサルタントは同じ組織に所属していても、個人の能力に大きな違いがある。間違っても「社名」や「ブランド」、「大手だから」といった理由で選ぶような愚を犯してはならない。

 候補先が複数見つかった場合は、1次選考の意味を含めて、まずは問い合わせを行う。文書化することが望ましいので、電子メールは簡便でお勧めできる。

 この際、注意するポイントは、「自社の機密事項に注意して質問する」「質問項目をあらかじめ決めておく」「候補先には同じ条件・内容で質問する」などである。少なくとも以下の項目は必要だ。

  • 自社の概要(業種、規模、地域)
  • 自社の現状と課題
  • 自社が想定するあるべき姿(こうしたいというゴール)
  • 自社が想定するコンサルティング期間
  • 自社が想定する概算予算
  • 自社が想定する課題の優先順位
  • コンサルタントの得意分野、守備範囲(内容・予算・期間)
  • コンサルタントの類似または参考になる事例・経験の有無(ある場合はその概要)
  • コンサルタントのそのほかのPRポイント

 上記はすぐに自社では提示しにくい項目もあるが、あくまでも依頼時点での考えであると断ったうえで、条件を提示した方が、コンサルタント側は答えやすい。

 返答の評価は、「質問に対する的確な答えが返ってきたか」という内容はもちろん、仮説立案能力、想像力、レスポンスの速さ、誠実さなども判断材料とすべきであろう。なお対象となる候補先が多過ぎる場合は、サイトの情報から良さそうな候補先を任意に判断すればよい。

説明会〜成果のハードルを明確に〜

 候補を絞り込んだら、自社の要望を伝える「ミニ説明会」を開催する。機密事項が含まれる場合は、事前に機密保持契約(NDA)に署名してもらおう。

 依頼事項を伝える際には、必ず以下の要素を明確にする。

  • プロジェクトの背景
  • 目的
  • 成果目標
  • 期間・スケジュール
  • 予算
  • そのほかの要望事項

 特にコンサルティングでは、成果の定義があいまいであれば、失敗する危険性を大いにはらんでいる。成果目標は可能な限り、数字で評価するようにしたい。

 また説明会では、コンサルタントの着眼点、関心事、質問能力を本提案の前にチェックしておこう。「会話が弾まない」「かみ合わない」ケースは、たとえ経歴書が素晴らしくとも依頼を避けた方が無難である。

 同様に形式的な説明や表面的な質問、自社PRに終始するケースも危険である。こういうコンサルタントは、自社の利益には関心があるが、クライアントの課題解決には関心がない。課題に対して突っ込んだ、本質的な質問がなされるケース、課題に対して真摯(しんし)な関心が感じられるなら、有望だといえるだろう。

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