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» 2004年05月22日 12時00分 公開

失敗しないコンサルタント利用の秘訣 コンサルタントの探し方、選び方、付き合い方特別企画 外部リソース活用 (2/2 ページ)

[樋笠 耕治,@IT]
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プレゼンテーション〜提案書の行間を読む〜

 説明会を経て、コンサルタントからの提案を受ける場を設定する。偏った判断に陥らないように、必ず複数名でプレゼンテーションを受けよう。時間は、質疑を含めて1社当たり1時間程度が適当であろう。

 提案された内容は、以下のポイントに留意してチェックしよう。

  • 自社の要求に対するソリューションが提示されているか
  • 実行プロセスは適切か
  • 付加価値の高い提案が盛り込まれているか
  • 目的・手段など論理的に妥当性があるか
  • リソースの制約を含めて実行可能性は高いか
  • 担当コンサルタントの技術力、経歴、過去の実績

 本質に関係のない「関連資料」や「関連データ」で埋め尽くされている資料は、たとえ見栄えが良くても、コンサルティングは没個性的で画期的な成果はおそらく期待できない。

 コンサルタントの提案書は、書いてあることも重要だが、書いていない部分に着目するといろいろなことが見えてくる。特に複数の提案書を比較すれば、違いが非常に分かりやすいはずだ。

 一般的に、依頼企業の課題や問題点を丁寧にトレースしながら、具体的なソリューションにつながっている提案は優れた成果が期待しやすい。半面、依頼企業の課題にはあまり触れず、コンサルタント側の一方的なソリューションで埋め尽くされている提案書は要注意だ。相手の事情をあまり顧みず「独り善がり」な仕事になりやすい。

 さらに、説明能力、説得力などのプレゼンテーション技術にも着目してみよう。特に共同作業を多く伴うケースでは、コミュニケーション能力、リーダーシップ能力、社風との相性なども考慮したい。

 コミュニケーション能力の高いコンサルタントは、よく人の話を聞き、なおかつ主張も分かりやすくしっかりと伝えることができる。リーダーシップ能力の高いコンサルタントは、進むべき手順を明示し、細かい連絡・約束事もキッチリと要求し、伝えて、任せて安心できる印象を与える。社風との相性では、世代のギャップや性格のギャップが乖離し過ぎない方がいい。理由は説明できないが、何となくイヤな感じを受けたら、人間関係で問題が起きる可能性が高い。

契約とトラブル回避〜転ばぬ先のつえ〜

 プレゼンテーションを終えたら、直感的におおよその候補は絞られているはずだ。しかし担当者同士でもう一度、冷静に評価項目を議論してみよう(前項「プレゼンテーション」参照)。

 良さそうに見えて、実際に失敗するケースの例として、「しゃべりはうまいが、実際の内容に乏しい」という場合がある。プレゼンテーションの雰囲気で良いと感じるが、能力以上に期待してしまうので、導入後のアウトプットに不満が生じやすい。

 このような事態を回避するためには、他社で扱った事例の「報告書」を見せてもらうのが確実である。機密保持契約があるので容易ではないが、社名や具体的記述で支障ある部分をカットしてもらって、その場で見るだけ、という条件で頼んでみよう。

 プロジェクトの集大成である「報告書」の内容が、「あれっ?」と首をかしげる内容であれば、同じことが起こる可能性が高いといえる。特に構造上の欠陥(例えば、結論を導くための必要な分析がなされていないなど)がある場合は、基本的な技術が不足しているはずである。

 依頼先が決まったら、「すぐ頼みます」などと絶対にいわず、「有力な候補先として条件を交渉したい」と打診しよう。提案の中で不必要な部分をカットしたり、細かい要望を加えて、修正した最終提案の作成依頼を行う。このとき、予算の交渉も重要である。不当な値引き要求は、コンサルタント側のモチベーション低下につながり、商行為としてもフェアではないが、きちんと理由を説明し相手の要求も考慮したうえで、コストダウンの要請を行うことは交渉技術として重要である。

 契約の締結に当たっては、業務内容、成果物、期間などを明確に記し、さらに自社側の意向や不測の事態によるコンサルティングの中止条件など、リスクを回避できる内容にしておくのが望ましい。特に重要なのが、中止条件である。依頼主の事情により、通知後2週間程度でコンサルティングの中断ができる条件にしておき、フィーの支払いも月次ベースでの決済にしておくのが安全である。プロジェクトの途中であれ「期待外れ」「まったく成果が出ない」という最悪の事態もあり得ると想定しておこう。

 また、カットオーバー後に当初想定していた成果が発揮できない場合(例:システムが稼働しない)など、最悪のケースを想定して、いわゆる「瑕疵担保条項」を盛り込んでおくべきである。この場合は、客観的に予見、判断できる基準を設けて、このケースでは費用の50%を割り引くなど、具体的に定めた方が良い。

 通常、このような交渉はいいづらいものだが、しっかりと説明して、お互いのリスクを明確にするためと、コンサルタントにも納得してもらおう。「私を信用できないのか!」と感情論になるコンサルタントは、最初から依頼すべきではない。

 運悪く、重大なトラブルが発生した場合、放置は禁物である。それがコンサルタントの能力に起因すると判断した場合は、一刻も早く契約を中止してほかの手段を探そう。関係がこじれたコンサルタントを説得して成果を上げるのは至難の業だ。リカバリーの時間や労力を考えると、依頼先を変えた方が良いとアドバイスしたい。

進ちょくチェック〜心理的な緊張感を保つ〜

 コンサルタントによるプロジェクトがスタートしたら、定期的なミーティングの開催と、業務報告(レポート)を要求しよう。この報告内容は、プロジェクト・マネジメントのセオリーに基づいて、当事者であるコンサルタントとプロジェクトリーダーで開始時に設計しておくのが望ましい。特に半年を超える期間ではマイルストーンを確実にクリアしているかチェックすることが重要である。

 定量評価はもちろん、プロジェクトメンバーによる定性的な評価項目もあらかじめ盛り込み、途中で評価・フィードバックする仕組みを作っておけば、目標から大きく逸脱することを防ぐことができる。この部分を詳しく知りたい方にはプロジェクト・マネジメントの標準であるPMBOKのガイドラインを参考にされることをお勧めする。

 通常、コンサルタントは複数の顧客の依頼テーマを、同時に動かしていることも多い。このときに注意したいのが、費用(コンサルティングフィー)と投入時間(または投入価値)は、必ずしも一致しないことだ。コンサルタントも人間であるから、限られた時間の中、自分が関心の高い仕事には、より多くの手間暇を掛けるものだ。

 つまり依頼側としては、コンサルタントに対して、「これは面白い仕事だ」と本気になって取り組んでもらえる環境作りが極めて大事なのだ。これは非常に泥臭い話なのだが、「熱意」に勝るエネルギーはない。依頼側では、どうやってコンサルタントに「情熱」を傾けたプロの仕事をしてもらうか注力すべきなのだ。

 たとえ直接会えない状況でも、電子メールや電話で次にような細かい配慮を行うのが有効である。

  • コンサルタントに質問する
  • コンサルタントに相談する
  • コンサルタントを褒める
  • コンサルタントを褒めている他人の評価を伝える
  • コンサルタントと定期的に連絡を取る

 頼りにされてうれしくない人間はいない──ということだ。要望を出すときには、褒めた後に「この部分はこうしてもらえると一層うれしい」という形で伝えるのが効果的だ(専門家としてのプライドが高い人間も多いので、あからさまに間違いを指摘するのは要注意)。

 間違っても、業者を上から下に見下すようなもののいい方をしてはならない。しかし、過剰にちやほやとあがめる必要もない。対等にプロフェッショナルとして敬意を持った付き合い方をすれば、優秀なコンサルタントなら、必ず対価以上の成果を生み出してくれるはずである。

(了)

著者紹介

▼著者名 樋笠 耕治(ひがさ こうじ)

大阪生まれ。大阪外国語大学卒業。リクルート、コンサルティング会社を経て、現在、有限会社コンサルジェント代表。中小企業診断士。「経営堂」という経営コンサルティングの選定代行・マッチングサイトを運営している。

経営堂http://www.keieido.net/


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