usability / useability / 使いやすさ / 使い勝手
コンピュータを含むさまざま機器、ソフトウェアやWebサイトなどをユーザーがその使用方法などを理解して、快適かつ効率的に使えること。一般的に「使いやすさ」「使い勝手」を意味するが、有用性、利用性、利便性、可用性、使用可能なことといった訳語が与えられることもある。
もともとは英語の「usable/useable:使用可能な」の名詞形で、「useful:役立つ」とは異なり、「使い方が分かりづらい」「操作が面倒」といった不便さがない(少ない)という面を表す言葉。
どのくらい容易に目的を達成できるか、その製品が持つ機能・性能を十分に引き出すことができるかといったユーザーにとっての有効性、効率性、満足度を示すもので、操作性(取り扱いやすさや誤操作の防止)、認知性(直感的な分かりやすさ)、快適性(心地よさ)、安全性(危険や致命的間違いの防止)などが含まれる。
国際規格ISO 9241(VDTを用いたオフィス作業の人間工学的要求事項)による定義では、「ある製品が、指定されたユーザーによって、指定された利用状況において、指定された目標を達成するために用いられる際の有効さ(effectiveness)、効率(efficiency)、およびユーザーの満足度(satisfaction)の度合い」とされている。ユーザビリティの国際規格であるISO 13407(インタラクティブシステムのための人間中心設計プロセス)の定義もこれに準拠する。
コンピュータ分野では、HCIやヒューマンインターフェイスに関連して使われていた用語で、1980年代から1990年代までは、使いにくさ解消の活動として位置付けられていたが、1990年代後半あたりからISO 9241/13407の定義のような、より積極的な意味合いが与えられるようになってきている。
コンピュータ機器やソフトウェア、Webページなどを実際にユーザーに使用してもらい、操作の迷いやミスを実測したり、ヒアリング、アンケートしたりするなどして定量的な調査を行う活動を「ユーザビリティテスト」という。企業情報ポータル(EIP)の構築に当たって、業務効率を上げる画面設計のためにこうしたテストを行う場合も多い。
前述のISO 13407の周辺文書 ISO/TR 16982では、12種類のユーザビリティ評価手法が紹介されている。
なお障害者福祉の分野でも、1980年代後半からアクセシビリティ(accessibility:接近可能性)と対の形で、ユーザビリティという概念が使われている。こちらは“使いやすさ”よりも“きちんと使えるか”“安全に使えるか”という面を強調するニュアンスがあり、英語表記として「useability」が使われることが多い。
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