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» 2004年09月16日 12時00分 公開

ここまでやればRFP作成工数は削減できるシステム部門Q&A(13)(3/3 ページ)

[木暮 仁,@IT]
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用語定義集を作る

 上記の用語は、情報システムでの「項目」になります。それで以降は「用語」と「項目」を同じ意味で用います。

 用語の定義をするとともに、それを定義集としてまとめておきましょう。それには、次のような内容を記入します。当面は Excel文書でよいでしょうが、将来的にはデータベース化して社内の誰もが参照できるようにする必要があります。

・外部項目名

 「得意先」や「商品」など人間が使う日本語での名称です。画面や帳票の項目名としても使います。これを情報化に限定せず、日常業務での共通語とすることが望まれます。

・内部項目名

 内部項目名は、コンピュータ内部の変数名ですので、ベンダに任せた方が適切だと思われるかもしれません。しかし、外部項目名が「得意先」なのに、内部項目名が kokyaku というのではトラブルの原因になります。自社でもプログラムの修正をする必要もありましょうし、エンドユーザ・コンピューティングの普及により、利用者が内部項目名を知っている必要があります。主要項目に関しては、自社が命名するべきです。

 また、得意先コードがtokui-code、商品コードがshouhin、得意先名称がkokyakuname、商品名称がsyohin_nなどとバラバラなのは不都合です。例えば、コード項目は単に tokui や shouhin とし、それらの名称項目は tokui_n や shouhin_n とするといった命名基準を作りましょう。

・定義

 これは上述しました。利用者やベンダにとって分かりやすい表現にすることが大切です。

 このほかに、次のような事項もあると便利です。用語定義集とは別途の資料にする方が適切かもしれません。

・上位・下位項目の関連図

 例えば、得意先(○○電器)には、いくつかの納入先(△△店舗や□□店舗)があり、各店舗は唯一の得意先に属するという「1:N」の関連があるとき、得意先を上位項目(親)、納入先を下位項目(子)といいます。もし、府県別集計をするとき、店舗の存在する府県を用いるのであれば、府県が店舗の上位項目になります。

 すなわち、下位項目を(「△△店舗」と)特定すれば、一意的に定まる項目(得意先や府県)を上位項目といいます。これをER図やクラス図のような図法で整理しておくと、コンサルタントやベンダが理解するのに便利です。

・概念の上位化

 例えば、売上、出荷、転送など(これに仕入も加えることもできましょう)を“モノの動き”という上位概念で整理すると、漏れが生じませんし、定義が明確にできます。

社外への流出
  代金を伴うもの(売上)
  伴わないもの (見本提供など)
社内での移動
  管理単位間移動(支店間での移動など)
  管理単位内移動(工場内置き場間の移動など)
社外からの流入   代金を伴うもの(買い戻しなど)
  伴わないもの (返品など)
移動を伴わない増減(保管中増減)

コード体系を設定する

 得意先や商品などにはコードを付けます。コードは業務に密着していますので、自社でコード体系を設定する必要があります。コードの付け方での留意点を掲げます。

a. コードの順序が出力順序になる

 商品別売上一覧表などを出力するとき、その出力順序は商品コードの昇順になります。それが業務の慣習に合致していないと、非常に使いにくいものになります。

b. コードで仕分けする

 例えば売上ファイルから菓子類のデータだけを抽出したいとき、if 商品コード="○○" or "△△" or "□□" ……というように、菓子に属する品名を羅列するのは大変です。もし、商品コードの頭1けたが商品大分類であり、菓子類が「5」であるならば、if 商品コードの頭1けた="5" とすればよいことになります。

c. 変更に耐えられるコード体系にする

 現在では商品大区分の個数が8個でよいので1けたにしたところ、将来、取り扱い分野が拡大して区分が増加するとコード体系を変更することになります。商品コードは多くのファイルに存在するので、そのコード体系の変更は大規模な作業になり、現実には変更できなくなります。また、コード変更をすると、経年的な情報を得ることが困難になります。

d. 覚えやすいコード体系にする

 利用者がデータを入力するときは、商品名ではなく商品コードで入力することが多いのです。そのたびにコード一覧表を参照していたのでは仕事になりません。覚えやすいコード体系にして、けた数も短いことが望まれます。それには、コードにあまり意味を持たせるのは不適切です。

e. コード項目の設定をする

 上記のように、商品コードに多様な区分を取り込むのは不適切です。むしろ、商品系列や管理区分などは別のコード項目として設定するのがよいのです。出力系の大部分は、売上ファイルのような累積ファイルを、得意先マスタや商品マスタなどのマスタファイルのコード項目により選択・分類・集計する処理になります。ですから、コード項目を設定するということは、データをどの切り口で加工するのかを決めることだともいえます。

 コンサルタントやベンダに依頼する以前に、自社でできること、自社が行わなければならないことを説明しました。何をしたいのかを決めること(経営戦略の策定)を自社が行うべきなのは当然ですが、ここでは用語統一の重要性について強調しました。これは、あまり気付かない事項なのですが、これが原因で発生するトラブルは多く、しかも深刻な事態になることが多いのです。また、コンサルタントやベンダが多くの時間を費やす作業であり、これを自社で先行作業することは、期間の短縮や費用の削減に大きく影響します。

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筆者プロフィール

木暮 仁(こぐれ ひとし)

東京生まれ。東京工業大学卒業。コスモ石油、コスモコンピュータセンター、東京経営短期大学教授を経て、現在フリー。情報関連資格は技術士(情報工学)、中小企業診断士、ITコーディネータ、システム監査、ISMS審査員補など。経営と情報の関係につき、経営側・提供側・利用側からタテマエとホンネの双方からの検討に興味を持ち、執筆、講演、大学非常勤講師などをしている。著書は「教科書 情報と社会」「情報システム部門再入門」(ともに日科技連出版社)など多数。http://www.kogures.com/hitoshi/にて、大学での授業テキストや講演の内容などを公開している


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