RFPはシステム開発プロジェクトにおいて重要な役割を果たすが、限られたコストと期間の中、RFP作成にばかり工数を掛けるわけにもいかない。そこで、全体の開発工数を削減するために、RFP作成に当たり先行してやるべき作業を挙げていこう。
RFP作成工数を抑えるために、やるべき作業は何か?
先のRFP(提案依頼書)の関連質問です。RFPの作成や提案書の検討にはコンサルタントの活用が必要だとのことでした。また、ベンダが決定した後で開発するべき情報システムの要求分析が重要であるが、それにかなりの時間がかかると聞いています。開発期間や費用を削減するために、自社でできることは自社で行いたいと思います。情報関連の専門家がいなくてもできること、するべきことを教えてください。
ご質問のように、システム化の検討、RFPの作成、システム開発の段階でも、自社でなければできないことがあります。それを事前に自社でやっておけば、コンサルタントやベンダが説明する作業が低減しますし、そのような作業をコンサルタントやベンダに依頼する費用も削減することができます。しかも、それらを自社で行うことにより成熟度が向上します。当初は専門家の指導を受けるにしても、次第に自社でできるように知識の移転を図る必要があります。
情報化以前に、自社は何をして利益を上げるのかを考えること、すなわち経営戦略を策定する必要があります。これは、自社が行わなければなりません。
自社の経営理念や沿革、経営者の関心事、組織図、過去数年間の財務状況、主要な製品の状況など自社経営資源の状況、市場の動向や競争企業との関係などの経営環境などは、コンサルタントが自社の状況を理解するために必ず要求する事項です。これらは、経営を行うのに不可欠なことですので、日常的に整理しておき、社内全員が理解できるようにしておきたいものです。
受注から調達、生産、販売にわたる業務の流れを一覧して分かるような図を作成しておきましょう。規模の小さな中小企業では、このようなことは頭に入っていると思われがちですが、実際に描くと気付くように、案外分かっていないものです。それだけではなく、これを実際に調べて描いた図を眺めることにより、業務の流れや組織に不合理な部分を発見できることが多いのです。
図の描き方には、DFDやシーケンス図などの図法がありますが、必ずしもそれらに準拠する必要はなく描きやすい方法でよいのですが、これらの図法は優れたものですし、コンサルタントやベンダもこれらを使っていますので、後になっても役に立ちます。当初はコンサルタントの指導を受けてこれらの図法を習得するのがよいでしょう。
経営戦略の策定に関しては、自社の状況と自社が置かれている環境を認識するためのSWOT分析やポジショニング分析、自社を取り巻く多様な競争環境を認識する競争モデル、何に注力すればどのようなプロセスで利益につながるかを分析するインフルエンスモデルなど多様な技法があります。
これらの技法はポピュラーですし、その考え方は比較的単純ですので、多くの図書で紹介されています。しかし、実際に効果的な運用をするにはそれなりのテクニックがありますから、当初はコンサルタントの手ほどきを受けて技法を習得するのが適切です。
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