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» 2005年06月28日 12時00分 公開

IT人材不足に中小企業が対処する方法中小企業に効くクスリ(1)(2/3 ページ)

[赤秀有為,エフィジェント]

大切なのは上流工程

 必要な人材が洗い出された後は、今回の本題である人材確保・配置作業である。以下、ポイントベースでのソリューションを解説する。

ポイント1:社員をコア・上流工程作業に配置

 ソーシング戦略を策定する。ソーシング戦略とは、全社で保有する人的リソース(アウトソースを含む)の配置最適化である。どの作業をインソースで賄い、どの作業をアウトソースで賄うかが大きなポイントとなる戦略である。

 ソーシング戦略の策定では、洗い出された必要な人材に対して、保有する人的リソースをマッピングしていく。マッピングを実施するに当たって、方針とすべき考え方を図2に示した(例とする企業のコア機能を図のとおり、販売、マーケティングといった順に位置付けている)。

ALT 図2 ソーシング戦略に関する考え方のイメージ

 企業が中長期的に存続・発展していくためには、コアコンピタンスを高めていくことが重要であることは理解できると思う。

 また、IT化ライフサイクルのプロセスでは、先行する工程における作業成果が後工程に大きな影響を及ぼすため、効果的なIT化を目指すうえでは先のフェイズがより重要な作業であって、向き不向きは別としてもその会社の中核的人材が担当すべきものである。すなわち、売れないWebショッピングを企画して、必要以上に複雑な設計を行い、不具合の多い開発をしておいて、それを優秀な人材が運用するのは、はなはだ非効率である──ということだ。

右下領域

左上領域


 図における右下領域(A)から左上領域(B)に向かって、機能・工程の観点から作業の重要度が高くなる。また、各作業は1度きりのものではなく、企業が存続する限り基本的には続いていくものである。そこで、重要な左上領域を“作業経験・スキルは自社に残らない”アウトソース先に任せるのは自殺行為といっても過言ではない。この領域は、社員が経験・スキルを会社の財産として蓄積していくべき領域である。

 IT人材の不足した中小企業では、下流工程である運用・保守作業に追われ、慢性的に上流工程である企画を担当する人材が不在もしくは十分な検討時間を確保できない場合が少なくない。確かに、企画を行わなくてもIT運営は成立するが、企業の存続・発展に向けて多大な貢献をもたらすIT効果をこれ以上あまり期待できない。

 右下領域(A)の作業を“経験・スキルを自社に蓄積できる”社員が担当している場合、アウトソース先の活用ならびに社員教育(研修やOJTなど)を施し、左上領域(B)に異動させてコアコンピタンスを高めていくように取り計らっていくべきである。

社内ITスタッフに求めるべきは、ITスキルではない

ポイント2:社員を支援するコンサルタントの活用

 「重要な作業に社員を配置することは、理屈では分かる。でも、いまの社員の経験・スキルでは……」とお悩みになる経営者・管理職の方もいるかと思う。また、より重要な業務をIT化しようとすると、その業務の重要さに比例して扱うITの範囲が広くなり、それに伴って担当者のITスキル要件のハードルが高くなることも事実である。

 中小企業では、IT人材のみならずどの業務でも人材が不足しているのが一般的だ。そのため、IT担当者は、ほかの業務──例えば総務であったり、自社の製品開発であったり、とまったく畑違いのスキル要件を要する仕事を兼任している場合が少なくない。

 また、ここ最近のIT技術の目覚ましい進展によって、IT担当者に求められるスキル要件が多様化し変化も激しい。ただでさえ、業務を兼任し忙しいIT担当者が、これらの最新IT知識を知っていて最適なITソリューションを提案できるという要件を満たすことは困難である(一時的に満たしたとしても、それを満たし続けることは不可能だといえる)。

 社員には、ITに関する詳細テクニカルスキルやそのほか、すべての要件を求めるべきでない。求めるべき必要最低限のスキルは下記2点である。

  • (自社の抱える)問題発見・認識スキル
  • 論理的思考・問題解決スキル

 では、詳細なテクニカル情報などが必要な場合はどのようにすべきであろうか? この点については外部の専門コンサルタントを活用し、支援を仰ぐ方が効率的だといえよう。ただし、意思決定はあくまでもその社員(あるいは社内)が担当しなければならない。コンサルタントは契約上の範囲以外の責任を取ることができないのである。

 

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