ポイント1では、上流工程に社員を配置し、下流工程はアウトソースで賄うべきことを述べた。具体的なアウトソースの使い方はビジネスプロセス・アウトソーシングの話に発展しかねないが、ここでは論点がブレないよう人材についてのみ言及する。
下流工程の中でもアウトソースを利用すべきなのが“標準化の進むIT作業”である。標準化の進むIT作業とは、Windowsサーバの運用など、IT業界内で作業内容・作業手順が確立されており、いわば“ルーティンワーク化”されているもののことだ。
-サーバ監視(死活、リソース、プロセス、イベントログなど)
-バックアップ取得(システム領域、データ領域)
-サーバパッチ適用(HotFix、セキュリティパッチ、サービスパックなど)
-ユーザーサポート(電話対応、メール対応、オンサイト)
-障害対応(ネットワーク、OS、アプリケーション) …etc.
標準化の進むIT作業の特色は下記のとおりである。
標準化の進むIT作業は、アウトソース先を活用し、上記メリットを享受すべきである。今後、IT作業のアウトソース化が進み、市場に出回るITサービスベンダがさらに増加することで、費用もさらに下落することが予想される。
「個人情報取扱事業者は、(中略)委託された個人データの安全管理が図られるよう、委託を受けた者に対する必要かつ適切な監督を行わなければならない」(個人情報保護法 第二十二条)
個人情報保護法では、作業を依頼したアウトソース先に対する監督責任を負っている。個人情報の漏えいを含め、アウトソース先の作業品質を定期的にモニタリングすることが不可欠だ。また、長期にわたって特定アウトソース先と契約している場合は、定期的に作業内容・品質に対する費用の妥当性を確認した方がよい。
モニタリングを実施するに当たって、アウトソース先の作業行為を定期的に確認するとともに、測定可能な評価指標を定めその結果をモニタリングすることが重要である。例えば、システム監視運用業務においては、1カ月間のシステム停止合計時間や停止回数、停止への対応合計時間等の評価指標がある。
費用の妥当性確認については、Webや書籍などから情報を入手したり、ほかのITサービスベンダに対して見積もりを取ったり(要するに相見積もりである)することも有効な手段である。
▼著者名 赤秀 有為(あかひで ゆうい)
エフィジェント有限会社 代表取締役社長。慶應義塾大学卒。ロータス社にてNotes/Dominoを用いたWebシステム開発に従事。その後、サン・マイクロシステムズ社にてオープン系システムのITテクニカルコンサルティング、ベリングポイント社にてIT投資対効果算定などのITビジネスコンサルティング活動に従事。現在、エフィジェント社にて社長業とともにビジネスとテクノロジ両面からのIT化最適解を追求するコンサルティング活動を行う。
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