前回「アリストテレス編−“what & why”4つの原因説」はアリストテレスの4原因説:形相(けいそう)因、質料因、始動因、目的因について考えました。まずオブジェクト指向の基本概念であるクラスとインスタンスは「クラス=形相」「インスタンス=形相+質料」と考えることができます。次に4原因説を “what & why” の視点で考えました。what:それは何か? why:それはなぜそこにあるのか? つまり「what=形相因+質料因」で「why=始動因+目的因」であるというとらえ方をしてみました。これを情報システムに適用すると次のようになります。
情報システムの “what & why” |
what: 形相因=設計 質料因=ソフトウェア+ハードウェア |
why: 始動因=顧客(依頼主) 目的因=ビジネスの効率化 |
今回はアリストテレス編(その2)応用編としてもう少し考えてみたいと思います。
大阪城を作ったのは誰? 豊臣秀吉か大工さんか? これは始動因連鎖でとらえることができます。第1始動因は秀吉です。秀吉が誰かに命じ、最後は現場の大工さんです。
ちなみに先に挙げた情報システムの始動因も同様です。第1始動因は顧客(依頼主)ですが、顧客がSIerに依頼し、最後は開発第一線にいるプログラマーです。
では、秀吉はなぜ大阪城の築城を命じたのかというとその目的があったはずです。それは例えば天下統一のためという大目的があったでしょう。つまり、大阪城がある理由(why)をまとめると次のようになります。
大阪城のwhy:
始動因=秀吉
目的因=天下統一
次に大阪城とは何か(what)ですが、その形相因は城の形、城の設計です。この設計を基にして実際に築城するための石や材木、金属類などの素材が質料因です。
大阪城のwhat:
形相因=城の設計
質料因=石や材木、金属などの建設材料
以上を図1にまとめます。
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