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» 2006年01月14日 12時00分 公開

有能プロジェクトマネージャ勉強会より(3):PMノウハウを組織的に共有する方法を考える (1/2)

2005年12月6日(火)、「第3回 有能プロジェクトマネージャ勉強会」(@IT情報マネジメント/ソフトバンク クリエイティブ共催)が行われた。今回は、PMノウハウの組織的共有方法を検討する勉強会となった。その模様をお伝えする。

[生井俊,@IT]

組織的共有方法1:「有能者早期育成」

Speaker

株式会社プライド 執行役員 チーフ・システム・コンサルタント

大上 建(だいじょう たける)氏

前職で上流工程を担当する中、顧客の利用部門は必ずしも「開発すること」を望んでおらず、それを前提としないスタンスの方が良いコミュニケーションを得られることに気付き、「情報の経営への最適化」を模索することのできる場を求めてプライドに入社。株式会社プライドは、1975年に米国より社名と同名のシステム開発方法論の日本企業への導入を開始して以来、これまで140社余りの企業への導入支援を通じて、情報システム部門の独立自尊の努力を間近に見てきた。


 前回の勉強会では、PMノウハウのえぐり出し、体系化、拡充会議を体験しました。PMノウハウが体系化できたら、それを組織的に共有していきます。組織的な共有方法の1つとして、有能者を早期に育成する手法があります。

 最初は、関係者の間で合意形成を行います。関係者に、「PMノウハウの存在とパワーを感じたのだから、拡充方法を共有し、自律的な創造・活用をスタートしましょう」と働き掛け、合意形成します。次に、有能者がよく喫煙室でノウハウの交換をしたりしますが、そこにいる有能者だけで交換するのはもったいないと、フォーマルな会議体に引き上げる必要があります。一般PMもそこに参加し、PMノウハウの存在を意識したディスカッションを行います。ここでは前回の勉強会でお話しした“気付きを得るためのATACサイクル”を回すことのできるファシリテーターを入れて進めていきます。そうすることで、ノウハウ交換の効率が高まります。

ALT 組織的共有方法1:有能者早期育成の進め方(全体像)(勉強会資料より)

 続いて、「コンセプト教育」によるOJTを若手や一般PMを対象に行います。PMノウハウを意識したOJTを行うことで育成を早めるわけですが、「執着心醸成ドライバ」を使い、泣かせることで、ノウハウに対して勘所や達成水準を教えていきます。最後は、それらのPMノウハウをメソドロジ(方法論)化することで、普及速度を速め、底上げを図っていきます。


注:執着心醸成ドライバ コンセプトは頭で分かっただけでは定着しないため、執着心を醸成するために“泣かせるOJT”などを行う


 具体的にその活動の進め方を見ていきます。

0.活動の準備

PMノウハウの抽出対象者選定


PMノウハウ抽出(バリューリスニング)


推進方法の確定


 PMノウハウの抽出は、社内の有能PMを対象に実施します。社内の誰もが認める人、もしくは、実績を上げた人を選定するといいでしょう。選定が済んだら、バリューリスニングによりPMノウハウの抽出をし、推進方法を確定させます。


注:バリューリスニング 人の意見を注意深く聞き、ナレッジやコンセプトを取り出して価値化するテクニック


1.活動のスタート

PMノウハウの存在とパワーの解説と一般事例の説明


社内有能者の体系化したPMノウハウを紹介


推進ビジョンの提示


ノウハウ拡充会議の試行


推進方法(計画、体制、制度)の確定


 PMノウハウのパワーの解説と一般事例の説明をした後に、体系化したPMノウハウを紹介します。推進方法のビジョンを提示し、ノウハウ拡充会議のトライアルをして「体感してもらう」ことがポイントです。

2.ノウハウ拡充会議

社内ファシリテーター対象者選定


社内ファシリテーター対象者に対する育成


週次のノウハウ拡充会議実施


 ここでは、ファシリテーターの育成がカギになります。

3.コンセプト教育によるOJT

育成担当者に対する育成担当有能PMの設定


育成担当PMによる育成時のサブノウハウ創造と伝達


ノウハウ拡充会議での、育成担当有能PMに対するフォロー


 有能者1人に対して、2〜3人のセットがいいでしょう。ノウハウ拡充会議における育成担当有能PMに対するフォローは、「育成担当有能PM自身が創造したサブノウハウは何か」を聞き出し、教育がうまくやっていけているかどうかを確認します。そして、育成対象者に対して設定した、ハラハラさせかつ最後は 褒めてもらえるような執着心醸成ドライバは何かを聞き、その結果、どのように育成できたかを情報共有していきます。

4.方法論化

PMノウハウ分類フレームワークの設定


開始時PMノウハウの方法論化


ノウハウ拡充会議からのフィードバック


PMノウハウ分類フレームワークによる評価


 PMノウハウの方法論化は、効果が大きいものから順次行います。ノウハウ拡充会議からのフィードバックにより、サブノウハウの充実を図ります。具体的には、既存のPMノウハウ方法論の拡充や新たな重要PMノウハウの方法論化をします。そして、フレームワークを活用した棚卸で、どれだけPMノウハウがそろっているかが分かります。

 この組織的共有方法を使えば、超有能PMが有能PMを育成できますし、2007年問題のような、団塊の世代が退役してしまうので早急にノウハウを移転する必要があるといったケースでも対応できると思います。

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