連載
» 2006年03月11日 12時00分 公開

情報資産管理とバックアップポリシー(6):企業のデータ保護におけるさまざまな技術トレンド (1/2)

いま、ストレージ分野で最も注目を集めているのは、法令遵守(コンプライアンス)と災害対策といっても過言ではないだろう。最終回となる今回は、企業がこれらに対応するのに必要な最新の技術トレンドを解説する。

[藤巻 敬久,日本ヒューレット・パッカード]

 本連載「情報資産管理とバックアップポリシー」も、今回で最終回となります。今回は企業のデータ保護におけるさまざまな要求と、それを実現するための技術トレンドを説明します。特に、いま最も注目を集めるストレージ要求の中で、法令遵守(コンプライアンス)と災害対策の2つの話題に絞り込んで、最新の技術動向に関し解説します。

法令遵守への取り組み

 法令遵守は、いまIT業界の中で最もホットな話題となっており、各地で開催されるコンプライアンス関連のセミナーや展示会などは、常に満員御礼の状況になるほどです。

 すでに、米国では企業改革法(SOX法)や米証券取引委員会(SEC)規則などが施行されており、各企業もこれらの規制に対し順守できるようさまざまな施策を行いました。日本でも、2008年3月に施行されるといわれている日本版SOX法に向けて、準備をする企業が増えてきているのも事実といえます。

 さて、コンプライアンス対応における重要なポイントとして、必要なデータをいかに効率よく管理し、元データの保証(データ改ざんへの防御)ができるか、万が一の際には必要なデータを短時間で検索・提出できるか、ということを考えておく必要があります。一般的にデータを蓄積するという点では、高性能なディスクアレイを導入すればコストは掛かるものの、比較的簡単に環境を構築することができます。

ALT 図1:RISSの外観と電子メールの構成例

 しかし、元データの保証や高速な検索はハードウェア(ディスクアレイ)だけでは実現できず、データを管理運用するミドルウェアが必要となってきます。このような条件を満たす製品としてヒューレット・パッカード(HP)では、法令遵守に準拠したデータアーカイブ専用ストレージシステム「Reference Information Storage System」(RISS:図1)を提供しています。RISSは、電子メールやデータベース管理をサポートし、データを管理するソフトウェア、ハードウェアを1つのパッケージにしたオールインワンソリューションで、WORM機能による元データの保証(原本保証)と、グリッド技術による高速検索を実現しています。

 RISSは、Smart Cellというインテリジェント機能持ったディスクで構成され、Smart Cellはグリッド技術を使い構成されています(図2)。メールでの運用を例とすると、メールシステム(Exchange、Send Mailなど)に送られてきたメールには、インデックスを付けてデータベース化し、個々のデータはSmart Cellに格納していきます。

ALT 図2:Storage Gridの概念図

 格納時には、データ保護の観点から、データは1組のSmart Cellにコピーして格納されます。同時に、電子署名も行いデータ履歴、改ざんの管理を行います(図3)。コンプライアンスに対応した運用を行うとなると、規制となる法規制によっても異なりますが、データを3?5年程度にわたって長期間保存する必要が出てきます。結果として、データを保存するストレージは増加し、必然的にディスクの増設も必要不可欠となってきます。RISSの場合、Smart Cellはイーサネットで接続されているので、ディスク容量などに違いがあってもIPアドレスの管理のみで簡単に増設が可能で、簡単・低コストで長期間に対応したシステム運用が可能となっています。

ALT 図3:RISSの仕組み(データ保存)(クリックで拡大)
ALT 図4:RISSの仕組み(検索と抽出)(クリックで拡大)

 法規制上、何らかのデータの提出が必要となった場合、グリッド技術により構成されたSmart Cellによってデータ検索は高速で行われ、いままで数日から数時間かかったデータの検索・提出が、数分?数秒という単位で実行が可能となります(図4)。高速で検索、データ抽出ができることで時間短縮のみならず、検索に必要な工数、リソースコスト、追加で必要なハードウェアコストも大幅に低減することにもつながります。

 今後、日本国内でも日本版SOX法などによりデータを長期間保存するだけではなく、データの検索、提出をより高速に行うというニーズが高まり、RISSのようなアーカイブソリューションが必要不可欠になるのも時間の問題といえるでしょう。

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