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» 2006年07月25日 12時00分 公開

ストレージ関連ベンダ それぞれの戦略(4):[3PAR] 設計・運用の自動化でTCOを削減できる (1/2)

米国で急成長中のストレージベンダ、3PARが5月10日に日本法人の設立を発表、日本市場におけるオペレーションを本格的に始動した。導入や管理の自動化によるTCO削減を追求する同社の戦略を聞いた

[三木 泉,@IT]

 ハイエンドからミッドレンジをカバーするストレージベンダの3PARが、日本市場における本格的なオペレーションを開始した。同社は現在全社売り上げの11%を占める日本市場での売り上げを、3年以内に20%へ引き上げることを目標に、国内での活動を展開していくと宣言した。米3PARの社長兼CEO デビッド・スコット(David Scott)氏に、同社の戦略について聞いた。

ALT 米3PAR 社長兼CEO デビッド・スコット氏

──日本におけるビジネスはずいぶん前から行っていたとのことですが。

 3年前に米国と日本で同時に販売を開始しました。日本ではネットワンシステムズと日商エレクトロニクスという2社のパートナーを通じて、30システムを既に販売しました。松下電工情報システムやリコー・ソフトウェア、ホスティングサービス業者のサヴィスの日本支社などが顧客となっています。

 日本市場におけるビジネスは当社の世界市場におけるビジネスの11%に達していますが、これをさらに伸ばすべく、日本市場への投資を決めました。3PARの日本オフィスの人員を2倍に増やし、5月10日に発表したとおり、支社として立ち上げました。

 今後パートナーを広げていくつもりですが、特に鍵となるのは、ビジネスの成長を支えてくれる認定サービスプロバイダの開拓です。1つの例はユニアデックスとの協業で、ユニアデックスがオペレーションを当社のサービスインフラと統合的に提供できるようにしました。ユニアデックスとの提携は、新たなリセラーチャンネルの開拓にも貢献してくれると思います。

──日本市場ではどのようなビジネス目標を設定していますか。

 日本市場におけるビジネスを現在の11%から20%に伸ばしたいと思っており、2、3年のうちには達成可能だと思います。既に世界に誇れるすばらしい顧客ベースを有しており、これを生かして新たなパートナーシップも開拓していけると考えています。ユニアデックスとの提携により、彼らの能力を生かして当社のサポートサービス関連ビジネスも伸ばすことができ、さらにユニアデックスはユーティリティ・コンピューティング市場という新しい分野に参加できることになりました。

──パートナーの拡大について目標はありますか?

 特に決まった数は設定していませんが、今後1年間に3社あるいは4社のパートナーを開拓できると信じており、これは非常に重要なビジネス基盤になると思います。

──20%というのはかなり高い数字ですね。

 当社はこれまである程度長くこの市場とつきあってきました。その経験から、うまくある程度のレベルの顧客ベースを獲得することができれば、それが転換点となって、さらに速いスピードでビジネスを伸ばしていけると考えています。

──日本でなぜこれまで成功してきたと思いますか。

 当社がこの市場に持ち込んだユーティリティ・ストレージのプラットフォームは、ユーティリティ・コンピューティングに進化したいと考えている顧客のニーズに的確に答えていると思います。

 当社のモットーは、企業がより少ないコストで多くのサービスを利用できるようにすることです。より多くのサービスという点でいえば、当社の製品は業務上の要求に対するIT部門の対応力を飛躍的に向上させることができます。同時に、多くの場合はストレージ関連プロジェクトを他社の製品に比べて何週間も早く済ませることができるため、こうしたプロジェクトの投資対効果は上昇します。

 少ないコストで、というのは独自の「シン(Thin)プロビジョニング」を実現する技術によって、ストレージの利用効率を業界平均の20ないし25%から、80%に向上させることができる点にあります。ディスクドライブの利用効率が上がるため、データーセンターにおける使用スペースもより小さく抑えることができます。日本、特に東京では、データセンターのスペースは非常に貴重です。シンプロビジョニングの技術により、効率をアップさせることで、特に日本で重要だとされている問題の多くを解決できると思います。

 日本はまた、パフォーマンスについて敏感な市場だと感じています。当社のストレージアレイで提供しているきめ細かな仮想化の技術では、単一のシステム内でデータを数十、あるいは数百のディスクドライブにもストライピングさせることにより、ほかのSAN接続ストレージシステムよりもはるかに高いパフォーマンスを発揮します。

──顧客に、「なぜほかの会社の製品でなく3PARの製品を選ぶべきなのかを3分間で説明しろ」といわれたら、どういいますか?

 その場合、私はあなたの会社のIT部門が十分迅速にビジネスニーズに応えているかどうか、そしてストレージ機器だけでなく、関連費用をすべて勘案したストレージのTCOに満足しているかどうかを聞きます。通常、どちらについても満足しているところはありません。そうであれば、当社は新たなビジネスニーズに対するIT部門の応答性を飛躍的に向上し、シンプロビジョニングやディスク利用効率の向上、管理に必要な人員の削減効果を含めて従来型の製品に比べ、TCOを50%削減しますよと話します。

 例えば、米国で人気のソーシャルネットワーキングサイト(SNS)に「myspace.com」があります。この企業は2005年9月より当社の顧客となっています。この企業は、当時3000万ユーザーを集めていましたが、EMCやネットワーク・アプライアンスとの比較の上で、当社を選択してくれました。その後8カ月で、8000万ユーザーまでに成長し、ストレージは1ペタバイトに達しました。しかし同社では、専任のストレージ管理者なしにストレージを管理しています。データベース管理者の1人が自分の時間を少し使うだけで、ストレージの管理をしているのです。これで投資対効果の高いプロジェクトに人を割り振ることができ、大幅な人的コストの節約につながります。

 3PARのストレージでは、ストレージの導入設定も数秒で済み、管理作業はほとんど発生しません。同じことを従来型のストレージ製品でやろうとしていたら、専任チームが必要で、1ペタバイトの規模ならおそらく4から6人を要していたことでしょう。

──競合として意識しているのはどのベンダですか。

 当社の「InServストレージサーバ」シリーズは、ハイエンドではEMCの「DMX」シリーズ、日立データシステムズの「Universal Storage Platform」製品群ですが、モジュラーストレージのハイエンドであるEMCの「CLARIX CX」、日立データシステムズでいえば「Thunder」シリーズなどと競合します。

 当社の顧客はミッション・クリティカルなところが多いのが特徴です。「priceline.com」「eHarmony」などは全面的に当社のインフラを採用しています。金融サービスのメリルリンチやAIGも大規模な顧客です。また、サヴィスやヴェライゾンのエンタープライズサービス部門などのマネージドホスティングサービス業者も顧客ですし、ユーティリティ・コンピューティングを目指すあらゆる企業にとって、当社は魅力的な価値を提供できると思います。

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