[3PAR] 設計・運用の自動化でTCOを削減できるストレージ関連ベンダ それぞれの戦略(4)(2/2 ページ)

» 2006年07月25日 12時00分 公開
[三木 泉,@IT]
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自動チューニングで最高の結果を出すことができる

──3PARの製品におけるディスクスペース効率化の原理を教えてください。

 3PARの「シンプロビジョニング」では、アプリケーションが1テラバイトの領域を求めた場合、テラバイトの容量があると見せかけておきますが、実際に消費されるのは例えば100Mバイトといった、実際に物理的に書き込まれたデータ量です。これをアプリケーションごとに繰り返していくと、全体として単一の空きスペースのバッファプールを構成でき、どのアプリケーションでも書き込むことによって自分の領域を増やしていける状態になります。

 これはアプリケーションごとに将来のスペースも含めて割り当てなければならない従来型の専用バッファスペースとは大きく異なります。単一のストレージアレイに、アプリケーションを次々に追加していけるのです。こうして、業界平均では20から25%に留まっているストレージの利用率を、80%に向上することができます。

──アプリケーション単位のパフォーマンスの最適化はどのように実現できるのですか?

 当社の「InServストレージサーバ」では、アプリケーションを基本的に全てのディスクドライブにストライプします。あらゆるディスクドライブは256Mバイトの「chunklet」と呼ばれる単位に分割され、これがミニディスクのように機能します。これを使って、特定のQoSを備えた論理ディスクドライブを構成し、さらにここからボリュームを設定します。したがって、単一の物理ディスクドライブが、相互に異なるQoSを持った複数のボリュームの一部を担うことになります。

 これにより、あらゆるディスクドライブが大まかには同じ量のI/Oを実現できるので、いつでもほとんど完全にアプリケーション間の自動的な負荷分散を実現できることになります。

 これまでの顧客でこんなことが起こったことはほとんどあり得ませんが、万が一自動的な負荷分散がうまく行かなかった場合、2つのメカニズムを使って対応することができます。

 まず1つは、「System Tuner」という製品で、これはシステム内の物理的ディスクドライブ全てのI/O速度を監視します。そして例えば、処理負荷が大きいなどの理由によってパフォーマンスが下から10番までのディスクドライブについては、chunklet単位でより負荷の軽いディスクドライブに対し自動的にデータを移動するように設定することができます。

 もう1つのメカニズムは「Dynamic Optimization」と呼ばれるものです。System Tunerは物理的ディスクドライブを対象としたツールですが、Dynamic Optimizationではボリュームレベルで、QoSを「金」「銀」「銅」といったクラスに分けることができます。顧客は、ある特定のボリュームを、「銅」から「銀」へ、さらに「金」へと移動したり、その逆を設定したりすることができます。

 しかし、この2つのメカニズムを使うまでもなく、当社の基本的な負荷分散メカニズムはできうる限り最高の結果を出しています。これを証明する最高のエピソードを話しましょう。

 当社がストレージシステムを開発した当初、業界標準のベンチマークテストであるSPCベンチマークを担当するデータベース管理者がいました。この管理者は、あらゆる主要ストレージシステムの利用経験を持っていました。その経験から、ベンチマークで高いスコアを出すために、ディスク上のデータのレイアウトには細心の注意を払わなければならないと考えていました。

 この管理者は何週間もかけて、ベンチマークテストのために当社のストレージシステムの利用法を最適化しようと努力し、とても良い結果を得ることができました。しかし、エンジニアリング担当副社長は、この結果を見るなり、「うちの製品の設計目標は、顧客がデータのレイアウトなどに注意を払わなくて済むようにすることだ。もう1度、自動負荷分散の設定だけで、ベンチマークテストを実施しろ」と命令しました。もう一度実施したベンチマークテストの結果は、先ほどの結果より優れたものでした。

 このように、自動的な設定・運用管理で最高のパフォーマンスを実現することが、当社の製品の重要なメリットなのです。

著者紹介

▼著者名 三木 泉


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