内部統制をきっかけとして、電子メールアーカイブ製品が注目を集めている。特にシマンテックの「Enterprise Vault」は、Microsoft Exchange Serverとの緊密な統合などにより着実にユーザーを獲得している。Enterprise Vault担当副社長、ニック・メータ(Nick Mehta)氏に、Enterprise Vaultの現状と今後を聞いた。
アーカイブ・ソフトウェアはシマンテックのストレージ関連ソフトウェア事業において、バックアップ/リカバリ・ソフトウェアと並ぶ重要な柱だ。同社の製品「Enterprise Vault」は電子メールのアーカイブを中心的な機能としながら、インスタントメッセージングやファイルのアーカイブも実現。特にMicrosoft Exchange Serverとの緊密な統合でユーザーを獲得している。Enterprise Vault担当副社長、ニック・メータ(Nick Mehta)氏に、Enterprise Vaultの現状と今後を聞いた。
──シマンテックではEnterprise Vaultをどう分類していますか? 電子メールアーカイブソフトなのか、情報ライフサイクル管理(ILM)のツールなのか、それともレコードマネジメントにつながるものなのでしょうか?
その質問は顧客からよく受けます。当社ではこの製品を「コンテンツアーカイブ・プラットフォーム」だと表現しています。電子メールやインスタントメッセージング、ファイルなど、人々が業務上作り出す各種の情報を、保存して検索可能な状態にし、必要な場合には利用できるようにするものです。企業の正式な情報を扱うレコードマネジメントより守備範囲は広いと考えています。また、ILMはコンセプトですが、アーカイブは人々が実装できるものです。ILMのコンセプトを示す実例の1つだということもできます。
──大部分のEnterprise Vaultユーザーの導入のきっかけは、電子メールのアーカイブだと考えていいのですか。
はい。ほとんどの顧客がまず電子メールアーカイブで導入し、その後にほかのアプリケーションを対象として追加します。電子メールの次に人気のあるのはファイルのアーカイブです。
──電子メールのアーカイブ製品として意識している競合ベンダはどこですか。また、他社製品に対し、どこで差別化を図っていますか。
電子メールアーカイブは顧客の関心が高く、従って競合製品も多い市場です。差別化については、まず世界中で800万のメールボックスに適用されているなど、実績が最も豊富であること、第2に総所有コスト(TCO)が最も小さいこと、第3にこの製品は初めからExchange Serverと緊密に統合され、エンドユーザーの使い勝手をほとんど変えずに導入できること、第4にシマンテックはセキュリティの会社でもあるため、データが失われないこと、改ざんされないよう、アーカイブのセキュリティ確保に注意を払っていることです。第5にアーカイブは長期的に利用されるため、長期データ保存に適した機構を与え、ストレージ機器への対応も幅広く確保しています。
世界的な競合企業として考えているのはEMCです。日本ではオープンテキストに買収された旧イキソス・ソフトウェアの製品や日本ヒューレット・パッカードなどがライバルになっています。
──Exchange Server以外に、統合を進めているアプリケーションはありますか?
Exchange Server以外ではLotus Notes/Dominoといくつかの機能で統合を実現しており、一般の電子メールについてはSMTP経由でアーカイブを行っています。しかし、この製品は主にExchange Serverを対象としています。ガートナー・グループも電子メールアーカイブ製品のほとんどがExchange Serverを対象としていると発表していますが、その主な理由は、電子メール管理について最も大きな問題が発生するのがExchange Serverだからです。Exchange Serverはストレージの観点からいうと拡張が難しく、ユーザーがローカルPCに保存する.PSTファイルの管理も問題を引き起こしています。そしてもちろん、Exchange Serverは世界中で最も広く使われている電子メールサーバ・ソフトウェアであり、Exchange Serverへの移行もさらに進んでいます。このため、当社としてもExchange Server関連に最大の労力を注ぎ込んでいます。
──ファイルのアーカイブ機能について、競合となる企業はどこですか?
ファイルアーカイブは比較的新しい市場で、確立したベンダがあまりいないのですが、やはりここでもEMCの「Legato DiskXtender」がライバルになります。Legatoは電子メールのアーカイブとファイルのアーカイブが別製品としてつくられていますが、Enterprise Vaultでは1つのプラットフォーム上に作られているという違いがあります。日本語環境に対応しているかどうかもこの種の製品では重要な問題です。
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