[シマンテック] 電子メールのアーカイブは今日的な課題ストレージ関連ベンダ それぞれの戦略(9)(2/2 ページ)

» 2006年12月08日 12時00分 公開
[三木 泉,@IT]
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訴訟への備えは電子メールアーカイブ導入の大きな理由

──内部統制を理由としてEnterprise Vaultを使うユーザー企業は米国では多いのですか?

 はい、かなり多数の企業がコンプライアンスを目的として導入しています。SOX法は米国では非常に大まかな法令ですが、これに加えて金融、ヘルスケア、エネルギーなど、業界固有の法規制があります。例えば米国のSEC(証券取引委員会)は金融ブローカーとして活動する企業に対し、数年にわたる電子メールやインスタントメッセージングなどの通信記録を残すよう定めています。

 米国では法規制のほかにも訴訟の問題があります。企業同士の訴訟では多くの場合、証拠として電子メールの開示を要求されます。多くの企業ではこれに備えるため、電子メールのアーカイブをとっています。

 米国でEnterprise Vaultの導入理由として一番多いのは電子メールを効率的に保存して、ユーザーが必要に応じて検索できるようにすることです。第2番目に大きな導入理由が訴訟対応です。第3番目が法規制対応となっています。

──Enterprise Vaultでは、保存対象となる各データの属性に応じて保管方法を変えるといったことはできるようになっているのですか?

 ええ。電子メールをアーカイブする際に、まず電子メールデータの分析を行い、ヘッダや本文、添付ファイルの内容に応じて異なる保管ポリシーを適用することができます。顧客も、以前はすべての電子メールを同じ期間保管していましたが、最近では電子メールの1つ1つを分類し、保管期間を変えています。例えば、オンライン・ショッピング・サイトのような明らかに私用メールと思われるものについて、保管期間を短く設定しているユーザー企業があります。

──将来に向けた機能強化における重要なテーマは何ですか?

 まず第1に、ますますデータが肥大化するのに対応して、拡張性を高める努力をし続けています。大規模環境でも管理をしやすくするほか、より多くの電子メールをアーカイブできるようにすること、電子メールデータの保存における効率を高めることなどが具体的な課題です。圧縮率の向上に関しては、現在完全に同一内容の電子メールを単一のデータにまとめてしまう「シングルインスタンス化機能」によるストレージ利用の効率化を図っていますが、これをさらに推し進め、完全に同一ではなくとも大部分が似た内容の電子メールに対し、ブロックレベルで同一データを単一にまとめ、さらに効率を高めることを考えています。この機能は2007年末頃の実装を予定しています。

 第2に、マイクロソフトのExchange Server 2007やWindows Vista、Longhorn Serverをはじめとした新技術にきっちりと対応することが重要です。

 第3はLotus Notes/Dominoへの統合度を高めることで、これは2007年における大きな焦点になります。

 第4は検索機能の強化を進めることです。現在でも「Discovery Accelerator」というオプション製品で強力な検索ツールを提供しています。この機能をさらに補完し、ユーザーが検索結果に対してさらにドリルダウンを行ったり、より効率的な絞り込みを行ったりできるようにしていきます。現状ではある単語を含む電子メールをすべて呼び出すといった検索はできます。さらにこの検索結果に対して、「この電子メールと同じスレッドの電子メールをすべて表示する」とか「この人がこの期間のうちに出したメールをすべて表示する」といった絞り込みをかけられるようにします。こうした機能によって、組織内で何が起こっているかを「捜査」できるようにしていきます。

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▼著者名 三木 泉


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