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» 2006年09月02日 12時00分 公開

これなら分かるストレージのキーワード(1):「ストレージ仮想化」って何をしてくれるもの? (1/2)

サーバの世界と同様、ストレージの世界でも仮想化機能を提供する製品が続々登場している。これらは具体的には何のために何を実現しているのだろうか。これをやさしく解説する

[三木 泉,@IT]

 サーバで仮想化が話題になっていますが、ストレージの世界でも仮想化がますます重要なテーマになってきました。現在では、ストレージ関連のハードウェア、ソフトウェアを提供する企業の多くが「仮想化」を売り物にした製品を持っています。しかし、これらベンダの語る「仮想化」の内容は一様でなく、そのためにユーザー側は混乱しがちです。

 筆者は1990年代前半に、当時サーバとストレージをn対nで接続できるネットワーク技術、つまり「ストレージエリアネットワーク」(SAN)スイッチの企業を立ち上げて間もない米国の人から最初にSANの話を聞いたとき、「SANがn対nの接続を実現するとはいっても、結局サーバとストレージ装置が1対1の関係でしか接続できないのでは、ネットワークというには少々物足りないな」と思ったことがあります。しかし、仮想化のおかげで、こういう心配はだんだん過去のものになりつつあります。

 ストレージの仮想化とは、基本的には複数のストレージ装置をまたいであたかも単一のストレージ装置があるようにみせることといえます。これによって既存のストレージ装置の容量が不足した際の拡張や、場合によっては異機種のストレージ装置を組み合わせた利用も可能になります。

 ストレージ仮想化製品はさまざまな方法で分類できますが、ここでは「ブロックレベル」の仮想化と「ファイルレベル」の仮想化に分けて説明します。

ブロックレベルの仮想化で複数のストレージ装置をまとめる

 ブロックレベルの仮想化は、「ストレージのボリュームの仮想化」といい換えることも可能です。一般のPCでもそうですが、データがストレージに書き込まれるときは、ストレージを構成するディスクドライブ上の「ブロック」として書き込まれます。つまりブロックは、データの物理的な位置になります。ボリュームとはブロックの集合体で、コンピュータはボリュームによってデータの物理的な位置を知り、読み書きを行います。

 ブロックレベルの仮想化製品では、例えば仮想化専用装置がサーバとディスクドライブとの間に介在し、実際のボリュームとは異なる仮想的なボリュームをコンピュータに対して見せる仕組みになっています。この場合、仮想化専用装置において、複数のストレージ装置にまたがって単一のボリュームを構成することができます。その裏では、仮想化専用装置上の仮想的なボリュームと、ストレージ装置上の実際のボリュームとの間でデータの位置についての関連付けを行うための「マッピング・テーブル」が作成されていて、物理的なデータの位置情報と、コンピュータに見せる仮想的なデータの位置情報との間の翻訳を行います。

 このようなブロックレベルの仮想化製品は、多くの企業が提供しています。SANスイッチ上にこの機能を搭載した製品がありますし、SANスイッチ間に挟むようにして配置する仮想化専用装置もあります。ストレージ装置の「コントローラ」と呼ばれる頭脳部分に仮想化の機能を搭載することのできる場合もあります。この場合はそのストレージ装置からファイバチャネルのケーブルを伸ばし、ほかのストレージ装置を接続する構成になります。

 ブロックレベルの仮想化では、複数のストレージ装置をあたかも1台であるかのように利用することができ、その際にストレージ装置のベンダや機種間の差異を克服することもできます。この点で、管理負荷が軽減されます。

 こうした仮想化製品では、サーバからのアクセスを継続したまま、仮想ボリュームを移動することが可能であることも非常に便利な点です。例えば時間の経過やアクセス頻度などの条件に基づいて、業務に影響を与えることなく、高価なディスクドライブから安価なディスクドライブへデータを移行することが可能です。

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