簡便さ狙うデータ・レプリケーション・ソフトウェアストレージ関連製品データベース ソフトウェア

» 2006年10月06日 12時00分 公開
[三木 泉,@IT]

 「データ・レプリケーション・ソフトウェア」とは、稼働中のサーバのデータをリアルタイムで、あるいはほとんどリアルタイムでほかの待機サーバへレプリケーション(複製)することのできるソフトウェアを意味します。ソフトウェアは複製元と複製先のサーバにインストールします。こうしたソフトウェアは、特にディザスタ・リカバリ(DR)、そしてサーバ間でのシステムの移行のために利用されます。

 DRの実現方法にはいろいろあります。いわゆるバックアップソフトウェアでDRに使える機能を備えているものもありますし、ストレージ・ハードウェアの付加機能として提供されている例も多数あります。通信事業者やデータセンター事業者などが、データセンター内のサーバへのデータ・バックアップをDRソリューションとして提供していることもあります。

 データ・レプリケーション・ソフトウェアの特徴は、サーバ間のデータ複製に特化することで、コストパフォーマンスと柔軟性を実現しようとしていることにあります。

コスト効率よくDRシステムを構築できる

 データ・レプリケーション・ソフトウェアは、サーバ対サーバのデータ複製なので、サーバに内蔵のディスクドライブをストレージとして活用し、小規模なシステムでもコスト効率良くディザスタ・リカバリ・システムを構築できます。導入作業も比較的単純で、手軽に利用できる仕組みといえます。

 これに対し、例えばストレージ・ハードウェアのレプリケーション機能は、原則的に特定ベンダのストレージ製品間でしか利用できません。このため、高価なストレージを複製元と複製先の双方の拠点に導入しなければならなりません。

 LAN内で2台のサーバにデータ・レプリケーション・ソフトウェアを導入すると、切り替えが手動ではあるものの(自動切り替えができるものもあります)、いわゆる「フェイルオーバー」を実現できます。遠隔拠点のサーバを複製先サーバとしてWAN経由の複製を実施すれば、ディザスタ・リカバリが実現できます。

 データ・レプリケーションに特化したソフトウェアでは一般的に、ファイル単位でなくブロック単位、あるいはバイト単位のレプリケーションが行われるようになっています。複製対象をデータの変更部分に限定することで、WAN経由での複製におけるトラフィックの軽減を図ることができます。

 そうはいっても、データ生成量とWAN回線の帯域幅の兼ね合いは簡単ではありません。大量にデータが生成されるサーバをソースとする場合には、WANの帯域幅が狭すぎて複製作業が追いつかなくなる可能性もあります。また、WAN帯域をレプリケーションが大量に消費してしまい、ほかの通信に支障を来たす可能性もあります。前者については、レプリケーション・ソフトウェアの同期レプリケーション機能と非同期レプリケーション機能を使い分けることで一定限度の対処は可能です。後者については帯域幅制限機能で対処している製品があります。

 データ・レプリケーションに特化したソフトウェアには、次のようなものがあります。

データ・レプリケーション・ソフトウェア一覧
(それぞれの製品名をクリックすると説明を表示します)

Double-Take
独自レプリケーション・メカニズムでディザスタ・リカバリを強化

NetVault Replicator
クロスプラットフォームでコスト効率の高いDRシステムを可能に

Volume Replicator
柔軟なモード切り替えでWAN環境でも信頼性を実現

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