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» 2006年12月23日 12時00分 公開

CMSビジネス活用術(5):“シームレス”が生み出すCMSのビジネス活用シーン (1/2)

CMSはどれだけ、どのようにWebビジネスの可能性を広げていくのだろうか? 想定される活用シーンから、CMSに求められる機能や役割を考えていこう。

[デジタルアセット研究会,@IT]

 今回は、本連載のテーマであるCMSをビジネスで活用するために、CMSそのものに求められる基本的な機能から、組織間でシームレスに利用してこそ意味のある機能の数々について考察を加えたい。

CMSの機能、PIMの機能

 企業のWebサイトを運営するに当たり、CMSに必要とされる機能──いい換えればウェブマスターに必要な機能は、一般的に「コンテンツの統合・収集・作成」「コラボレーション&ワークフロー」「サイト&ページの構成管理」「配信管理」の4つといわれている。

1 コンテンツの統合・収集・作成
▼
2 コラボレーション&ワークフロー
▼
3 サイト&ページの構成管理
▼
4 配信管理
図1 ウェブマスターのためのCMSの機能


 これらの4つの機能は、現在市場に出回っているほとんどのCMS製品が持っている基本機能である。

 しかし、これらはCMSが「Webサイト更新ツール」として機能するために必要な最小限の機能であって、ビジネスに活用するためのものとしては不十分である。

 「コンテンツの統合・収集・作成」に関していえば、本連載の第2回『企業にとって資産となるWebサイトの作り方』で取り上げた事例のように、コンテンツを再利用しやすいように構造化することで、ビジネスでの活用が飛躍的に拡大する。また、第4回の『「顧客の視点」をビルトインするプロダクトエキスパート』で解説したように、プロダクトエキスパートの視点でコンテンツの格納構造を柔軟に追加・変更できるような機能があれば、CMSをPIMとして活用できる。

 つまり、CMSを導入するに当たって、適用する範囲(スコープ)をどのように設定するかが第1のポイントである。CMSをウェブマスターの道具としてのみ考えるか、コンテンツを企業全体の資産と位置付けてPIMを構築するか、あるいはプロダクトエキスパートを支援するシステムにするかによって、その後のビジネス展開や活用の幅が大きく違ってくるである。

マーケターのためのPDCAによるサイトマネージ機能

 さて、どの企業のWebサイトも構築したら終わりということはなく、継続的な改善活動が始まる。そこでCMSは、Webを使ってオンライン・マーケティングを行うマーケティング担当者(マーケター)にとって使える道具であることが大切となる。

Webマーケティングで行われるPDCAサイクル 図2 Webマーケティングで行われるPDCAサイクル

 Webサイトは上図のように、Plan-Do-Check-Actの4つのサイクルを回し、顧客にとって価値のあるものになるよう、成長し続けなければならない。

 例えばECサイトならば、まずサイトを設計・公開(Plan)し、実際に販売を行い(Do)、製品ごとにアクセスログと売上データを集計(Check)して、その結果からどのような情報やコンテンツが売上に影響があるのかを知る(Act)ことで、次のサイクルで顧客に喜ばれるコンテンツを追加、整備していくことになる。従ってこのサイクルの中では、クロスセルアップセルの組み合わせ、コンテンツを出すタイミングや更新頻度などをさまざまに変え、試行錯誤することが求められる。そのためには、サイト・コンテンツの変更が容易に行えなければならない。

 つまりCMSは、Webサイト構築後にさまざまなチャレンジができるように柔軟で、かつPDCAが回しやすいということが、重要なのである。

CMSのビジネス活用力向上のためのベストプラクティスの水平移動

 『コンテンツマネジメント、日本企業の課題』という記事で、CMSコンサルタントとして実績豊富なビィーガの白旗保則氏は、製薬業界における新薬申請の電子化で、ドキュメント管理システムの「Documentum」が世界的に利用されているが、これはFDA(米国食品医薬品局)がそのソリューションを採用したからだと述べている。

 このDocumentumの新薬申請のためのテンプレートは英国で開発されたもので、世界中で標準的に利用されている。つまり「システム+テンプレート」の形で、世界中の製薬会社と各国規制当局にとってのベストプラクティスが提供され、普及しているのである。

 Webサイトをビジネスで活用する場合でも同様で、効果が明らかなテンプレートを取り入れる基盤として、CMSが果たす役割は小さくない。すでにベストプラクティスとして確立しているやり方があるのに、いたずらに試行錯誤を繰り返すのはあまり賢い方法とはいえないだろう。

 やはり、CMSのビジネス活用は圧倒的に欧米が進んでいる。欧米での成功事例をうまく日本に水平移動することができれば、Webサイトのビジネス活用力を増すことは間違いない。例えば、オンラインビジネスの成功例として、よく引き合いに出されるAmazon.comのコンテンツ管理方法やレリコメンデーション方法などがテンプレートで提供されれば(仮定の話だが)、ECサイトを構築している人にとっては非常にありがたいことではないだろうか。

 このようなベストプラクティスがECサイトだけではなく、さまざなま業種・業務においてテンプレートとして整備されれば、欧米の事例を学び、キャッチアップしてきた日本人の真骨頂を発揮するステージが、Webビジネスにおいても開かれることになるだろう。

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