次にドメイン層について考えて見ます。サービス層は、業務サービスを実現する層です。サービス層はドメイン層に存在するビジネスロジックを利用してサービスを実現するためのサービスプロセスを実現しています。
そして、トランザクションの制御、セキュリティなどのシステム機能を実現します。
このとき業務機能(機能要件)とシステム機能(非機能要件)を実現する実装は、分離できるようにします。一般的にはEJBやAOPなどのフレームワークを利用し、ビジネスロジックにシステム機能が混在しないようにします。
ドメイン層は、ビジネスロジックを実装します。ビジネスロジックは、必要とするデータとともにエンティティクラスにカプセル化されます。これは、オブジェクト指向分析で作成された概念モデルを基に作成します。各エンティティクラスは、継承、インターフェイス、関連などを利用したクラス構造を持っています。
このように、ドメイン層では概念モデルで作成されたクラス構造が、そのままエンティティクラスで構成されることが望ましいことです。しかし、プログラム言語やデータベースの種類、性能などによる制約により、概念モデルがそのまま実装できない場合があります。
また、ドメイン層はビジネスロジックだけをPOJO(Plain Old Java Object)で実装できると大変わかりやすいです。システム的な機能である永続化などの実装は、ドメイン層では意識したくありません。あくまでもエンティティクラスに持つデータを参照・更新します。テーブルのデータを参照・更新することなど、テーブル操作に関することは一切知りたくありません。永続化は、エンティティクラスが保持しているデータが更新されたら、テーブル上の該当するデータと自動的に同期が取れるようになるのが理想です(この同期はパーシステンス層の役割になります)。
このように、理想的なドメイン層の設計は、次のように考えられます。
それでは、ドメイン層をどのように設計していけばよいのでしょうか。PofEAAにおけるドメイン層を実現するためのアーキテクチャパターンは次の3種類があります。
(A)Transaction Script
(B)Domain Model
(C)Table Module
それでは、この3つのパターンについて見ていきましょう。
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