ここでは、計画・実施段階におけるディスカッションの材料を、6種類紹介する。ここでも、コンサルタント/ベンダの立場の方が読む場合には、自社を顧客企業と読み替えてほしい。
情報化は、ユーザー部門の領域である業務プロセスを変える“内政干渉的行為”である。
他人のやることは、内容が優れているほど感情的に面白くないということもある。半面、必要性を感じて参画し、自ら決定に関与し、納得したことに対しては、責任を感じて一生懸命になれるものである。
情報化プロジェクトの多くはユーザー部門の内部の業務や組織の改革であり、これらの内容はその組織の内部で検討され決定されるべき性格のものである。
既存組織とは別の独立した組織で検討や決定をすれば、既存組織との溝を深め受け入れ難いものになりやすい。いずれ別組織に別れていく「新規事業検討」や「新工場建設」プロジェクトなどと基本的に異なる。
情報化のプロジェクトは、できる限り既存組織の機能を使って進め、独立したプロジェクトチームは極力小さなものにしよう。
「権限は組織上のポジションに付与されたもの」である。いくら優秀な人でも、ポジションを離れると組織への影響度は激減する。キーポジションの優秀な人も、プロジェクトチームの専任メンバーになれば、権限を失い十分な能力を発揮してもらえなくなることも多い。
既存の組織の中で影響力を発揮してもらう“質”を期待する人には、プロジェクト評価・マネジメント委員会のメンバーなどの形で、重要な決定に参画してもらうなど、人と役割を工夫しよう(プロジェクト専任体制がベストではない)。
上層部や関係者に、自部門の仕事の内容や特性をPRすることは重要な仕事の1つだ。プロジェクトはこのための絶好の機会でもある。特に多忙なユーザー部門のキーマンには、こんなときぐらいしか説明を聞く時間は取ってもらえない。
面倒な交渉や調整の場ほど絶好の機会ととらえ、心して臨もう。
人間は誰しも、自分がこれからやらなければならない作業に関心が向きがちである。
しかし、“HOW TO”の判断や選択の基準は上流の“WHY,FOR WHAT”の中にある。「上流を理解しておれば/思い出せば、正しい決定や選択を効率的にできる」のだ。
関係者の並々ならぬ努力が必要である。努力が評価されず、報いられることがないなら、人は大きな苦労をしてまで努力を続けるであろうか。“事後評価は、IT化の効果発現のための必須要件”である。
自分の決めたことの結果から、自分の考えや途中でやってきたことが正しかったか否かが分かるのだ。
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