情報システムは業務プロセス改革を支える道具である。アプリケーションシステムの全体構想を業務プロセスに基点を置いて考えてみるのも一法である。
ハーバード・ビジネススクールのマイケル・E・ポーター(Michael E. Porter)教授が考案した「価値連鎖」という概念でプロセスをとらえる考え方(下図)がある。
横軸方向が付加価値を表している。簡単にいえば、左端の原材料価格と右端の市場価格(顧客価値)の差に対し、内部の各プロセスがそれぞれどれだけの価値を付けたかを表わしている。
この図を見たことのある人、知っている人は多い。しかし、自社のケースについて具体的に考えてみた人は限られる。数値まで検討した人はもっと少ない。
この図のそれぞれの枠の中の具体的な業務機能の内容やその重みは、業種や企業によって、また戦略によって異なってくる。
自社について枠内を具体的に記入してみると、それぞれの業務プロセスの競争力や付加価値から見た位置付け、戦略と業務プロセスの関係――「自社がどのプロセスで競争力を持っているのか」「今後どのような戦略(=どのプロセス)で競争力を強化・維持していこうというのか」が見えてくる。
公江 義隆(こうえ よしたか)
情報システムコンサルタント(日本情報システム・ユーザー協会:JUAS)、情報処理技術者(特種)
元武田薬品情報システム部長、1999年12月定年退職後、ITSSP事業(経済産業省)、沖縄型産業振興プロジェクト(内閣府沖縄総合事務局経済産業部)、コンサルティング活動などを通じて中小企業のIT課題にかかわる
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