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» 2005年06月21日 12時00分 公開

何かがおかしいIT化の進め方(17):理想的な上司と部下の関係とは――部下の育成方法 (1/4)

IT業界でも“人の育成”が問題になっている。しかし、一部で話題の能力向上自己責任論は現実的ではない。独力で力を付けられる人間はごくわずかだ。部下の育成は「上司・管理者の大切な業務の1つ」だと考えるべきである。今回は、上司と部下の関係や部下の育成方法などを考える。

[公江義隆,@IT]

はじめに

 IT関係の多くの組織において、人の育成が問題になっている。

 書店には、「SEのための……」や「プロジェクトマネージャの……」といったハウツー本が並ぶ。問題を細分化したり、言葉を新しくして再定義したぐらいで解決できる問題ではないのだが、人間力、EQ、コーチング、……などなど、人の能力にかかわる新しい造語がちまたをにぎわしている。

 一方で、一部にある能力向上自己責任論は現実的ではない。独力で力を付けていける人は、世の中には一握りしかいないからだ。普通の人は、周りの人の手の掛け方次第で育ち方にかなり差が出る。人材育成の手間を省けば、やがて、それ以上のしっぺ返しを組織全体が受けることになるだろう。 部下の育成は、「上司・管理者の大切な業務の1つ」という認識の徹底が必要だ。「部下の成長」という項目を、管理者の業績評価項目に“明確”に取り上げている組織はどの程度あるのだろうか。

 IT分野など、1つの分野に長期間浸っていることが多い仕事や縦割り組織では、知識偏重な組織風土が生まれやすい。知識は時代の変化とともに陳腐化する。しかし、“知識こそが財産”と思っている人や組織では、この唯一の財産を失いたくないために、無意識のうちに変化への対応が消極的になりがちである。

いま多くの会社で、プロジェクトマネジメントの能力が問題にされている。多くの知識があるということと、マネジメント能力は別の種類のものだ。知識偏重な組織風土の中では、よほど意識をしないとマネジメント能力は育たない。 人材育成の具体策というと、個人ごとに育成計画を作り、研修プログラムを充実させ、指導の体制を整備するというオーソドックスな方法を考える企業もあるが、多くのケースでは、知識研修の見直しや強化といったところから、その先になかなか進めない事態になってはいなかっただろうか。

 仕事のアサインの仕方と、日常のちょっとした指導のやり方(OJT:On the Job Training)によって、人の育ち方は随分変わってくる。従来の徒弟制度のようなやり方では、一人前に育つまでに時間がかかりすぎて、現在の環境には合わない。人を早く育てるための生活の知恵を以下に述べてみた。若手の部下を持つ方や、新しく管理者になられた方の参考にしていただければ幸いである。

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