サーバ仮想化といえばVMwareを思い浮かべる人は多いことだろう。だがVMwareは現在、単なるサーバ仮想化を超えた世界を目指しているようにも見える。製品開発担当バイスプレジデントに6つの質問を投げかけた
2007年2月末に来日した米ヴイエムウェア 製品開発担当バイスプレジデントのポール・チャン(Paul Chan)氏は、最新技術の一例として、デスクトップ仮想化製品の「VMware Workstation」バージョン6(執筆時点ではベータテスト段階)に含まれる予定の「VM Record/Replay」機能を紹介した。
Record/Replayは仮想マシン上の処理を、メインメモリ上の状態を含めてすべて記録し、再現することができる。「デバッグには最適なツール」とチャン氏は話し、VMware Workstation 6に搭載された後、サーバ製品にも組み込まれることを示唆した。
サーバ製品の「VMware Infrastructure 3」(VI3)も、もはや単純なサーバ仮想化ソフトウェアではない。負荷分散や障害復旧の自動化ツールが大きな売り物になっている。ヴイエムウェアはいま、どこに向かおうとしているのか。以下では、チャン氏へのインタビューに基づいて、VMwareに関する6つの質問と、これに対する回答を紹介する。
質問1 VI3では、1 CPU当たりの仮想マシンが4つ程度とされていますが、これではサーバ統合効果が足りないという人もいます。今後変更される可能性についてはどうですか。
確かに当社では、デスクトップの仮想化を目的とした利用であれば1 CPU当たり4〜8個の仮想マシン、ヘビーデューティなデータセンター系のアプリケーションでは4つの仮想マシンを推奨しています。当然、ハードウェアでのサポートが進めば、これは変わります。例えば今年中にインテルとAMDはそれぞれのサーバ仮想化技術でネステッドページテーブルをサポートする予定です。当社はこれを活用してパフォーマンスを向上し、これによって仮想マシンの数を増やせると思います。2008年ごろにI/Oのハードウェア支援が実現すれば、これを活用してさらに高速化を図れます。
質問2 ハードウェア支援が進むと、サーバ仮想化ソフトウェア間のパフォーマンスの違いはなくなるのでしょうか。
実現したいソリューションのためにハードウェアを利用する方法によって、差別化する余地は残されていくと思います。当社もこの分野の専門家として、インテルやAMDに対して、どのようなハードウェア支援が必要なのかを伝えています。
両社はそれぞれのやり方でこれを実装します。当社がお願いしたものよりいい機能を実現してくれるときもありますが、当社の望むものに達しない場合もあります。足りないものについては、われわれが補完しなければなりません。パフォーマンス向上について当社がやらなければならないことはまだあるのです。
質問3 VI3では現在、1つの仮想マシンに割り当てられるCPUコア数の上限は4個ですが、これで十分だと思いますか。
仮想マシンごとにこれ以上のCPUが必要になるとは考えていません。将来はどうなるか分かりませんが、現在のスイートスポットは2個です。分かっていただきたいことは、現在のアプリケーションの多くは単一のCPUコアを活用するようにしか書かれていないということです。従って、1個でもオーケーですし、2個だと少し良くなるレベルです。3〜4個を使わせても、アプリケーションが並列化されない限り限界に達してしまいます。
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