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» 2007年04月17日 12時00分 公開

顧客指向開発のすすめ(2):業務設計の前に顧客定義をしっかりやる (1/3)

顧客との関係構築をITで実装することを考えると、顧客の定義に従った業務設計がなされ、企業内の誰もが(あるいは関係先も含めて)、「良い顧客」にとって望ましい行動を取れるようにしなければならない。

[營田(つくた)茂生,日立ソフトウェアエンジニアリング]

顧客維持の重要性

 あなたの所属する企業は、新規顧客獲得(コンクエスト:conquestあるいはアクイジション:acquisition)と、これまでお付き合いのある顧客維持(リテンション:retention)のどちらに比重を置いたビジネスをしているだろうか? もしかすると、いろいろな施策が錯綜(さくそう)していて分かりにくいかもしれない。分かりにくい理由も想像がつく。例えば、新規顧客獲得に対する施策が多く打ち出されていたり、新規顧客獲得に対するインセンティブが設定されていたりする一方で、同時に既存顧客に対して優遇プログラム(例えばポイントシステムなど)が設定されているケースなどである。身近な例では、「x円ケータイ(例えば1円)」を店頭に並べ新規顧客獲得に努める一方、料金明細にはポイントが記載されていたり、さまざまな割引プログラムを充実させていたりする携帯電話キャリアなどがそれに当たる。

 一説には、新規顧客獲得のコストはリテンションコストの5倍だという。コスト差は個別の企業ごとに異なるので5倍以上の開きがある場合もあれば、5倍も開かない場合もあるだろう。ただ、いい換えると「新規顧客獲得に金を掛けるよりも、リテンションに金を掛けた方がもうかるぞ」ということである。

 なぜ5倍もの差が出るのであろうか。顧客に掛かるコストとそこからもたらされる利益を分解すれば図1の例のようになる。

ALT 図1 顧客に掛かるコストとそこからもたらされる利益

 初年度の顧客獲得コストが大きい理由は、これまで取引のない顧客との関係を作るための、さまざまなマーケティング費用などである。

 顧客維持コストは取引年数が長期化するにつれ漸減する。一方取引年数が長期化するにつれ期待利益(=基礎利益+販売増による利益+口コミや影響による利益)は漸増する。これはリテンションがうまくいったケースの、理論上の話である。この「理論」が成立するためには、顧客はその企業にロイヤルティ を高め多様な取引行うなどの、リテンション施策が前提である。

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