ディスカッションテーマのおもちゃ箱(2)何かがおかしいIT化の進め方(32)(2/3 ページ)

» 2007年07月17日 12時00分 公開
[公江義隆,@IT]

ディスカッションのテーマ〜その2

テーマ(4)

 プロジェクト作業で、速度を上げるための方法には、どのようなものがあるだろうか。問題や状況、また相手(人)によって有効な方法が異なってくる。

 具体的にいろいろなケースを想定して、できるだけ多くの方法を考えてみてください。また、それらの有効性について意見を交換してみてください。

ティータイム

 関西に住まわれたことのある方はご存じだと思うが、阪急電車は、神戸行き特急、宝塚行き急行、京都行き特急の3列車が、毎時0分に「梅田駅」(大阪のターミナル駅)を出発し、次の停車駅「十三駅」まで、抜きつ抜かれつしながら併走する。


 どれかの電車に乗って隣を見ていれば、どの電車が1番前を走っている、2番目はと、当然のことながら位置関係として一目で分かる。どの電車が一番速度が出ているか、これも、抜きつ抜かれつの関係で一目瞭然である。こんなことを何回か見ているうちに、自分の乗っている電車は、「いまは一番後ろで、スピードも出ていないが、程なくく隣の電車を追い越す」といったことが何となく感じられるようになってくる。


 つまり、自分の乗っている電車と、隣の電車の加速度が感じられるようになってくるのだ。速度の変化率(微分値)が加速度である。繰り返し(経験)により、頭の中に微分計算をするロジックが作られるようだ。なお、困難やいろいろな抵抗といったものは負の加速度に相当する。


 プロジェクトマネジメントにおける進ちょく管理は、意識して経験を積むことを通じて、作業の進ちょくを速度でとらえ、速度の変化(加速度)を感じられるようになってほしい。経験を通じて得る「勘」というのは、例えばこんなことだと思う。


習熟過程を観測する

 プロジェクトの仕事では、新しい課題を、新しい集団で、場合によっては、それらを新しい(初めての)考え方や方法で実行しようとするわけである。問題の内容や置かれた環境、リーダーやメンバーの資質や、進め方にもよるが、メンバーの1人1人が集団の中で新しい人間関係を形成し、課題の目的や内容、仕事のやり方を理解して、仕事がある程度スムーズに進められるまでには、ある程度の時間(時間はたつものの、仕事のアウトプットはゼロという期間)が必要になる。

 さらに仕事は進みだしたが、目標の生産性や質を確保するまでにも、ある程度の時間を要するのが普通である。ここでは、これらの期間を新しい事態への習熟のための期間と考えることにする。この期間をいかに短期に乗り越えるかはプロジェクトマネージャの力量を問われる重要な課題だ。

 事細かく指示を出し、手取り足取りすれば、一見この期間を早く乗り越えることができるように見えるが、それも度を越すと、その後も指示がないと動かない「指示待ち集団」になってしまう。短期間で自律的なチーム作りのためのバランスの取り方を意識して、経験から身に付けてほしい。

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