BPMプロジェクト成功の鍵[2] - 推進組織と機会特定BPTrends(10)(1/2 ページ)

BPM展開方法論を詳説していく。今回は、BPMプロジェクトの推進母体となる組織と、どこから手を付けるか適切なターゲットを選定する手法についてだ。

» 2007年09月05日 12時00分 公開
[著:デレク・マイヤー, 訳:高木克文,日本能率協会コンサルティング]

ステップ1:推進委員会の設置

本稿は、米国BPTrends.comからアイティメディアが許諾を得て翻訳、転載したものです。

 BPMプロジェクトをうまく推進するためには、それを適切な基盤のうえに位置付けることが重要である。中立的でビジネス指向のガバナンスを執行する機構を設け、課題の優先度の設定、論争の調停、および効果的なプロジェクト推進方針の確立を行わなければならない。この基盤としての役割を果たすのが推進委員会である。

 同委員会は、当面のナレッジ・リポジトリとしての役割も担う。得た教訓を保管し、将来のBPMプロジェクトに役立てるのだ。このナレッジと経験の蓄積が、やがてBPMセンター・オブ・エクセレンス(CoE)と呼ばれる全社的機関の設立に結び付く。

 先見性を持つIT担当者、洞察力に富むビジネスライン(LOB:Line of Business Manager)・マネージャ、あるいはトップ・エグゼクティブなど、さまざまの立場の人間を結集しなければ、BPMプログラムを始動させることはできない。

 プロセスサポートとテクノロジサポートがもたらすパフォーマンス、効率、フレキシビリティ面の直接的ベネフィットだけでなく、俊敏でプロセス指向のビジネス構造が秘めるパワーを理解している人たちである。こうしたメンバーが推進委員会の中核を形成してこそ、その旗の下にほかの社員をリードし、集結させることができるのだ。

 推進委員会を確かな基盤にするためには、以下のようなメンバーの参画を得なければならない。

  • プロジェクトに関連するビジネス領域を率いるエグゼクティブ。最初のプロジェクトのスポンサーシップを引き受ける。必然的役割として、政治的要因をはらむ障害の克服や、関連する組織の変更の断行が求められる。
  • CIO、あるいは最上位IT担当エグゼクティブ。新テクノロジ・プログラムへの連続性を持つ移行、IT活用メリットの説明、および企業レベルの戦略に対するサポートの確保に必要。
  • BPMプログラムマネージャ(あるいは、BPMセンター・オブ・エクセレンス長)。すなわち、初期BPMプロジェクトの日常的マネジメントの責任者。推進委員会における決定の実行を任務とする。
  • プロジェクトと直接関連する機能を代表する上級LOBマネージャ。ビジネスユニットとの直接的協働のうえで、重要な存在。上級LOBマネージャを推進委員会メンバーとして取り込むことにより、課題の優先度をめぐる葛藤(かっとう)が迅速に解決できる。

 推進委員会は、具体的なプロジェクトにビジネスユニットを巻き込むための基本的メカニズムである。関連するビジネスユニットの参画を得なければ、プロジェクトの不成功を約束する道を着実に歩むことになる。そのビジネスユニットに、長期的改革プログラムと、それに対応する外部ソリューションの双方を備えることが必要だからだ。ビジネスユニットの積極的な関与が見えなければ、誰もが成功を目指して本気で取り組まなくなり、プロジェクトに対する十分な支援を得られないであろう。

 関係者の積極的取り組みの喚起は、チェンジマネジメントの基本的課題である。適切な行動を促し不適切な行動を回避するよう誘導する報酬制度の設定が、その対策の1つとなる。

 順調なスタートに向けてプロセスとプロジェクトの体制を整えるために、第一ステップとして、推進委員会におけるワークショップを開催する。このワークショップには主要なステークホルダーが集い、活動のスコープに関する合意を形成し、総合的目標の設定を行う。

 ここで、参加者たちは、他社の経験について聞きたいと思うであろう。イノベーションの危険な最前線に立たされたり、不当なリスクを背負ったりするわけではないことを自己確認するためだ。これに対応する手立てとしては、外部のBPMエキスパートを招き、必要に応じてケーススタディや逸話を交えながら、リーディングとファシリテーションに当たってもらうのが有効である。

 初回推進委員会ワークショップの主な成果物を以下に記す。

  1. ビジネスユニットからの正式なコミットメント表明。活動に対する適切なリソースの投入の確約を含む。
  2. 当該プログラムがどのように企業戦略をサポートし、主要ビジネス目標(KBO:Key Business Objectives)の達成と関連アプリケーションの具体的要件の充足に資するか、を明確化。
  3. プロジェクトの選定に関する戦術的協約、およびスコープに関する合意。その裏付け資料として、委員会で現実的なロードマップと推進日程を作成すべきである。これは、後にプロジェクトが脱線したり、チームがほかの目標をサポートする方向にそれたりするのを防止するのに役立つ。

 推進委員会を開催しマクロ課題に関する合意を得る前に、活動を推進するメンバーは、恐らく最初に手掛ける戦術的プロジェクトを想定しているだろう。

 しかしこの機会を、いま一度長期目標に立ち戻り、より広範なビジネス上のニーズに照らして、その選択の妥当性を検証する場として生かすべきである。効率の向上、顧客サービスの強化、あるいはサイクルタイム短縮といった事柄が、その検討項目になるであろう。適切な戦術的プロジェクトを間違いなく見極めるには、まず一度振り返り、自社のビジネスコンテクストを再把握することだ。

 戦術的プロジェクトが選定された後は、プロジェクトチームにより、明示された目標の実現にピタリと照準を合わせた活動が遂行されるよう見守らなければならない。

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