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» 2007年12月17日 12時00分 公開

仮想マシン環境最新事情(4):VMwareの無償化? そしてHyper-Vとの関係 (1/2)

サーバ仮想化ベンダからデータセンター運用自動化プラットフォームベンダへ進化しようとするヴイエムウェア。しかし同社は2008年、マイクロソフトというライバルを持つことになる。マイクロソフトにどう対抗するのか。これに関連して、近い将来におけるESX Serverの無償化はあり得るのだろうか。サーバ製品責任者のパトリック・リン氏に聞いた

[三木 泉,@IT]

 ハイパーバイザはいつの日か無料になる。これはヴイエムウェアも以前から認めてきたことだ。ではESX Serverはいつ、無償提供されるようになるのか。11月27日にサーバ仮想化製品責任者として同社製品群を説明した米ヴイエムウェア プロダクトマネジメント担当シニアディレクター パトリック・リン(Patrick Lin)氏は、この質問への明確な回答を避けながらも、「ESX Serverはもう単体では売っておらず、『VMware Infrastructure 3』の一部だ。主な付加価値はすでにアプリケーションにある」と強調した。

ALT 米ヴイエムウェア サーバ製品責任者 パトリック・リン氏

 ヴイエムウェアはすでに発表済みの軽量なサーバ組み込み型ハイパーバイザ「ESX Server 3i」を2007年中に正式リリースの予定。米国ではサーバベンダが自社製品に組み込んで出荷するだけでなく、ヴイエムウェアからユーザーに対する直接販売も行う。従来のESX Serverと基本的には同じソフトウェアであるESX Server 3iが単体で有償提供されるならば、近い将来にESX Serverが無償提供される可能性は低いということになる。

 リン氏がヴイエムウェアの提供する価値の多くはすでにアプリケーションに移っていると主張するように、同社は仮想化技術を土台にしながらも、「データセンター運用自動化プラットフォーム」と呼んだほうがしっくりくるほど、各種のツールを次々に投入している。例えば2007年12月12日に発表した「VMware Infrastructure 3.5」はマイナー・バージョンアップながら、「Storage VMotion」などの機能が追加されている。VMotionがサーバを停止することなくある物理サーバから別の物理サーバに移動できるのと同じように、Storage VMotionではストレージのデータをある装置から別の装置に、半自動的に移動できる。計画的メンテナンス作業を大幅に省力化できる可能性がある。

 可用性向上という点では、物理サーバの障害に際し、この上で動いていた仮想マシンを自動的に別の物理サーバ上で再起動できる「VMware HA」や、あるアプリケーション(仮想サーバ)のための物理サーバリソースが足りなくなると、十分なリソースを備えたほかの物理サーバにこの仮想サーバを自動的に移動することで、サーバリソースの全体最適を実現する仕組み「VMware DRS」をすでに提供している。

 今後の方向性やマイクロソフトのサーバ仮想化技術との関連に関する@ITの質問とリン氏の回答は以下のとおりだ。

マイクロソフトへの対抗策

──ヴイエムウェアは現在無償でVMware Serverを提供していますが、これはESX Serverとはアーキテクチャが異なります。ESX Serverが無料で提供されるようになるのはいつなのですか?

 現在、当社はもうESX Serverを単体では提供していません。ESX ServerはVMware Infrastructureの一部として提供しています。ここで何も発表することはないのですが、当社が提供している価値の多くは、すでにESX Serverにあるのではなく、VMware Infrastructureにあるということは明らかだと思います。

──マイクロソフトが2008年に、OSの機能としてハイパーバイザを提供開始することにどう対抗するのですか?

 マイクロソフトが、やることすべてで独占的な成果を収めると考えるのは、彼らを評価し過ぎだと思います。マイクロソフトが素晴らしい会社であることに、疑いはありません。しかし、仮想化はインフラストラクチャのレイヤで実行される機能であり、簡単に代替することはできません。Webブラウザのようなアプリケーションとは違うのです。Webブラウザにしても、私の知人の多くは複数のブラウザを使っていますが。何かの上でミッションクリティカルなアプリケーションを動かす場合、顧客はこれを支える技術を信頼するまでに、時間を必要とします。

 当社は1998年にスタートした会社です。10年経って、大規模な本番環境にも入って行けるようになりました。マイクロソフトがこれと同じような普及率にたどり着くまでにどれくらいの時間が必要かということです。

 ヴイエムウェアはたくさんの技術、たくさんの製品を持っていて、これらを通じて当社の仮想化は大幅な優位を獲得しています。ただし、当社が成功している理由は、技術だけではありません。顧客は当社の技術を利用するために、トレーニングを受けてくれています。そして自社におけるオペレーションに当社の製品を組み込んでくれています。これをある日突然捨て去るということはあり得ません。

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