VMwareの無償化? そしてHyper-Vとの関係仮想マシン環境最新事情(4)(2/2 ページ)

» 2007年12月17日 12時00分 公開
[三木 泉,@IT]
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ESX Server 3iを提供する真意は

──ESX Server 3iについて、ヴイエムウェアは仮想化技術の導入をしやすくする目的で提供するのだと説明しています。私なりの解釈としては、サーバベンダとの関係を強化して、マイクロソフトのOSや仮想化技術をインストールする前にESX Serverを入れてもらいたいという意図もあるのではないかと感じますが、どうなのですか。

 「Viridian」(現在は「Hyper-V」と呼ばれている)がWindows Server 2008にバンドルされるというのは周知の事実です。マイクロソフトは仮想化を、OSの一機能であると言おうとしてきました。われわれはそうは考えません。仮想化はさまざまなことを可能にする別個のレイヤの技術です。このメリットを高めるために、仮想化レイヤはできるだけ偏在することが望ましいと考えます。広めるために一番やりやすい方法は、ハードウェアの一部にしてもらうことです。当社では単に複数のOSを走らせてみたいという人のために無償の製品(VMware Server)も提供しています。顧客はこうした製品をただ試すだけで終わらずに、次の段階に進んでくれています。

──しかし、VMware上で動作しているOSの大部分がWindows Serverだという事実は変えられないでしょう。

 ええ。ある顧客は、「VMwareはWindowsを動かす最も賢い方法だ」と話してくれました。これに大賛成です。もう1つ指摘したいことは、顧客が何を動かしているかということです。現在彼らはWindows Server 2008を走らせているわけではなく、Windows Server 2003、Windows Server 2000、Windows NT 4を動作させています。Windows Server 2008が発売されたとしても、彼らが移行するには長い時間を必要とするでしょう。Windows Vistaで何が起こっているかを考えれば、何らかのヒントが得られると思います。

──当面の製品における改善や機能強化は、何を考えていますか。

 直近では、2007年第4四半期中に提供のVMware Infrastructure 3.5とESX Server 3iです。これらの製品における1つの目標は、仮想化をできるだけ広め、互換性を高めることで、現在数百のサーバハードウェアに加えいくつかのストレージ製品も互換性リストに名を連ねています。この数をさらに増やしていきます。

 もちろん、ハイパーバイザ自体を進化させ、ハードウェア技術の発展への対応や、準仮想化をはじめとするOSの対応などの機能強化を進めています。ただしこれは継続的な活動という性質のものです。

 VMware Infrastructureでは、リソース管理、可用性、モビリティ、セキュリティという4つのポイントを中心に機能を高めていきます。「VMworld 2007」ではチーフサイエンティストのメンデル・ローゼンブルムがサーバ用の「Record&Replay」機能(メモリイメージも含めてリアルタイムで仮想マシン間の同期を行える機能)をお見せしましたが、まだ開発中のこうした技術も、多くの顧客に興味を持ってもらえることと思います。

 最近顧客に当社のロードマップや方向性についてお話ししていて興味深いのは、顧客がますます、仮想化はミッションクリティカルなアプリケーションの稼働にも役立つ、自社のインフラの標準となるべき技術だと理解してくれていることです。

 大多数の顧客はたしかに現在も、直接のコスト削減に結び付くサーバ統合に注目しています。技術の進展で、これは普通に行えることになってきました。しかし最近、サーバ統合だけでなく、可用性向上やディザスタリカバリのために使う顧客も非常に多くなってきたのです。こうした使い方はますます広がっていくと思いますし、われわれも技術を進展させてこうした分野でお客様を助けていきたいと思います。

──将来、仮想マシンを複数の物理サーバにまたがって運用できるようにするような技術を提供すべく、開発しているのでしょうか?

 まず、技術トレンドからいえば、ご質問とは逆のことが起こっていると思います。サーバ用のプロセッサは現在4コアで、今後8コア、16コアのものも登場しようとしています。どんなアプリケーションでこれ以上のものを必要とするかという問題があります。

 質問に対するもう1つの回答としては、「VMware DRS」によってある意味でこれはすでに実現しているといえます。なぜならVMWare DRSではリソースのプールを作成し、複数の仮想マシンを複数の物理サーバ上で必要に応じて移動し、各アプリケーションにとって十分なリソースを確保することができます。これは複数のサーバを単一の大きなリソースプールにまとめ上げているようなものです。

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