日本オラクルは4月3日、電力・ガス・水道の公益業界向けITシステム市場に参入すると発表した。米本社が買収した公益業界向けアプリケーションベンダ、SPL WorldGroupの製品を日本市場に投入する。
オラクルは「Oracle Utilities」の製品群を展開する。第1弾として公益事業の料金・顧客管理アプリケーション「Oracle Utilities Customer Care and Billing」の提供を開始した。同製品は事業者と顧客とのやり取りを効率的に行うためのアプリケーションで、顧客対応機能のほか、料金計算、請求、メーター管理や検針などの機能を持つ統合製品。価格は、顧客10万契約当たり6250万円(税抜)から。オラクルは、メーターデータを管理する「Oracle Utilities Meter Data Management」の提供も予定している。
米オラクルのユーティリティ グローバル ビジネス ユニットのシニアバイスプレジデント兼ゼネラルマネジャーであるクエンティン・グラーディ氏(Quentin Grady)によると、2007年には44社がOracle Utilitiesを導入。22社が採用したという。公益業界に特化したアプリケーションを、オラクルのデータベース、ミドルウェアと組み合わせて提供できるのがオラクルの強みで、導入企業によっては25%以上のTCO削減が可能という。グラーディ氏は「SPLの経験も含めて、過去30年で失敗したプロジェクトはない」と語り、Oracle Utilitiesの効果の高さを強調した。
日本オラクルは公益業界市場に参入するために1年前から準備。数十人の組織を設置し、国内公益企業にOracle Utilitiesを説明してきた。
日本オラクルの常務執行役員 エンタープライズアプリケーション営業統括本部長 桑原宏昭氏によると、「いくつかの公益企業からは強い興味を持ってもらっている」といい、初年度に数社との契約を目指す。特にメインフレームやオフコンで業務を行っている中堅以下の公益企業をターゲットにする考えで、公益業界に強いパートナー数社と協力して拡販する。中小規模の公益企業に対してはASP形式でアプリケーションを提供することも検討する。
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