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» 2008年05月12日 12時00分 公開

会計ソフトが業務改善に効く理由内部統制時代の会計ソフト(2)(3/3 ページ)

[山口 邦夫 (経済ジャーナリスト),@IT]
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各ベンダとも路線はさまざま

 さて、最後にベンダ各社の動向を簡単にリポートしておきたい。最終的には製品そのものの機能で選ぶにしても、サポートを利用するなど、製品を買うということはそのベンダと付き合うということでもある。各社のスタンスを知ることも選択の一助となるはずだ。

 まず弥生だが、小規模企業をメインターゲットに据え、「コストをかけないで本業に専念してもらいたい」という考えをベースに、使いやすさを重視したソフト作りを心掛けている。2005年5月には、従来の弥生会計「スタンダード」「プロフェッショナル」に「ネットワーク」を追加してラインアップを強化。今年4月には、自身も弥生ユーザーであったという経営コンサルタント、岡本浩一郎氏が社長に就任し、今後SaaS対応していくことも発表するなど、メインターゲットに向けたサービス展開に意欲的な姿勢を見せている。

 一方、OBCとPCAは、中堅・中小企業を対象にした市場で戦略的に実績を積み上げている。 両社はともにトップが公認会計士で、ユーザー層もほぼ共通するが、両者の製品に対するスタンスには微妙な相違がある。

 OBCは勘定奉行をはじめ、人事、給与、販売・仕入れ管理など、多数のラインアップを持ち、連携もスムーズに行える。この点を受けて「モジュール面で他社製品より一歩抜きんでている」との評価が高い。

 内部統制関連では、内部統制基盤ソリューションと内部統制構築ソリューションを用意。前者は業務処理統制、承認ワークフロー管理、アカウント・認証管理、履歴・ログ管理など、内部統制を実施するうえで必要なソフトウェアを1セットにしたもの。後者は、文書化支援ソフトウェアの「奉行DOCUMENT Pack」をはじめ、文書管理、内部統制のモニタリング管理など、内部統制プロジェクトそのものを支援するソフトウェアを1つにまとめている。今年2月には「奉行V ERP」のログや認証管理など、内部統制関連機能を強化した。

 PCA会計は「公認会計士や税理士など、実務家の意見をよく取り入れている」といわれている。企業の財務諸表を記述するための言語であるXBRLへの対応で先行しているほか、減価償却制度改正や会社法など、各種制度への対応に力点を置いている点も特徴だ。公益法人向け、社会福祉法人向けなど、対象ユーザーの間口の広さもポイントだろう。

 こちらも内部統制機能を打ち出しており、履歴管理機能や伝票承認機能、パスワードによるユーザー管理機能を強化しているほか、消費税額や伝票番号など、伝票に不正がないかチェックする監査機能を備えている。PCA会計9 システムB(26万2500円)には、スキャナで読み取った財務・税務関連の電子文書を、e-文書法の要件を満たす形で管理し、電子署名やタイムスタンプを取得できる文書管理機能も装備した。

 また、今回は取り上げなかったが、オフコンメーカーとしての歴史を持つミロク情報サービスが、従来の会計事務所チャネル以外の新規市場開拓に積極的に乗り出していることも1つのトピックだろう。中堅・中小企業向けに内部統制対応のERP、MJSLINK IIシリーズなどを投入する一方、低価格帯の会計ソフト、かんたん! 会計(2万6250円)を用意。顧問先企業に自社で記帳してもらうためのACELINK Navi記帳くん07もバージョンアップするなど、川下戦略にも注力していることからは、自計化の裾野が着実に広がりつつあることが感じられる。

 このほか、オービックビジネスコンサルタントのグループ会社、ビズソフトのビズソフト会計(3万6750円〜)、PCAの廉価版ソフト、経理じまん8 V.2(4万1790円)、ピクシスのわくわく財務会計2スタンダード(1万5750円)など、一定の評価を獲得している製品は多数ある。

中小企業向け会計ソフトのバリエーション
製品名 価格
かんたん! 会計 (ミロク情報サービス) 2万6250円
ACELINK Navi記帳くん07 (ミロク情報サービス) オープン価格
ビズソフト会計 (ビズソフト) 3万6750円〜
経理じまん8 V.2 (PCA) 4万1790円
わくわく財務会計2スタンダード (ピクシス) 1万5750円

売れ筋製品でも、自社にとってベストとは限らない

 いろいろと目移りしそうな状況ではあるが、会計ソフトは財務という会社の命を管理するツール。価格や機能の豊富さではなく、自社の状況に適した機能、使い勝手を持っているかどうかを見極め、的確な判断を下したいところだ。前段では筆者なりの結論を示したが、それと同様に各社なりの結論があってしかるべきだろう。

 顧問税理士に会計業務を依頼しているのであれば、事務所側もそのソフトに詳しい方が望ましい。何を購入すべきか相談してみるのもいいだろう。ここで適切なアドバイスが返ってこないようなら、事務所のレベルそのものに問題がないともいえないから要注意だ。

 また操作性などについては、量販店などで実際に入力画面や操作方法などを確認してみることをお勧めする。価格や評判に惑わされることなく、自社の状況や将来性を元に、ベストな製品をじっくりと選びたい。

著者紹介

▼山口 邦夫(やまぐち くにお)経済ジャーナリスト。

1959年佐賀県伊万里市出身。早稲田大学政治経済学部卒業後、新聞社、出版社勤務を経て、1999年経済ジャーナリストとして独立。企業・金融関連を中心に、幅広いジャンルの原稿を執筆。


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