Lotusビジネスの90%強はパートナーとの協業の結果日本IBM、「LotusDay 2008」を開幕

» 2008年07月15日 00時00分 公開
[大津心,@IT]

 日本IBMは7月15日、プライベートイベント「LotusDay 2008」を開幕。報道関係者向けに同社 ソフトウェア事業 ロータス事業部 事業部長 澤田千尋氏が、Lotusの方向性について説明した。

 LotusDayは今年で5回目。申し込み数で2000人を超え、パートナー企業49社が出展している。澤田氏は、「Lotusは90%以上がパートナーとの協業で出荷されている。つまり、パートナーとのエコシステムがなくてはならない存在だ。このイベントでは、パートナー企業も非常に重要な存在だ」とコメントした。

 続いて澤田氏はLotusの事業戦略を説明。IBMは、グループウェアの市場を「従業員数5000名以上の大企業」「100〜1000人程度の中堅企業」「100人以下の中小企業」の3つに分類。大企業では、70%以上のシェアを持ち“優位な市場”であるとした。この市場では、これまでのNotes/Domino 8.xへのアップグレードや「The Lotus Sametime 8」などの周辺製品の購入を促進する。

澤田氏写真 日本IBM ソフトウェア事業 ロータス事業部 事業部長 澤田千尋氏

 一方、中堅企業向け市場では「マイクロソフトやサイボウズ、デスクネッツなどと競合している市場」(澤田氏)と位置付けており、オープンクライアント化やWebブラウザでの操作性向上を目指しているという。中小企業には、「いままでリーチできていなかった。管理者不要なシステムなどで訴求していきたい」(同氏)とした。各市場への取り組みについて澤田氏は、「大企業へは直販がメインになっている。中堅企業向けは、パートナー企業が中心となりながら、IBMがサポートしているケースが多い。中小企業向けは完全にパートナーに任せている」と説明した。

 続いて澤田氏は、今年リリースされる新製品について説明した。ユニファイドコミュニケーションを実現する「The Lotus SameTime 8」は、社内チャットやWeb会議、VoIPなどを実現する製品。IP-PBXをつなぐハブとしても機能するという。同氏は、「米IBMは3月のイベントで、この分野に10億ドル投資すると発表している。今後、かなり積極的に投資していくだろう。それを受けて、日本の大手企業からかなりの問い合わせを受けている。日本のPBXメーカーとの連携も必須となってくるだろう」と語った。

 7月2日に発表した「IBM Mashup Center」は、手早くウィジェットを組み合わせて画面を作成したり、Lotusのデータベースからデータを引っ張ってきてマッシュアップする製品。Googleマップとの連携なども可能になっている。Lotus Notesの最新バージョンである「IBM Lotus Notes 8.0.1」では、Googleガジェットなどとの組み合わせが可能な「My Widgets」や、メールの内容を解釈して関連するプラグインを自動的に呼び出す「Live Text」などが新機能として搭載されている。

 また、「リリース以来、非常に問い合わせが多い」(澤田氏)のが、6月に発表された無料のオフィススイート「Lotus Symphony」の有償サポートについてだという。これは、無料のオフィススイートであるLotus Symphonyを、上限2万ユーザーまで年額357万5000円で有償サポートするというもの。澤田氏は、「357万5000円という値段は、2万ユーザーで割ると1人当たり約180円だ。これはマイクロソフトのOffice製品と比較しても安いはずだ。500人の場合でも7200円になるので、このくらい規模の企業であれば十分コストメリットを出せるはずだ」と語り、自信を見せた。

 中小企業向けのソリューションとしては、Linux搭載のアプライアンスにNotes/Dominoを載せた「Lotus Foundations」を提供する。Lotus Foundationsは、50〜100人規模の企業向けソリューションで、200名以上だと利用できないようになっている。通常、小規模な会社だと専任のIT管理者を置いていないケースが多いため、Lotus Foundationsをネットワークに接続すると、自動的にネットワーク環境を分析し、30分程度で初期設定を自動的に終了させるという。「自動的に初期設定を済ませるため、管理者不在でも十分利用可能だ。パートナー企業による遠隔サポートなども想定しているので、中小企業でも十分利用できるはずだ」と説明した。

 最後に澤田氏は、「大企業や中小企業、業界によってもLotusに求めるものは千差万別だ。IBMは、さまざまなソリューションを提供していくことで、これらのニーズに応えていきたい。今後もパートナー企業を増やしていき、強固なエコシステムを構築したい。大企業では、バージョンアップや周辺ソフトの導入を促進させてさらなるシェア拡大を図り、中堅企業市場ではUI強化に力を入れてさらなるシェア拡大を目指す。そして、中小企業向け市場では、アプライアンスやパートナー強化によって、いまよりも何倍にもシェアを拡大するなど、すべての企業規模においてシェア拡大を目指す」と抱負を語った。

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