連載
» 2008年09月11日 12時00分 公開

システム管理、有事に備えておこう目指せ! ネット時代の幸せな管理者(10)(1/2 ページ)

近年注目を集める事業継続計画(BCP)だが、管理者も当然関係する。そこで、管理者に役立つ事業継続計画について解説しよう。

[仲西 亮子,@IT]

災害に備えて、準備する

 今日の企業は災害に遭ったからといって、取引先との重要業務を簡単に停止することはできません。企業は業務の継続を、たとえ中断しても早期に復旧をしなければならないことが求められています。

 企業の業務の中断は、信用やビジネスチャンス、利益など多くのものを損失しかねません。事業の継続性は企業にとってとても重要な事項となっているのです。

 そこで今回は、皆さんの会社の事業継続計画(Business Continuity Plan:以下、BCP)について考えてみたいと思います。

 BCPは、地震に限らず、天災や人為的災害、事故などを想定し、その状況を乗り越え事業の継続をするために必要なことを事前に検討するもので、有事に備えたものです。

 2006年8月に発生した東京地方の大停電事故は、皆さんの記憶に新しいと思います。こういった事故もBCPで想定する事故の範囲になります。

 今回、視点が「経営者」的な点も少々多くなっていますが、読者の皆さんの今日の業務において、事業の継続性の検討は増えてきている事項かと思います。日ごろの運用とは違って視点で、システムの継続運用を考えてみましょう

前提について整理する

災害とは何か?

 まず、BCPに取り組む際の災害の定義について考えてみましょう。

 冒頭でも書きましたが、天災ばかりが事業の継続を妨げる要因とは限りません。また天災であったとしても、許容可能なレベルはその事業所のある地域によって変わってきます。例えば、水害などは海抜レベルによって想定する被害が変わることがあります。

 このように、BCPを考えるうえでの災害は一律なものではありません。災害の種別については、表1が主なものとなります。このうち、皆さんの会社における被害レベルを検討し、不要な項目を削除してBCP草案を進めてください。

分類 内容 確認すべき点や対応方法
自然災害 落雷 ビルに避雷針の設置
供給電源はCVCFを通しているか
水害(台風/津波/高潮/洪水/集中豪雨) ビルが低海抜地域ではないか
地震 低層棟/高層棟ともに耐震構造で震度6強まで問題なし
震度6強より大きい地震についてはBCPを発動
人為的災害 火災 不活性ガス設備は整っているか
破裂、爆裂 危険物の持ち込みを禁止しているか
水漏れ(工事/操作ミスなど) 防水塗膜や漏水警報の設備は整っているか
盗難 施錠や警備などの設備は整っているか
技術的災害 電気的/機械的事故(工事/操作ミス) 電力系統の冗長化はされているか
停電(発電所事故/送電網障害) 自家発電機の用意はあるか
備蓄燃料の保管
通信途絶障害 通信回線は冗長化されているか
表1 想定される主な災害と確認すべきことと対策

「何を守るか」を整理する

 可能性のある災害について整理し検討した後は、皆さんの会社においてどの業務を最重要事項とするか、という点について考えましょう。

 災害発生時、その後に「本当に必要な業務を中断させないようにする」というのがBCP検討における重要なポイントです。災害といった非日常のシーンにおいて不要な業務を取り払い、必要な業務を行うということが重要です。

検討の流れ

・何が最重要業務か

・被災時にその最重要業務がどんな被害を受けるか

・重要業務が停止したら会社はどうなるか

・業務停止をしないためにはどうしたらよいか


必要な資産を被災させないようにする

 業務以外に、会社には守らなければいけないものがあります。これは、資産をどう守るかです。

 契約書や人事関連の書類など、企業にとって必要な資産(書類でもデータでも)を被災させないように、日ごろから安全な場所に保管しておく必要があります。

 書類であれば耐火金庫などに保管する、データであればバックアップメディアを遠隔保管するなどの対策が必要です。

 また、複製できないもの(契約原本など)は災害発生時、速やかに安全な場所へ運び出せるようリスト化しておく必要があり、また運び出す手順についても検討しておく必要があります。この「日ごろから」というのが、BCPの始まりというわけです。

BCP計画作成時に忘れてはいけないこと

 ここまでで、BCPの前提について考えてきました。ただしBCP草案を考える際に、忘れてはいけないことが3つあります。

 1つ目は、「人命と安全が最優先であること」。当然のことながら企業にとって最も大切なものは従業員の安全です。業務に携わるすべての人々の人命確保と安全最優先を、BCP計画作成時には心掛けてください。

 2つ目は、二次被害の最小化です。地震などの災害発生時に被害を受けた建物に立ち入ることなどは当然のことながら、大変危険です。安全を確認してから行動に移すことを計画に盛り込むようにしてください。

 3つ目は、「地域との協調」です。地震などの災害時は、地域との協調が必要になります。従業員も、地域の被災者のことを見向きもせずに出社することはできないでしょう。過去の大震災後、実際に「被災者救済を最優先にすべき」という意見が従業員から出た企業も多くあったようです。

 この場合、事前の検討として必要なことは、「分散と冗長」です。1人の社員に災害発生時、過剰な負荷は掛けられません。1つの業務も幾つかの項目に分け、また複数の担当者を立てることで、「災害発生時、誰も社員が来ない」「社員がいつまでたっても家族の元に戻れない」といった状況を打破できます。

BCP検討の際に忘れてはいけない3つのポイント

・人命の最優先

・二次被害の最小化

・地域との協調


 では、次に実際のBCP検討のポイントを見ていきましょう。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ