テキストマイニング、マーケティングでも大活躍テキストマイニングの基礎(4)(1/2 ページ)

最終回は、これまでとは異なるマーケティング分野でのテキストマイニングについて紹介していく。

» 2008年10月21日 12時00分 公開
[神田晴彦,野村総合研究所]

4-1 ネット上の書き込み分析

 最近では、インターネット上の書き込みを分析するようなケースが非常に増えてきた。インターネット上の書き込みの分析は、大別すると2種類存在する。1つ目はブログデータの分析である。2つ目は、コミュニティサイトやSNSでの書き込みの分析である。

 前者は、特定のキーワードで収集(クローリング)して利用するケースである。例えば、「キットカット」と入力すると、「キットカット」という単語を含んだブログのエントリ件数や、同時に出現しているキーワードを提示してくれる。

 この図1を見ると、受験シーズンにキットカットの書き込みが増えていることが分かる。

ALT 図1 日によって書き込み件数が大きく増減している。一番の書き込みのピークは、1月にあることが分かる

 ここで利用されているのもテキストマイニング技術である。ブログ中に同時に出現しているキーワードを提示してくれたり、時系列で見たときに、急増傾向にあるワードを教えてくれたりする。

 そうすることで、商品名やサービス名を調べることで、それらと一緒に、どのようなトピックスが用いられているのか、プロモーションの効果は出ているのか、などを瞬時に把握することができる。

 なお、注意すべきはスパムブログの存在である。スパムブログとは、アフィリエイト広告による収入増や、特定のWebサイトへの誘導を目的として自動生成されるブログを指す。特に、ワードサラダと呼ばれる種類のスパムブログは、単語やフレーズを機械的に組み合わせて生成されているブログであり、無意味な単語群や文章となっている。

 これらを排除するために、Webサービスを利用した件数の把握だけでなく、マイニングロジックを多く搭載したテキストマイニングツールで、詳細なインサイトを発見する試みも多く見られる。

 後者は、SNSやコミュニティサイトのデータベースから、特定のデータを抽出して分析するケースである。ブログなどと比べてスパムブログなどは少ないが、一方で、SNSやコミュニティサイトのデータそのものを提供している企業は限られている。

 実例としては、@cosmeの事例がある。@cosmeは化粧品関連の口コミサイトで、美容関連商品10万点以上に対してコメントが集まっている。ここに集まる大量の声をテキストマイニングで分析し、新製品の開発につなげたのが松下電器産業(現パナソニック)である。パナソニックは、「ビューラー」と呼ばれるまつげをカールさせて目を大きく見せるための商品を開発しているが、ターゲット層の「マスカラがダマにならない」という声に着目し、「まつげくるん」を発売。

 「ダマにならない」という商品コンセプトをプロモーションのメッセージングに反映させ大ヒット商品になったという。発売から4年がたった現在も、家電ルートにおけるホットビューラー市場で「シェア約7割を占める」(パナソニック調べによる)ヒット商品となっている。

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