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» 2009年03月31日 00時00分 公開

情報システム用語事典:フローダイアグラム(ふろーだいあぐらむ)

SFD / stock and flow diagrams / ストック&フローダイアグラム / ストック・フロー ダイアグラム

[@IT情報マネジメント編集部,@IT]

 システムダイナミックスで、シミュレーションモデルを構築する際に利用する図式表現のこと。ストック&フローダイアグラムともいう。

 システムダイナミックスは、検討対象とするシステムを連立常微分方程式の形に表わし、これを差分法で離散的に解くことでシミュレーションを行う。この微分方程式の数学モデルを作るに当たり、システムを構成する要素間の因果関係、フィードバック関係を整理するために用いられる図がフローダイアグラムである。初期のシステムダイナミックスではフローダイアグラムの数式化は手作業だったが、現在ではGUIの専用ソフトウェアがあり、PC画面上でフローダイアグラムを描画するだけで自動的に方程式が設定され、対話型の環境でシミュレーションを実行できる。

 システムダイナミックスモデルの最も基本となる変数が「レベル」と「レイト」の2つである。「レベル」とは、システムに内部に蓄積される量をいい、システムの状態を表す。企業モデルならば在庫、従業員数、現金残高、都市モデルならば人口、企業数、住宅戸数などである。フローダイアグラムでは一般に矩形記号で表わされる。論者・ソフトウェアによっては「ストック」「アキュレーター」と呼ばれる。

 「レイト」は、単位時間当たりの流れ(フロー)の速度ないし量(流量)のことで、諸要素がレベルに流れ込んだり、レベルから流れ出たりすることで、レベルの値が変化する。企業モデルであれば在庫の入庫/在庫、従業員の雇用/解雇、現金の受け取り/支払い、都市モデルであれば住人の出生・転入/死去・転出、企業の創業・転入/廃業・転出、住宅の建設/損失・損耗などが相当する。なお、広く使われているシステムダイナミックス・ソフトウェアの「STELLA/iTHINK」では、流れの変化量――すなわち上記のレイトを「フロー」、流れを「コネクタ」と呼んでいる。

ALT 最も基礎的なフィードバック

 さらにフローダイアグラムでは、「補助的変数」「定数」「意思決定機構」「遅れ」「ソース」「シンク」の記号が定義されている(ソフトウェアによって若干の差異がある)。要素の流れであるフロー(コネクタ、あるいはネットワークとも)は矢線で描かれるが、異なる要素を扱う場合は矢線記号を変えて要素種類を区別する。流れの途中で要素の種類が変わってはならないためである。

 意思決定機構はレイトを制御する数式やルールで、任意のレベルから情報を受け取ってレイトの量をコントロールできる存在である。レイトに意思決定機構を置き、そこに任意のレベルから情報フローが流れ込むようにすると、要素フローと情報フローでフィードバックループを形作ることができる。フローダイアグラムは、このフィードバックループを基本単位として、複雑なシステムの挙動を表現していく。

参考文献

▼『インダストリアル・ダイナミックス』 J・W・フォレスター=著/石田晴久、小林秀雄=訳/紀伊国屋書店/1971年1月(『Industrial Dynamics』の邦訳)

▼『システム・ダイナミックス・ノート』 マイケル・R・グッドマン=著/蒲生叡輝、山内昭、大江秀房=訳/マグロウヒル好学社/1981年6月(『Study Notes in System Dynamics』の邦訳)

▼『システム・ダイナミックス入門――複雑な社会システムに挑む科学』 小玉陽一=著/講談社(ブルーバックス)/1984年1月

▼『システム・ダイナミックス――経営・経済系の動学分析』 宮川公男、小林秀徳=著/白桃書房/1988年10月

▼『システムダイナミックス入門』 島田俊郎=編/山内昭、内野明、町田欣弥、高萩栄一郎、椎塚久雄、黒野宏則、山極芳樹、石川芳男=著/日科技連出版社/1994年4月


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