ニュース
» 2009年04月23日 00時00分 公開

「Oracle OpenWorld Tokyo」開幕:「すべてを行う」、オラクルが明かすオープンソース戦略

[垣内郁栄,@IT]

 日本オラクルのプライベートイベント「Oracle OpenWorld Tokyo」が4月22日に始まった。就任後初めての大規模イベントに挑んだ同社 取締役代表執行役 社長 最高経営責任者(CEO)の遠藤隆雄氏は「このような経済環境下だが、明るいイベントを通して新しいイノベーションを生み出したい」と話した。米オラクルは米サン・マイクロシステムズの買収を発表したばかりで、今後の動向が注目されている。しかし、オラクル幹部からはサンについての言及は、ほとんどなかった。

日本オラクルの取締役代表執行役 社長 最高経営責任者(CEO)の遠藤隆雄氏

 基調講演した米オラクルのインダストリー・ビジネス・ユニット(IBU)担当のシニア・バイス・プレジデント ソニー・シン氏は、オラクルの現在の戦略として「Complete」「Open」「Integrated」の3つをキーワードを挙げた。Completeとは業界ごとに適合したソリューションを提供する考え。オラクルはERPだけでなく、買収戦略によって数多くの業界特化型のソフトベンダを買収してきた。年間1000億円以上の研究開発も続けていて、「完璧なポートフォリオになった」(シン氏)。シン氏は述べなかったが、サン買収が仮に成功するとオラクルのミドルウェアはさらに拡充されることになる。

 もう1つの戦略キーワードであるOpenは標準技術へのコミットメントを指す。(現在はハードウェア以外の)ほとんどのレイヤで製品を持つオラクルだが、「われわれはすべてのレイヤをオラクル製品に置き換えることは提案しない」とシン氏はいう。その代わりに標準技術をオラクル製品のベースに採用し、「(他社製品との)相互運用性を確保している」と話す。シン氏は標準技術をサポートする例として、サンが開発をリードするJavaや、BPEL、Webサービス技術などを挙げて、今後のコミットメントも強調した。

米オラクルのインダストリー・ビジネス・ユニット(IBU)担当のシニア・バイス・プレジデント ソニー・シン氏

オラクルのオープンソース戦略

 シン氏の講演では、サンが買収したMySQLなどオープンソースソフトウェアへの言及はほとんどなかった。しかし、講演後の質疑応答では、オープンソースについて「オラクルはオープンソースへの投資を3通りで考えている」と説明した。その3通りとは、(1)社内でのオープンソース採用、(2)バグフィックスの提供、(3)サポートサービスの提供で、シン氏は「オラクルはこのすべてを行っている」と強調した。

 その上で、「アーキテクチャの全レイヤで戦略を持っている。OSレベルではLinuxにフォーカスしているし、例えばMySQL、Apache、Eclipseなどのサポートも全面的に提供している」と話した。サンの買収を完了した後、オラクルがMySQLなどのオープンソースソフトウェアをどのように扱うかについては、心配する声も出ている。

 3つ目の戦略キーワード「Integrated」はSOA技術を使って業務プロセスを統合し、企業の統合コストを下げることを指す。オラクルはSOAに基づくアプリケーション統合基盤「Oracle Application Integration Architecture」(Oracle AIA)を展開している。Oracle AIAによって企業は、複数のアプリケーションで構成された検証済みの業務プロセスを手に入れることができ、システム構築作業を短縮できる。シン氏はインフラを担当するアプリケーションの統合だけでなく、ビジネスインテリジェンスなどの分析アプリケーションも統合して提供できるようにすると話した。

業界の企業ランキングが変わる

 昨年夏以降の経済環境悪化で、多くの企業は新規のIT投資を凍結した。しかし、シン氏は調査結果を挙げて、「景気低迷期には業界の企業ランキングが変わる」と指摘。「賢い企業は景気低迷期に飛躍する」と話し、IT投資の短期プラン、長期プランを策定すべきと説明した。短期プランはコスト削減や収益拡大を実現し、企業の競争力向上をもたらす施策で、長期プランは将来の成長を支える基盤を用意することを指す。

 シン氏は短期プランとしてオラクルの業務アプリケーションを活用して、製品価格戦略の質を高めた米ヒューレット・パッカードや、サプライチェーンを効率化したインドのタタ・モーターズ、優良顧客を分析し、顧客にあったサービスを提供しているアラスカ航空などを紹介した。また、長期プランとしてはオラクルの次世代アプリケーション「Oracle Fusion Applications」を紹介。質疑応答ではOracle Fusion Applicationsについて、「これから先はOracle Fusion Applicationsについて、いろいろと発表がある。実際に製品が提供されるものもあるだろう」と話した。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ