インドオフショアでは意思伝達のリスク管理が必要インドオフショアの裏話(3)(1/3 ページ)

今回は、その中でもインドと日本の文化の違いからくる意思伝達におけるリスク管理の重要性について説明する。

» 2009年05月20日 12時00分 公開
[向井永浩,ソフトブリッジソリューションズジャパン]

 日本とさまざまな面で異なっているインド文化。オフショア開発でも、この文化がとても影響してきます。

 このように、インドオフショア開発では国内開発と比較すると、文化の違いが原因となって問題が起きる可能性要素が多く潜在しています。従って、インドオフショア開発を成功に導くためには、この要素をどのように管理するかが重要となります。そこで今回はインドオフショア開発における、意思伝達に対するリスク管理について解説します。

なぜ意思伝達に対するリスク管理が必要なのか?

 まず始めに、日本人とインド人が意思疎通する中で「情報の欠落/誤解」が発生した場合、どのような問題が発生するのでしょうか?

 例えば、日本側が策定した上流工程のある仕様情報が、欠落した状態でインドに伝達されてしまったとします。

 インド側は「欠落した仕様情報」を受け取っているので、当然欠落している部分の仕様情報については、まったく考慮せずにその後の下流工程を実施します。そして、それが日本に戻ってくれば、当然「仕様情報の欠落」が日本側の人員によって発見されます。ここまでは国内開発でもよくある話でしょう。

 しかし、この後、この問題を解決するために費やす工数は国内開発とは比較になりません。なぜならば、インドオフショア拠点ではお客さまに対して、「顧客は神さまではなく、契約の範囲内で最大限に奉仕する者」という意識があるためです。

 すなわち、この「仕様情報の欠落」を指摘しても、インド側からすれば「そもそも欠落した仕様情報を渡されたため、結果として欠落したに過ぎず、与えられた仕様に関してはきちんと完成させた」と認識しているのです。

ALT インドのシズラー。シズラーとはいろいろな具材が乗った鉄板焼

 そのため、その後の修正は“仕様変更”であり、“契約の範囲外である”ととらえるため、非常に交渉が困難となります。

 すなわち、文化や言語が異なっているインドオフショア開発は日本国内開発と比較して、意思伝達する中で「情報の欠落/誤解」が生じやすく、また、問題が発生したときにそれを解決するために費やす工数は大きいといえます。従って、“そもそも問題を発生させないように”リスク管理をすることが非常に重要なのです。

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