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» 2009年11月20日 00時00分 公開

BMCとCAがForce.com上でアプリケーションを開発・提供両社CEOが登壇し、協力関係を強調

[大津心,@IT]

 米セールスフォース・ドットコムは、年次イベント「Dreamforce'09」を開催している。2日目となる11月19日(米国時間)の基調講演では、同社CEO マーク・ベニオフ氏が前日説明されなかった「Custom Cloud2」を中心に、パートナー各社を紹介した。

ベニオフ氏写真 米セールスフォース・ドットコム CEO マーク・ベニオフ氏

 2日目の基調講演も立ち見が出るほど盛況であり、ベニオフ氏は来場者への感謝の言葉から講演を始めた。同氏は、「イベントの内容をぜひ自社に持ち帰っていろいろと議論してほしい。必要であれば、当社の人間が伺って説明し、『Private Dreamforce』を行う。いつでも『Private Dreamforce』を呼んでほしい。何なら私自身が行ってもいい」と会場に強く訴えかけた。

 また、ベニオフ氏はForce.com上でのネイティブアプリケーションの開発企業を今後も積極的に拡大していきたいと強調。「中でもフォーチュン100に入るような大企業にぜひ参加してほしかった。今日はついに1社目を紹介できる」(ベニオフ氏)とし、米BMC softwareのCEO ボブ・ビーチャム(Bob Beauchamp)氏を紹介した。

BMCがForce.com向けにサービスデスクを開発

 ビーチャム氏とベニオフ氏は、2年前にサンフランシスコのレストランで会話して以来、協力関係を模索し、今回の提携につながったという。BMCは、同社のサービスデスク製品を2カ月以内にForce.com向けに作り直し、提供する予定。2010年第2四半期のリリースを目指しているという。

ベニオフ氏とビーチャム氏写真 左)ベニオフ氏、右)BMC CEOのビーチャム氏

 ビーチャム氏は、「大企業ほど社員が多く対応に苦慮しているため、素晴らしいサービスデスクを持ちたいと考えている。しかし、自社内にサービスデスクを持つのはコスト高だ。2年前にベニオフ氏と会話したときから、『クラウドでサービスデスクを提供すれば安くできるはずだ』と確信していた」と経緯を説明。

 デモでは、社員のジョンさんが「メールにアクセスできない」とサポートサービスに連絡してきたケースを紹介。サポート担当者は、「クライアントディテール」を見るだけで、どのような人物が連絡してきたかが分かる。さらに、現在のサービス状況を確認し、ジョンさんのメールサーバが落ちていることを確認。そのことを、サーバ管理者とジョンさんに連絡することで、ステータスは自動的にクローズに変わるという。

 ビーチャム氏は、「この機能を利用すれば、ナレッジデータベースを容易に構築できるほか、サポートサービス共通の問題もすぐに検索できるほか、各担当者が自分が担当することの多い事例だけを集めたパーソナライズもできる。それにより、サポート効率も上がるはずだ。今回、構築してみて分かったことは、Force.comはプラットフォームとして素晴らしいという点だ」とコメントした。

ローソンCIOの横溝氏がLotus Notesから乗り換えた背景を説明

 ベニオフ氏はビーチャム氏の登壇を受けて、「BMCができたことは、ほかのみんなもできるはず。普段から.NETやjavaを使って開発していれば必ずできる。そしてクラウドの世界を広げていきたい」とコメントした。

ベニオフ氏と横溝氏写真 左)ベニオフ氏、右)ローソン CIOの横溝氏

 「クラウドであればサポート料金は必要ない。エンタープライズアプリケーションでは、製品価格の22%を毎年サポート料金として徴収しているが、これが必要なくなるのだ。chatterも、AmazonやFacebookなどのコンシューマの世界からできることを教えてもらい、アイデアをもらった。それもクラウド環境であるため数カ月で開発し、すぐにリリースできる点は大きい。このようにクラウドの素晴らしさに気付き、オンプレミス型からクラウドへ移行した会社を紹介したい」という言葉に応じて、ローソンのCIOである横溝陽一氏が登壇した。

 ベニオフ氏は「ローソンというと米国ではソフトウェア企業を連想する方が多いと思うので、まずはローソンの会社説明から行ってほしい」と紹介し、横溝氏はそれを受けて「ローソンは日本有数のコンビニエンスストア。日本のほとんどの県に存在し、店舗数は全国で約8600店舗におよぶ」と紹介した。

 ローソンは、「PRiSM」と呼ぶ業務改革と新しいIT戦略で店舗運営などの改革を実施中で、その一環として2009年4月に同社の情報システムをLotus NotesからForce.comへ移行を完了した。具体的には、Force.comでWebアプリケーションとして再構築し、情報を一元的に管理できるようにした。

 横溝氏はLotus NotesからForce.comへ移行した経緯について、同氏が以前i2 Technologiesで働いており、そこのコンサルティングを受けて移行した。移行によってさまざまなコストを削減できたとし、「現在ではマーケットや消費者ニーズの変化に、柔軟かつスピーディに対応することが重要。この課題に対応するためには、1ベンダですべてのシステムを構築する従来のオンプレミス型のシステムでは時代遅れだ。さまざまなところで磨かれたアイデアを柔軟に組み合わせることができる、Force.comのようなクラウドコンピューティングに確実にシフトしている」とコメントした。

CAは、Force.com上で動くアジャイル開発管理ツールを開発

 BMCのビーチャム氏に続く大物ゲストは、米CAのCEO ジョン・スウェインソン(John Swainson)氏。スウェインソン氏とベニオフ氏は、ベニオフ氏が最初に勤務したIBM時代から続く仲だという。

ベニオフ氏とスウェインソン氏写真 左)ベニオフ氏、右)CA CEOのスウェインソン氏

 CAがForce.com上で提供するのは、アジャイル開発管理ツール。スウェインソン氏はこのツールについて「いまではアジャイル開発がだいぶ浸透してきたが、アジャイルの歴史は古く、私は1992年に知った。これをForce.comで変える。具体的には、アプリケーション開発をより細分化して管理するために、まず『スプリント』という塊に分解する。そして、そのスプリントを詳細に管理しながら柔軟に開発をしていくというものだ。この製品自体、数カ月で製品化に至っている。2010年初頭にはリリース予定だ」と説明した。

 ツールデモでは、中国向け製品開発プロジェクトを担当しているプロジェクトリーダーのケースを紹介。まず、全体像を表示する部分では、プロジェクトの要件に挙がっている機能一覧が表示される。例えば、その中の中国語表示に関する開発プロセスが抜けていたとし、それを急きょプロセスに入れるとすると、開発リソースが自動的に再配分され、開発期間も再計算される。

 スウェインソン氏は、「クラウドは時代を変える大転換期。当社の製品もその時流に乗るためにForce.comでの開発を決意した。アジャイル開発はクラウド時代にこそニーズの高いものなのでサポートしていきたい」と語った。

Google Appsの中で一番人気があるのはGmail

 スウェインソン氏に続いて登壇したのは、Google Enterprise部門のプレジデントを務めるデイブ・ジロード(Dave Girouard)氏。

ベニオフ氏とジロード氏写真 左)ベニオフ氏、右)Google Enterprise部門担当プレジデント ジロード氏

 ジロード氏は「クラウドは着実に進化・発展していっている。IBMやMSもクラウドに参入してきている。それに伴い、Google Appsも進化している。ユーザーは2000万人以上おり、教育分野ではトップシェアだ。2009年には前年比で400%増えた。機能も追加し続けており、2009年もすでに100以上の新機能をリリースした」と説明。さらに「200万社がGoogle Appsに切り替えている。なぜならクラウドやGoogleに切り替えることでさまざなま問題を解決できるからだ。われわれは選択肢の1つを提供することが必要だ」とクラウドの優位性を強調した。

 また、Google Appsで一番人気のあるのはやはりメール機能の「Gmail」だという。ジロード氏は、「Gmailがやはり一番人気がある。まずはGmailから入ってその便利さに気付き、ほかのアプリケーションへ利用を広げるケースが多い。このようにクラウドを使ってみれば、その良さが分かるはずだ」と語り、クラウドの良さをアピールした。

chatterはアプリケーションではなく、ソーシャルプラットフォーム

 続いてベニオフ氏は、前日発表した「salesforce chatter」を再度紹介した。chatterは、TwitterとFacebookの要素を取り入れたエンタープライズ向けのクラウドコラボレーションツール(詳細はこちらを参照)。

 chatterでは、作成したグループ内で関係者同士がつぶやき合えるほか、そのグループに関係するアプリケーションから関連するアラートや情報がフィードとして表示される。その際に重要となるのがフィルタだ。フィルタを通さなければ、自分にとって重要でない情報も来ることになり、生産性が落ちる可能性があるからだ。chatterでは、さまざまなフィルタを用意しているほか、自分でフィルタを作ってカスタマイズすることも可能になっている。

 ベニオフ氏は「TwitterやFacebookはデータが社外にあるため、企業側が管理できないのでエンタープライズ用途での利用は難しい。一方、chatterではコンテンツマネジメントだけでなく、アプリケーション管理も可能だ。自社のアプリケーションは当然のこと、新しいアプリケーションもchatterとつながるだけでソーシャルアプリケーションになる」と語り、chatterのメリットを強調した。

 例えば、運用管理者向けのグループを作成し、運用管理ツールにアラート設定してフィードさせれば、グループ内での情報共有だけでなく、アラート情報も管理者同士で共有できるという具合だ。

 ベニオフ氏はこの点について、「これはもはやエンドユーザー向けのアプリケーションではなく、エンタープライズ向けのソーシャルプラットフォームだ。Facebookとプロフィール連携できるだけでなく、TwitterやGoogle Toolkitとのインテグレーションもできる。また設定次第では、プライベートな部分は隠し、公開したい部分だけ公開することも可能だ。この画期的なプラットフォームを活用し、社内のコミュニケーションやコラボレーションを画期的に改革してほしい」とchatterの可能性を語り、講演を締めくくった。

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