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» 2010年04月20日 00時00分 公開

情報システム用語事典:XBRL(えっくすびーあーるえる)

eXtensible Business Reporting Language / 拡張可能な事業報告言語

[@IT情報マネジメント編集部,@IT]

 ビジネスに関する各種の報告情報をコンピュータで自動処理できるようにするため、XMLをベースに作られたメタ言語のこと。

 通常、企業は株主や投資家、銀行や債権者、さらには税務当局をはじめとする監督官庁などを対象にさまざまな報告や情報開示を行っている。これらは同じ情報ソース(1つの経営アクション)が異なる項目として集計されたり、異なる計算式が適用されたり、最終的な文書形式がさまざまであったりと煩雑な情報加工が必要とされる。また、報告書を受け取る側でも書式が異なっていたり、たとえ電子化されていても単純なHTML形式やPDF形式では機械的な再利用が困難で、人手を介して処理するしかなかった。

 そこで、これらのビジネスレポーティング(特に財務会計報告)に関して、XMLの技術を応用してデータの作成・流通・分析・変換を効率化することが考えられた。このとき、報告書の受け手の視点から利便性の高い標準フォーマットを作る仕様として提案された報告書記述言語がXBRLである。

 一般にXMLによる業界標準の策定という場合、業界内で使われる概念や語彙(ごい)に関する規約をXMLボキャブラリとして規定することをいうが、企業の報告情報という大きなくくりでは国、業界、企業ごとに細部が異なるため、XBRLは直接的に標準語彙を定義するのではなく、その記述ルールを定めるメタ言語として仕様が制定されている。別の言い方をすると、自由すぎるXML仕様にビジネスレポーティングのための制限を加えた標準規約といえる。

 XBRL文書は、タクソノミとインスタンスの2つの部分からなる。タクソノミとは当該報告文書で使われる要素(語彙や概念)の体系――会計ならば勘定科目の体系をいい、会計基準や税法といった分野ごと、業種や業界ごとに共通タクソノミが作られる。必要に応じて企業や部門ごとにローカルなタクソノミを作成、運用することも可能である。技術的にはタクソノミは、タクソノミスキーマとリンクベースで構成される。タクソノミスキーマは語彙要素を収めた辞書であり、リンクベースはその親子関係や計算関係※、表示順などを定義したルール集である。他方、インスタンスは個別具体的な報告文書(データの値を記述した文書)であり、対応するタクソノミを必ず参照する。

※ 「純資産=総資産−負債」というような関係

 標準的XBRLを企業の報告システムに適用すると、会計基準や法令の改正があっても共通タクソノミが改定されれば、対応が容易に行うことができる。また、XBRLによる標準化を通じて財務情報の入力から最終アウトプットまでが自動化できれば、不正会計の防止などにも貢献すると期待されている。

 各種の報告文書がXBRL化されると、報告の受け手は特定の勘定科目の値を抽出して集計や分析するといった2次活用や異なる会計基準による報告書を比較するといったときに利便性が高まる。また、こうしたXBRL文書がインターネットで広く公開されるようになると検索精度が向上し、情報価値が大幅に高まる。こうした期待から「XBRLは最も成功したセマンティックウェブのメタデータ形式」ともいわれる。

 XBRLの歴史は、米国公認会計士のチャールズ・ホフマン(Charles Hoffman)が1998年4月に仕様が公開されたばかりのXMLの存在を知り、これで財務報告の事務効率化ができると思い付いたことに始まる。同氏はXML財務諸表のプロトタイプ開発を進めながら米国公認会計士協会(AICPA)にその意義を説明、同年10月にAICPAはXMLを用いた財務諸表の試作を決定し、プロジェクトが動き出した。2000年4月にXFRML(eXtensible Financial Reporting Markup Language)だったコードネームがXBRLという名称に変更され、2000年7月に「XBRL Specification 1.0」と「US GAAP C&I Taxonomy」が発表された。

 2001年には「XBRL Specification 2.0」、2003年には「XBRL Specification 2.1」と「財務報告用タクソノミアーキテクチャ(FRTA)」が発表されている。このXBRL Specification 2.1は、日本では「JIS X 7206 - 規格名称 拡張可能な事業報告言語(XBRL)2.1」として国内標準となっている。なお、日本はXBRLの活用と普及に積極的な国で、国税庁や日本銀行、東京証券取引所(TDnet)、金融庁(EDINET)などでXBRLが採用されている。

 XBRLはXFRMLという名称から改められたとおり、汎用的な事業報告言語として位置付けられている。従来は財務会計分野の報告情報(法定開示など)を中心に発展してきたが、今後は非財務領域の報告情報の取り扱い強化が進められている。そのため、XBRLは注記情報の意義が大きくなると予測されるIFRSを実運用するうえで、大きな役割を担うものと期待されている。

参考文献

▼『IFRS時代のレポーティング戦略――XBRLで進化するビジネスのしくみ』 チャールズ・ホフマン、岩本敏男=著/ダイヤモンド社/2010年3月

▼『21世紀の財務報告――XBRLの本質』 ブライアン・バージェロン=著/河崎照行=監訳/同文舘出版/2007年7月(『Essentials of XBRL: Financial Reporting in the 21st Century』の邦訳)

▼『XBRLによる財務諸表作成マニュアル』 XBRL Japan=監修/坂上学、白田佳子=編/日本経済新聞社/2003年11月

▼『XBRL入門――財務情報の新たなグローバルスタンダード』 淵田康之=著/日本経済新聞社/2003年11月


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