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» 2010年05月11日 00時00分 公開

KDDIなど通信事業者で採用:SAS、周囲の購買行動に影響を与える顧客を判定するツール

[伏見学,@IT]

 ビジネス分析サービス大手のSAS Institute Japanは5月11日、ある製品やサービスの消費者同士の関係性を分析し、それをマーケティングに生かすためのソフトウェア「SAS Customer Link Analytics」を発表した。膨大な顧客データの中からマーケティング効果の高いコミュニティを選定し、そこに属する顧客をさまざまなタイプに分類するとともに、顧客と顧客の「つながり」の密度や方向性を解析できる点が特徴だという。

 新製品は、同社が既に提供している包括的な顧客データ管理製品「SAS Customer Intelligence Suite」のコミュニティ分析機能を強化するもの。Customer Intelligence Suiteは顧客一人一人のデータ分析に焦点を当てていたのに対し、Customer Link Analyticsでは顧客間のつながりと顧客の行動、影響力をマーケティングに活用することを目的としている。「顧客のデータ分析だけでなく、企業のマーケティング活動全体を支援する仕組みが必要だった。Customer Intelligence Suiteに組み合わせることで、顧客の行動分析と人間関係分析を融合した高精度なマーケティングが可能になる」と同社 ビジネス開発本部 CIグループ部長の高橋昌樹氏は強調する。

「SAS Customer Intelligence Suite」の機能概要 「SAS Customer Intelligence Suite」の機能概要

 Customer Link Analyticsは具体的に、「コミュニティ分類」「顧客タイプ判定」「解約トリガー」「顧客の視覚化」の4つの特徴を持つ。コミュニティ分類は、新製品キャンペーンなどのマーケティング施策に対して高い効果を出す消費者コミュニティを選定、プロファイリングを行い、そのコミュニティにおける「インフルエンサー」(ほかの消費者に対して大きな影響を与える人)を特定する。

 顧客タイプ判定では、情報伝達のプロセスなどに応じて、コミュニティの中心的な存在である「リーダー」やインフルエンサー、仲間の行動を後追いする「フォロワー」などに顧客を分類する。例えば、企業がある製品プロモーションをする際に、従来であればコミュニティの顧客全員を対象にアクションを起こしていたが、周囲の友人などに情報を広めてくれそうなインフルエンサーを重点的に押さえることで、より効率的なプロモーションが可能となる。顧客タイプについては、通話やメール、Web掲示板への書き込みなど顧客同士のコミュニケーションのデータ量を基に、つながりの強さや情報伝達の向きを分析することで分類する。例えば、Aという顧客が起点となり複数人に対し情報が流れていて、さらにその周辺に伝播していれば、Aをインフルエンサーと特定する。

 解約トリガーは、ネガティブな影響を防ぐためにインフルエンサーとの関係を維持していくというもの。一般的に、あるサービスをインフルエンサーが解約すると、フォロワーも連鎖的に解約するリスクが高い。そこで、Customer Link Analyticsはリーダーの解約などを確実に検知し、顧客に最適な施策を打つことで、連鎖的な解約を未然に防ぐためのアラート機能を実装する。

 顧客の視覚化では、顧客と顧客を結ぶネットワークを可視化し、顧客それぞれの役割を把握することで、新たなマーケティング施策を立案できるようにする。

顧客の購買行動が変化

SAS 執行役員 ビジネス開発本部長兼プロフェッショナルサービス本部長の宮田靖氏 SAS 執行役員 ビジネス開発本部長兼プロフェッショナルサービス本部長の宮田靖氏

 同社が顧客同士の関係性に着目した背景には、顧客の購買行動において、企業の宣伝や広告ではなく、一般消費者の口コミやWeb上での評価コメントなど、いわゆる「ソーシャルインフルエンス」が影響力を持ち始めているからだ。同社 執行役員でビジネス開発本部長兼プロフェッショナルサービス本部長を務める宮田靖氏は「顧客の通話履歴やSNS(ソーシャルネットワークサービス)のメールなどのコミュニケーションデータを分析することでインフルエンサーやフォロワーを特定でき、そこから新たなマーケティング施策につなげられる」と話す。

 Customer Link Analyticsは、モバイル通信事業者との共同試験により開発された製品で、既にVodafone Italiaをはじめ、ヨーロッパ、米国、アジアの企業で導入実績がある。国内ではKDDIが採用している。今後は通信事業者だけでなく、インターネットサービス企業やロングテール商材を扱うオークション事業者のほか、「アフターサービスのための顧客コミュニティを抱えるメーカー企業」(宮田氏)などにも販路を拡大していく方針だ。

 価格は3000万円から。国内では2010年度に(KDDIを含む)3社、2011年度には6社からの受注を目指す。

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