フラッシュマーケティング(ふらっしゅまーけてぃんぐ)情報マネジメント用語辞典

flash marketing / 閃光マーケティング

» 2011年07月27日 00時00分 公開
[@IT情報マネジメント編集部,@IT]

 販売期間や販売数量などを限定して緊急性をもたせた商品をソーシャルメディアなどを使って購入希望者を募り、短期間に売り切る販売手法のこと。

 購入希望者がネットを介して結集し、目的(商品購入)を終えるとすぐに解散するところがフラッシュモブ(※)に似ているところから、フラッシュマーケティングと呼ばれる。


※ ネット上で事前に示し合せた不特定多数が現実の場所に突然集合し、目的のパフォーマンスを行って、終了すると即座に解散するゲリライベントのこと


 フラッシュマーケティングの先駆者として知られるのが、共同購入サービス会社の米国グルーポンである。同社は、飲食店などが発行した割引クーポンをオンラインで販売するが、その割引率は通常価格の50%オフ、70%オフといったものが多く、これを24〜48時間の短期間で売り切る。最低設定数に満たなければ取り引きが成立しない仕組みになっており、クーポン発行店から見れば大幅な値引きしても一定以上の需要を確保して仕入れの無駄をなくす(応札が定数に達しなければ、仕入れをしない)ことができる。値引きクーポンの発行理由としてはほかに、閑散期の稼働率を上げる、トライアル体験を通じて新規顧客獲得、出血大サービスによる知名度向上などがあるようだ。

 購入者の立場では、従来型の共同購入では共同購入参加者が少なければ応札者は高額な支払いとなるが、上記の方法では設定数に達しなければ購入はできないものの、支払いもないので気軽に参加できる。価格も一定(通常はお買い得)なので、ソーシャルメディアで共同購入を呼び掛ける際にもアピールしやすい。

 「グルーポン型」「グルーポン系」とも呼ばれるグルーポンの仕組みは優れたビジネスモデルといえるが、そのすべてをフラッシュマーケティングの定義と理解する必要はないと思われる。一般に、期間限定・数量限定などの販売条件を付与して「いま買わないともう買えない」「早く買わないと売り切れる」と消費者心理に緊急性を抱かせる手法を「アージェンシーマーケティング」という。フラッシュマーケティングは、アージェンシーマーケティングに強い情報伝播力を持つソーシャルメディアを組み合わせたものといえるかもしれない。

 フラッシュマーケティングは「特定のタイミングならば安く提供できる」「ある期限までに、すべての在庫を一掃したい」といった商品やサービスの販売に向いている。航空(定期便)、ホテル、レストラン、パックツアー、レンタカー、スポーツやコンサートのチケット販売のように、商品(座席や客室、チケットなど)の在庫を持ち越せず、売れない(空席になる)くらいなら大幅に値下げしても席を埋めた方がよいビジネスは、フラッシュマーケティングとの相性がよいと思われる。

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