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» 2011年08月03日 12時00分 公開

レポート ITパフォーマンスイベント:クラウド時代のITインフラに必要なソリューションとは? (2/3)

[五味明子,@IT]

“シンプル&セキュア”がこれからのデータセンターのキーワード

 ベンダセッション第2弾はジュニパーネットワークス フィールドマーケティング本部 ソリューション・マーケティング・マネージャー 小川直樹氏による「シンプルこそがクラウド・インフラの最適化の鍵」だ。

ジュニパーネットワークス フィールドマーケティング本部 ソリューション・マーケティング・マネージャー 小川直樹氏 ジュニパーネットワークス フィールドマーケティング本部 ソリューション・マーケティング・マネージャー 小川直樹氏

 クラウド活用が本格化し始めた現在、クラウドを支えるデータセンターは可用性、コンプライアンス、事業継続性などを担保するさまざまなインフラを求められる。またグリーンITやワークスタイルの変化など、社会のニーズも多様化しており、ITが果たす役割も大きく変化しつつある。

 小川氏は「社会が大きく動いている今、ネットワークもまた進化を遂げなくてはならない」と語り、これまで3階層が定番だったスイッチレイヤが「フラットなネットワーク階層に変わるとき」だと強調する。外部からの要求が多様化/複雑化するからこそ、ITはシンプルであるべき、というジュニパーネットワークスの考えがここに表れている。

 ジュニパーネットワークスは現在、データセンターのネットワークを3階層のレガシーネットワークから2層構造へと変換するべく、L2/L3を1つの筐体で実現する同社の「QFablic」ソリューションを推進している。だが、同社の最終的な目標はネットワークの2層構造化ではなく、全てのスイッチが相互に接続するファブリックなネットワークだ。「The Stratus Project」と名付けられたこの取り組みは、同社はのネットワークオペレーティングシステム「Junos」をベースにしており、「データセンター間をシンプルかつセキュアにクラウド上で接続するもの」(小川氏)として注目を集めつつある。

 そのファブリックネットワークの特徴は、

  • シンプル&セキュア
  • 物理&仮想環境
  • モバイル&ワイヤレス

にあると小川氏は説明する。「モバイルの普及で物理的なデバイスの数は爆発的に増加し、さまざまなデバイスによりさまざまな場所からアクセスが行われる。また、仮想化は、管理しなくてはならないサーバの数を増やすことにつながった。ネットワークを取り巻く環境は非常に厳しく、その中で可用性やセキュリティを保つのは非常に困難。だからこそ中心となるデータセンターのインフラはシンプルであるべき。これを実現するのがJunosであり、ファブリックネットワークだ」と言う。

 特に物理環境と仮想環境のセキュリティを統合して提供するソリューションはまだ少ないが、ネットワークアプリケーションプラットフォーム「Junos Space」であれば、「従来に比べて5倍以上セキュアな仮想環境を実現できる」(小川氏)とその堅牢さを強調する。

 「シンプルこそがITを最適化する」と小川氏は繰り返す。「これからの企業ネットワークは、クラウドの有効活用、仮想化や集約技術によるシステムの統合、そしてモバイルデバイスへの対応を含む拡張性と柔軟性の考慮が重要になる。日々抱えている課題とITコストを擦り合わせたとき、自然と“シンプルでセキュアなネットワーク”が最適解になるはず」。ネットワークがシンプルになれば、その運用も、アプリケーション開発もシンプルになり、新たなエコシステムが生まれると言う。それこそがジュニパーネットワークスが提唱する“The New Network”の創出であり、目指すところだ。

クラウド導入のタイミング、BCP/節電ブームの今がそのとき!

 ベンダセッションの第3弾は、NTTコミュニケーションズ ビジネスネットワーク事業部 中山幹公氏による「クラウドの導入は今がそのとき」だ。

NTTコミュニケーションズ ビジネスネットワーク事業部 中山幹公氏 NTTコミュニケーションズ ビジネスネットワーク事業部 中山幹公氏

 同氏は、3.11の東日本大震災以降、国内で営業活動を行う全ての企業にとって喫緊の課題となっている「BCP」と「節電」をクリアするためには、「社員の在宅勤務環境の構築とクラウドサービスの活用を今すぐ検討するべき」と語る。

「在宅勤務環境もクラウドサービスも、3.11以前から導入を検討していた企業は多いはず。もともと必要なサービスであるなら、始めるのは今を置いて他にない。BCPや節電が大きく注目されているこの機会に、ぜひとも取り組んでみてほしい」と呼び掛ける。

 在宅勤務環境の構築は、BCPや節電対策のみならず、ワークスタイルの変化やコスト削減効果という要素も相まって、この夏、多くの企業が導入を検討し、実施に踏み切っている。だが、実際に在宅勤務環境を構築するに当たっては、企業として絶対に外せないポイントがあると中山氏は指摘する。それが“セキュリティの担保”だ。

 自宅で作業するためにノートPCやUSBメモリを持ち帰った従業員が、帰宅途中でそれらを紛失するというのはよく聞く話である。また、ファイル共有サービスを利用して自宅のPCで作業していたら、Winny経由のウイルス感染で情報漏えいしてしまったというのもよく聞く話だ。中山氏はこういった望まない結果を防ぐためのサービスとして、「情報の持ち出しが必要なく、また自宅PCにも情報が残らない“リモートデスクトップ”」を勧める。

 NTTコミュニケーションズが提供する「Bizデスクトップ Pro」は、同社が提供するクラウドサービスの総合ブランド「BizCITY」の1つだ。オフィスで使用しているデスクトップPCの環境を、自宅のPC上でもそのまま再現できるクラウド型の仮想デスクトップサービスである。

 リモートデスクトップの導入による在宅勤務制度の確立は、節電にもBCPにも多くのメリットをもたらす。まずは節電の面から。Bizデスクトップ Proでは、オフィスのPCの電源を入れておく必要がないため、オフィスのIT機器による消費電力を大幅にカットできる。また、出社する従業員が少なくなれば、空調や照明に使われる電力も低減する。さらには、通勤に伴う社会全体の電力削減にも貢献することにつながるのだ。

 BCPの観点からも効果は大きい。「震災の次の週、計画停電で社員の通勤が困難になったというケースが非常に多かった。今夏以降はこういった事態をリスクとして認識しておく必要がある」と中山氏。在宅勤務環境が整っていれば、自宅からでも業務を継続することが可能になる。

 節電やBCPだけではなく、生産性への影響も少なくない。今夏は節電のため、電車もオフィスも空調の温度設定が高めに設定されている。長い通勤時間を暑い電車で過ごし、暑いオフィスで業務を行えば、どう考えても生産性は低下するが、在宅勤務環境が整っていれば、こうした状況を可能な限り減らすことが可能だ。

 良い事ずくめに聞こえる在宅勤務だが、では肝心のセキュリティはどのように担保されるのか。

 Bizデスクトップ Proの最大の特徴は、仮想PCの“画面情報だけ”を二重に暗号化(SSL/RDP)された回線を通して転送するシステムであることだ。「自宅のPCには一切の作業データが残らない。印刷もできない。プリントスクリーン機能なども無効。当然ながら従業員によるアプリケーションのインストールもできない」(中山氏)。逆に言えば、自宅のPCに入っていないソフトウェアでも、クラウド上の業務サーバに入っているものであれば、自宅PCからでも利用できるのだ。「例えば、iPadなどのタブレットからでも、Officeを利用することもできる」。言わば、“仮想化デスクトップ”を徹底して極めたシステムなのだ。

 「認証に必要なUSBメモリを挿せば、どこからでも、どんなPCからでも業務を行うことができる」(中山氏)というBizデスクトップ Pro。クラウドサービスであるため導入にも時間がかからず、また、それぞれの企業の要望により細かく対応可能なカスタマイズ版も用意されている。在宅勤務環境の構築を今すぐ始めるのに適したサービスと言えるだろう。

 Bizデスクトップ ProのほかにもBizCITYブランドには数多くのクラウドサービスが用意されている。仮想サーバホスティングサービスである「Bizホスティング」、オンラインストレージサービスの「Bizストレージ」、世界No.1のシェアを誇るSaaS型CRMサービスSalesforceとコラボレーションした「Salesforce over VPN」などだ。いずれもクラウドのメリットである「始めたいときにすぐ始められて、やめたいときにはいつでもやめられる」や「利用の増減に応じて柔軟にリソースを変更できる」というフレキシビリティを生かし、節電/BCPにおいても多くの実績を持つ。

 中山氏は「クラウドサービスは、プライベートクラウドとパブリッククラウドに分けられることが多いが、BizCITYのサービスはその中間に位置するイメージだ」と語る。通信事業者が提供するサービスであるため、ユーザーから寄せられるセキュリティへの信頼度は非常に高い。一方で、バックボーン直結で帯域フリーで接続できるという導入の容易さやコストパフォーマンスの高さも併せて備えている。

 節電やBCP対策の重要性は夏が過ぎても変わることはない。また、在宅勤務制度もワークスタイルの変化に伴い、これからさらに普及していくことだろう。いま必要なら、いま始めるべき。その実現を助けてくれるのがクラウドだ。その手始めとして、導入のしやすさ、効果の高さから考えると、仮想デスクトップサービスは十分に検討に値するサービスと言えるだろう。

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