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» 2011年11月17日 00時00分 公開

プラットナー氏とシッカ氏にHANAを聞く:HANAで10万倍の高速化を実現したヨドバシカメラ

[大津心,@IT]

 独SAPは11月15日、中国北京において「SAPPHIRE NOW in Beijing」を開幕。今回は、SAP共同創業者のハッソ・プラットナー(Hasso Plattner)氏と同社CTO ビシャール・シッカ(Vishal Sikka)氏に話を聞く機会を得た。

OLTPに対応したことで幅が広がり、導入しやすく

 プラットナー氏は、北京に来た感想として「飛行機から見たところ、非常にゴルフ場が増えていたので驚いた」「自転車が大幅に減って、代わりに自動車が増えていた」といった点を挙げ、北京の猛烈な発展に驚き、中国の更なる発展を感じたという。

 インタビューの話題の中心は、やはりインメモリDB「SAP HANA」だ。基調講演でプラットナー氏が説明したように、HANAは2011年11月に最新バージョン「HANA 2.0」が発表され、OLAPだけではなくOLTPにも対応した。

両氏写真 SAP 共同創業者 ハッソ・プラットナー氏(左、同社 CTO ビシャール・シッカ氏(右。両氏は仲良く掛け合いをしながらHANAについて熱く語っていた

 プラットナー氏は、同氏が創業時から目指した「Realtime Business」を実現するためには現在のRDBがボトルネックになっていると感じ、RDBを根本的に変えるために開発したDBがHANAだという。このコンセプトの下、さまざまなデータソースに対応し、オラクルやIBM、マイクロソフトなどの他社DBと接続し、DWHとして機能することでより効果を発揮する。

 「今回のバージョンアップでOLTPに対応したことで、HANAの幅が大きく広がった。従来OLAPにしか対応していなかった際には、分析用DBとしての役割が主だったものだったが、OLTPに対応したことで、業務用DBの代替として機能できるようになった。さらに他社DBにも対応しているので導入障壁は非常に低くなり、従来DBとの併行運用も可能になったことから導入期間も大幅に減った」(プラットナー氏)

 実際、すでにHANAの導入を決めた三井情報は、同社が従来から行っていたガン研究におけるゲノム解析と、創薬開発プロセスの化合物データ解析にビッグデータ分析を活用する実証実験の着手を決定。非常に短期間での導入を目指しているという。

企業に浸透しているSQLへの対応がHadoopとの違い

 シッカ氏は、Hadoopとの違いを指摘する。データの急増により、Hadoopのような大量データの分散処理技術は注目を集めている。「Hadoopとの大きな違いはSQLへの対応だ。Hadoopは基本的にnon-SQLだ。追加ソフトを利用すればSQLに対応可能とも言えなくはないが、処理能力が大きく落ちる。その点、HANAはSQLに対応している。SQLは既存企業で広く使われている言語。HANAの目的からして、SQLを無視することはできない。この点が大きく異なるだろう」(シッカ氏)。

 また、プラットナー氏はHANAのコストメリットについても言及した。

 HANAは、HPやIBM、富士通などからアプライアンス製品として出荷されているが、低価格な汎用サーバを中心に、大規模サーバまでラインナップが豊富な点も特徴だ。「メモリ価格の下落も後押ししているが、HANAのアプライアンス製品の価格は非常に魅力的だ。従来であれば、数千万円するようなDWHを購入していた企業が、その数分の1のコストで同様の効果を出せるだろう。この原因には、従来型製品の場合、開発コストがかかっている点が挙げられる。このようなコストメリット以外にも、さらにHANAを採用することでシステムの戦略自体も変えることができる点は大きい」(プラットナー氏)と説明し、コストメリットだけでなく、システム構築設計自体を変更できるメリットにも言及した。

10万倍の高速化を実現したヨドバシカメラ

 また、シッカ氏は嬉しそうに笑いながら、HANAが実力を発揮した例として、ヨドバシカメラの事例も紹介した。ヨドバシカメラは、HANAのアーリーアダプター。500万人を超える同社のポイントカードユーザーの解析などに利用しているというが、注目すべきはそのスピードだ。シッカ氏によると、従来3日間かかっていた解析が、HANA移行後は3秒程度で実現し、約10万倍の高速化を実現したというのだ。

 ヨドバシカメラは、小売業の先駆けとして1995年にSAPを導入。その後もオープン化やディザスタリカバリ、処理件数増への対応と継続して投資をしてきたという。同社の場合、年末商戦などの混雑期には1日に30万人以上の顧客が来店し、処理量も大幅に増加する。

 一方で、顧客のニーズは複雑化し、サービス拡充も求められる。さらに近年ではオンラインショッピングのニーズも高まっている。このため、バッチ処理に頼らないリアルタイムでの処理が求められるようになったという。このような経緯からHANAを導入。上述のように10万倍の処理速度を実現した。

 プラットナー氏もシッカ氏も、ヨドバシカメラの事例は非常に気に入っているようで、講演内でも何度も紹介していた。「ヨドバシカメラの事例は、まさに“Realtime Business”を実現したケースと言えるだろう」(プラットナー氏)。

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