Oracle OpenWorldに見る“ビッグデータの潮流”レポート Oracle OpenWorld(2/2 ページ)

» 2012年04月13日 12時00分 公開
[@IT情報マネジメント編集部,@IT]
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大量データが社会の共通基盤に

 なお、本イベントではオラクル製品のユーザー企業による事例セッションも数多く開かれた。中でも、ソフトバンクテレコム クラウドサービス開発本部 ビジネス推進室 室長 立田雅人氏と、ドワンゴ ニコニコ事業本部 企画開発部 佐藤哲也氏によるセッションは、“ビッグデータの潮流”を実感させられるものだった。

 ソフトバンクでは現在、「情報革命」というビジョンを掲げ、「クラウドコンピューティングを核に据えた、次世代社会基盤の実現」を目指してビジネスを展開している。このビジョンの実現に向けて、現在はモバイル事業や法人向けクラウドサービス「ホワイトクラウド」を中心にビジネスを展開しているが、これらを支えるデータ基盤としてOracle Exadataを活用。このDWHシステムで処理するデータ量は、1日当たり60億件以上にも上るという。

ソフトバンクテレコム クラウドサービス開発本部 ビジネス推進室 室長 立田雅人氏 ソフトバンクテレコム クラウドサービス開発本部 ビジネス推進室 室長 立田雅人氏

 一方、ドワンゴでは、コストやデータ保全性などの観点から、「ニコニコ動画」に登録されている動画データをオラクルのNFSストレージアプライアンス製品「Sun ZFS Storage Appliance」に順次移行しているが、現在、約750万の動画、約36億のコメントという膨大なデータを保有しているという。

 だが、データとは営利企業のサービスを支えるためのものだけではない。「例えば、社会インフラを飛び交う大量の情報をリアルタイムに捕捉・活用することで、渋滞解消など、社会生活を豊かにすることができる」(ソフトバンクテレコムのセッションで立田氏とともに登壇した日本オラクル 製品事業統括 ディレクター 首藤聡一郎氏)。

 そのためには、大量・多様なデータを集約し、さまざまな用途で利用できるようにするための、“社会基盤としての情報プラットフォーム”が必要となる。「この実現の鍵となるのが、クラウドコンピューティングや、高速データ処理、データ分析、データマネジメントといった技術」(首藤氏)なのだ。

日本オラクル 製品事業統括 ディレクター 首藤聡一郎氏 日本オラクル 製品事業統括 ディレクター 首藤聡一郎氏

 このように俯瞰すると、クラウド、ビッグデータという言葉が、単なるいっときだけのバズワードではなく、企業や社会の今後の在り方に直結していることが分かる。もちろん、過去にあったものと同じような事柄でも新鮮な語感で包み、新しいものであるかのように表現するのが得意なIT業界だ。今後、言葉は変わっていくかもしれない。

 だが、「大量・多様なデータを共通のプラットフォームに集約し、さまざまな用途で利用する」といった基本概念はしっかりと残り、今後の社会を支える軸となっていくのではないだろうか。そんな期待を抱くと同時に、クラウド、ビッグデータを活用した情報基盤構築に社会が向かいつつある中で、企業が生き残る上では、そうした動きに取り残されないだけのITの選択眼と強い主体性が、一層強く求められるようになるのではないか??そのような思いを強く持った今年のOracle OpenWorldだった。

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