プロセスのマネジメントは、誰が担うのか?:BPTrends(5)(2/2 ページ)
今日の企業は、何らかの形でマトリックス構造を持っている。そうした中でプロセス再設計チームが注意すべきは、ビジネスマネージャから理解と支援を受けることだ。
2種類のマネジメントの交わり
綿密に計画されたプロセス再設計プロジェクトならば、2種類のマネジメントが相互に交わるだろう。残念ながら、これまであまりにも多くのプロセス再設計・改良プロジェクトが、単純にコアプロセス活動にフォーカスし過ぎて、プロセスマネージャがそのプロセスを効果的かつ効率的な方法で完遂するために必要となる日々担当すべき重要な役割を無視してしまっていた。
この点はゲリー・ラムラー(Geary A. Rummler)が強調しており、彼がアラン・ブレーシュ(Alan P. Brache)と1990年に執筆した著書「Improving Performance」※によく書かれている。ラムラーは、欠陥プロセスに関する彼の研究により、プロセスマネージャの振る舞いを変更する方が、そのほかの可能な変更よりも、より大きな効果をもたらすと結論付けた。
【参考書籍】
※邦訳「業績改善の技法--部門と部門を効果的に結ぶ3レベル分析」ゲリー・A・ラムラー、アラン・P・ブレーシュ=著/高橋りう司=訳/ダイヤモンド社/1993年
業務効率が目標を達成しているか未達成かについて何らフィードバックを受けていないことが原因で業務効率の悪い従業員を考えてみよう。あるいは、高い業務効率に対して、何ら報酬を与えたり、促進したりしないマネージャだ。さらに悪い場合は、プロセスのパフォーマンスのために必須の業務について監視する良い方法を見いだせずに、その結果、いつ業務が目標を達成していて、いつ目標を達成していないか、まるで分かってもいないマネージャはどうだろう!
優れたプロセス分析においては、必ず実行されるべき業務を検討し、それが現在、どのように実行されているかを分析しなければならない。そして、プロセスに責任のあるマネージャが、どのようにプロセスの効率を向上しているのか、あるいは抑制しているのかを検討すべきなのだ。
より多くの企業がプロセスへの道を歩み始めようとしていた1990年代、プロセスマネージャの役割を理解していた企業はほとんどなかった。マネージャは、機能的に方向付けられており、営業や生産に責任を与えられていた。彼らは、さらに大きなビジネスプロセスの上流や下流に対して、何らの義務も持っていなかった。彼らのボーナスは、機能的または部門的な達成度のみに基づいて決められ、バリューチェーンのようにより大きなプロセス全体における成功には依存していなかった。1990年代の典型的なマネージャは、単にプロセスの観点を持ち合わせていなかったのだ。
今日までにリーディングカンパニーは、主にBPMグループがビジネスマネージャにプロセス責任に関する教育を実施することにより、ビジネスマネージャのプロセス責任を定める長い道のりを歩んできた。すでに示したとおり、現在のマネージャはしばしば二足のわらじを履き、機能的な役割とプロセス上の役割の両方を果たすインセンティブを与えられている。このような組織において、マネージャは、主として彼らがマネージするプロセスのフローを定義する支援を得て、プロセス活動を効果的に監視できる具体的なパフォーマンス尺度を持ち、その数値に対する責任を持っている。
ビジネスマネージャがプロセスマネージャとして機能するように教育している企業においては、プロセス再設計チームが欠陥プロセスを分析する際、自然にプロセスマネージャの役割と従業員の業務の両面からの評価に焦点が当たる。
ビジネスマネージャをプロセスマネジメントの観点で教育してこなかった企業では、ビジネスプロセスの再設計を課せられたマネージャたちに大きな問題が押し寄せている。欠陥プロセスの発生や維持に果たすビジネスマネージャの役割を無視するのは、政治的な側面で容易となる場合が多い。しかし、このアプローチはしばしば、プロセス再設計・改良プロジェクトを失敗させる原因となる。再設計チームは最低限、現場と協業しなければならないのだ。
プロセスが効率的に動くのは、日々マネージしているビジネスマネージャたちが、自分がプロセスマネージャであるとして理解し、正しく振る舞った場合に限られる。賢明なプロセス再設計マネージャは、再設計プロセスを効率的に機能させるためにビジネスマネージャが必要な役割を理解することが重要であると知っている。これは継続的なチャレンジではあるが、リーディングカンパニーと賢明なプロセス再設計マネージャは、ビジネスマネージャの支援と改善を得ることが必要であり、それによって徐々に成功に近づくということを理解しているのだ。
では、また。
ポール・ハーモン
Original Text
Harmon, Paul: "The Management of Processes." Email Advisor, Business Process Trends, Volume 4, Number 14, July 25, 2006.
著者紹介
ポール・ハーモン(Paul Harmon)
ビジネスプロセスに関する情報提供を行うBusiness Process Trends(BPTrends)の創立者/エグゼクティブエディター。Enterprise Alignmentの創立者/チーフコンサルタント。
訳者紹介
吉川昌澄(よしかわ まさずみ)
ウルシステムズ株式会社 ディレクター。
- 「ビジネスとITが出合う場所」のために何が必要か?
- BPMプロジェクト成功の鍵[6] - 継続的改善活動
- BPMプロジェクト成功の鍵[5] - 分析・把握・発見
- BPMプロジェクト成功の鍵[4] - 支援獲得と実行組織
- BPMプロジェクト成功の鍵[3] - ROIの検討
- BPMプロジェクト成功の鍵[2] - 推進組織と機会特定
- BPMプロジェクト成功の鍵[1] - コアアプローチ
- ビジネスプロセス改革と3つのイノベーション
- BPMに求められるプロジェクトマネジメント・スキル
- 第3のプロセス - マネジメントプロセスとは何か?
- BPMのビジネスケースづくり − BPMベネフィット・チェックリスト(後編)
- BPMのビジネスケースづくり - BPMベネフィット・チェックリスト(前編)
- プロセスのマネジメントは、誰が担うのか?
- BPMの神秘を解明する
- BPM市場のこれからを読む
- CEOはどう考えるか
- ビジネスプロセスの標準規格
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.