東日本大震災以降、組織間の危機管理の格差というものがかなり開いてきているように見受けられる。本気で取り組んでいる組織は、企業・自治体を問わず、トップも現場も真剣になって、何度も訓練を行い、課題を洗い出し、より高度な危機管理体制を目指し努力を続けている。一方で、危機管理マニュアルやBCPを作ったものの、その後、まったく運用ができていない、訓練ができていないという組織も多い。
どうしたら組織全体が本気になれるのか、皆が協力してくれる仕組みを築けるのか、効果的な訓練・演習ができるのか、実効的な危機管理体制を構築することができるのか?数々の災害対応に取り組んできた2人のスペシャリストに聞く。
秋冨 慎司 氏
岩手医科大学岩手県高度救命救急センター・助教。2003年千里救命救急センターチーフレジデント。2006年済生会滋賀県救命救急センター医長。その後東京大学救急部集中治療部を経て2008年より現職。2005年のJR福知山線脱線事故での医療活動にあたり、2011年3月11日の東日本大震災では岩手県災害対策本の医療班の陣頭指揮を執るなど、災害医療のプロフェッショナルとして数々の災害対応の現場を経験してきた。
熊丸 由布治 氏
東京都町田市生まれ。1980年、在日米陸軍消防署入隊。 2006年、日本人初の在日米陸軍消防本部統合消防次長に就任。企業などの危機管理アドバイザーとしても活躍。 在日米軍では、ファイアーファイターオブザイアーを受賞。米陸軍本部より優秀功労民間人賞、全米陸軍より大規模消防署部門年間最優秀消防署賞を受賞するなど活躍。過去2年間で危機管理や特殊災害に関するセミナーの講師90回、受講者数はオンライン、オフライン含め1万6000人を超える。
中澤 幸介 氏
新建新聞社取締役「リスク対策.com」編集長。報道記者、支局記者を経て、2007年5月に「リスク対策.com」を創刊。企業や自治体の危機管理やBCPの取り組みの事例を数多く取材。
リスク対策.com
リスク対策.comは、2007年に創刊した国内で唯一の危機管理とBCPの専門誌です。企業や自治体の事業継続計画、危機管理の取り組みなど豊富な事例に加え、学識者インタビュー、専門家の寄稿などさまざまなコンテンツを紹介しています。