仮想化、クラウドが浸透した現在、柔軟で迅速なビジネスインフラ整備を洗練させるべく、多くの企業がハイブリッド環境の一元管理や、プライベートクラウド環境の実現に関心を寄せている。こうしたなか、オープンソースでそうした環境整備を実現できるとして、OpenStackが注目を集めている。では、OpenStackは本当に企業で安定的に使えるのだろうか?OpenStack導入において、留意すべき点としては何があるのか?システム運用の利便性とともに信頼性が厳しく求められる企業ITにおいて、OpenStackはどのような可能性をもたらしてくれるのか?
その実態と導入の留意点を、「オープンソース・クラウド基盤OpenStack入門」の著者であり、OpenStackトレンドの最前線にいる、レッドハットの中井悦司クラウドエバンジェリストと、CTCクラウドプラットフォーム事業グループOpenStackユーザー会の中島倫明会長が、アイティメディアの三木泉エグゼクティブエディターとの鼎談を通じて、客観的な見地から明らかにする。
中井 悦司 氏
予備校講師から転身、外資系ベンダーでLinux/OSSを中心とするプロジェクト、および問題解決をリードする傍ら、多数のテクニカルガイド、雑誌記事などを執筆。その後レッドハット株式会社に移り、エバンジェリストとして企業システムにおけるLinux/OSS活用の促進に注力。最新の著作「オープンソース・クラウド基盤 OpenStack入門」では、OpenStackの本格活用に向けた第一歩となる技術的基礎を解説している。
中島 倫明 氏
1978年生まれ。CTCにてクラウドサービスの企画開発に従事し、OpenStack上で稼働する「Real Application Centric Kernel」を開発している。幼少のころからコンピュータに慣れ親しみ、90年代前半には自宅で3Dゲームを嗜み“ポリゴン酔い”に悩まされていた。修士課程において半導体の製造システムに関わる基礎研究を行うなかで、ハードを使いこなすためのソフトウェアに強く興味を持ち、ソフト方面の会社へ就職。入社から7年間は半導体製造業のシステムを担当し、LinuxをはじめとするOSSに関する基礎技術を身につける。その後、サーバ仮想化・ストレージを中心としたサーバ統合・コンサルティング等の業務を経て現在に至る。2012年より日本OpenStackユーザ会会長を務める傍ら、一般社団法人クラウド利用促進機構の技術アドバイザーとしてOpenStackとクラウド技術の普及・啓蒙・人材育成のため活動中。著書は「オープンソース・クラウド基盤 OpenStack入門 構築・利用方法から内部構造の理解まで」。
山際 高志 氏
1985年に株式会社西友へ入社、無印良品店舗に配属。1990年、株式会社良品計画へ出向し1992年に転籍。この間店舗店長、販売部、商品部、流通推進担当(物流)などを歴任する。2005年に情報システム担当へ移った後、2010年現在のWeb事業部へ異動、現在に至る。
近年の企業の関心は、ネットワークの設計や構築、運用を、ソフトウェアで柔軟に設定できるようにする取り組み「SDN(Software Defined Networking)」に集まっている。また、SDNをはじめ、同様な「Software Defined X(ソフトウェアで定義されたx)」にはさまざまな種類がある。企業は何を選び、どう使えば幸せになれるのだろうか。
システムインテグレータ、運用保守のほか、クラウドサービス事業者でもあるユニアデックスは、そんな今話題のSDxについても日々試行錯誤し、その結果をクライアントへの提案や構築や運用に活かしているという。そんなユニアデックスの取り組みはもちろん、その裏側までをエヴァンジェリストの高橋優亮氏が解説する。
高橋 優亮 氏
10歳で職業プログラマデビュー後あらゆるソフトウェアを書き散らかし、22歳で日本ユニシスの社内人材育成担当に。毎日構成の変わる30セグメント以上の研修センタの管理をするうちに、インフラの魅力にひきこまれユニアデックスに転籍。仮想化基盤上のミッションクリティカルシステムを企画・実装・運用し、5年以上の無停止運用を達成。現在は経験を生かし技術をわかりやすく説くエヴァンジェリスト☆タカハシとして活動中。