
ビジネスシーンにおける「長年の経験に基づく勘や自信」は大切な感覚であり財産です。しかし、重要な場面になればなるほど、直感よりも「正確なデータ、客観的なデータを求められる」ことが増えてきます。「それってあなたの感想ですよね」──。そう言われる前に「データ」で客観的に示し、相手を納得させ、信頼を勝ち取る。これがデータドリブンの考え方の基礎です。データドリブンの考え方を取り入れることで、デジタルデータに基づく客観的な根拠を提示できます。
この記事では、「2025年の崖」およびデータドリブンの概要、その重要性、実践手順などを解説します。データドリブンについて知りたい方や活動のの説得力を高めたい企業や担当者はぜひ参考にしてください。
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目次
データドリブンの基礎知識
まずはデータドリブンの意味や注目される背景、重要性について説明します。
データドリブンとは?
データドリブン(Data Driven)とは、データに基づいて判断や行動をすることを意味します。日本語ではあまり使われませんが「データ駆動」などと訳されます。コツやカン、これまでの経験といった流動性のある感覚に頼るのではなく、客観的な「デジタルデータ」を軸に動くことがポイントです。
ビジネスシーンでは、収集したデータを分析して経営に生かす「データドリブン経営」や顧客データから販売戦略を考える「データドリブンマーケティング」などの手法として用いられています。
データドリブンな意思決定がビジネスで注目を集める背景には、主に2つの理由があります。
1つ目は、ネット社会の進化とともに消費者の価値観や行動も多様化したことで、従来の経験やカンに基づくアプローチはもう難しくなっていることです。消費者向けの広告チャネルとしても、昭和時代からある新聞やチラシ、テレビ、ラジオ、街の看板などだけでなく、Web広告からレビューサイト、メールマガジン、SNS、ネット口コミなどにも広がり、一般化したように、特にインターネットとスマートデバイスを通じた商品と顧客の接点が格段に増えています。そんな顧客が何を見て購入に至ったのか、どのようなニーズがあるのかといった顧客心理をカンや経験といった自己の感覚のみで把握するのは……もう困難と言えます。
2つ目の理由は、テクノロジーの進歩によってデータを活用する基盤や技術のレベルが上がったことです。ERP(基幹システム)やSFA(営業支援システム)、CRM(顧客管理システム)といったIT製品とともに、データの収集と一元管理が可能になり、「正しい最新のデータ」を軸に傾向や状況の可視化や分析といった検証もできるようになりました。データは「事実に基づいている」ため、適切な分析を行った上での判断は経営上のリスクも低減できます。
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データドリブンの重要性
データドリブンが昨今のビジネスシーンで重要視されている理由は、事実に基づくデータで根拠のある経営判断や施策が行えることにあります。
データドリブンを取り入れた経営やマーケティング活動では、例えば顧客の心理や好みまでデータから把握したり、その行動パターンを詳細に分析することで効果的なマーケティング施策を打ち出せたりします。仮に初回が失敗したとしても、再度データで失敗した原因を分析し、予測や仮説から考え直して改善するサイクルを回すような、次の施策にも生かせます。
もし、データではなく主観的な感覚だけに頼る経営施策ではどうなるでしょう。成功しても、失敗しても、「なぜそうなったのか」の理由を明確にできません。ビジネスにおける再現性を高めることは難しいといえます。
このようにデータドリブンを経営に取り入れるかどうかは、「企業の意思決定の精度」に関わる重要なポイントとなるといえるでしょう。
データドリブンの実践
データドリブンの実施手順は、主にデータ収集、分析、活用の3段階に分かれます。以下で詳しく見ていきましょう。
- 1. データ収集
- 2. データ分析
- 3. データの活用
(1)データ収集
データドリブンを用いた戦略を展開するには、分析の目的に沿った「データの収集」から始めます。収集するデータの例としては、在庫数や販売数、売上高といった販売データ、購入履歴、年齢といった顧客情報のデータなどが考えられます。
ここで必要になるのはデータを収集し、蓄積し、一元化できるデータ基盤、あるいはその機能を備えるIT製品です。前述したERP、SFA、CRMのほか、MAツール、名刺管理システム、販売管理システム、受発注システム、シフト管理システム、勤怠管理システム、会計システム……など多くのIT製品に含むといえます。
例えば企業の経営資源を一元管理するERP製品は、営業活動、販売情報、顧客情報から会計、経理、人事といった情報も含めてデータの収集と一元化を実現できます。
また、顧客管理に重きを置いたCRM、営業活動の効率化を担うSFAなども企業活動と成長に必要不可欠となるデータを収集し、管理します。新たなデータ基盤を整えることの他に、自社で既に収集されているデータをどう生かすのかを改めて考えることもデータドリブンの戦略において必要となるでしょう。
(2)データ分析
収集したデータは、整理して問題解決に向けて「分析」します。分析する際のポイントは「差異」「傾向」「時系列」の3つの視点からデータを見ることです。
・差異
差異分析は、データをグループやカテゴリごとに分けて、データのまとまり同士の違いを見ます。
具体的な分析手法として、クラスター分析やCTB分析などがあります。
参考おすすめ記事CRM分析とは? 分析手法の基礎の基礎、成果を“すぐに”出す効果的な方法
・傾向
傾向分析は、データをフローや分岐、因果関係などのフレームワークを用いて体系立てることで、全体や特定の部分についてどんな傾向があるか、などを見ます。
具体的な分析手法には、回帰分析や決定木分析(デシジョンツリー)などがあります。
・時系列
時系列分析は、データを時間軸で区切り、その時点で起こったできごとや将来起こり得ることに着目します。
具体的な分析手法として、タイムシリーズ分析が挙げられます。
(3)データの活用
分析結果から、解決したい問題や目的に対する仮説を立てて、具体的なアクションプランを作成し、実行していきます。
例えば、顧客の購買履歴や性別、年齢といったデータを分析した結果から「特定の商品に興味を持ちそうなグループ」を抽出して、その集団へキャンペーンのメールを狙い撃ち送信するといったことです。「パーソナライズマーケティング」と呼ばれる戦略の1つです。
データを分析するだけでは成果にはなりません。行動に移すことではじめて「データドリブンな」マーケティングあるいは経営戦略であるといえるでしょう。
アクションの実施後もその成果データを収集し、分析して、再計画し、再実行していくことを繰り返す「PDCAサイクル」を回すことで、継続的な改善・成長を目指していけます。
「2025年の崖問題」とは? データドリブンの未来と課題
DXの必要性やITの発展を受けて、データドリブンの需要は高まっていくでしょう。ここでは、データドリブンが重要とされる背景と課題、その未来について解説します。
2025年の崖問題
データドリブンの考え方は、「2025年の崖問題」と密接な関係があります。
2025年の崖とは、日本で「DX(Digital Transformation)の停滞」による業務効率や競争力の低下、経済的損失について経済産業省が警鐘を鳴らす意味で用いた言葉です。
経済産業省は企業のDX化に関し、2022年の「DXレポート2.2(概要)」で「デジタルで収益向上を達成するための特徴」について以下の指針を示しています。
・経営者は、ビジョンや戦略を示すだけでは不十分であり、社員が新しい仕事のやり方や働き方に順応できるように、判断の拠りどころとなる行動指針を示さなければならない。
・DXにおける競争優位性は、製品やサービス中心ではなく、顧客志向を徹底することにある。その際には、顧客行動をデータでどれだけ可視化(再現)できているかが差別化要因になる。
・同じく、DXにおける競争優位性は、個人単位の強みに頼るのではなく、組織レベルで集積されてこそ発揮されるものである。その際には、組織や業務を横断してどれだけ広範囲にデータが共有され、活用できているかが重要である。
端的には、DXを満たすにはデータドリブンのプロセスである「データを根拠」として活用し、分析する取り組みを「組織として」行うことが重要と説明されています。
また、データドリブンは昨今発展が著しい「AI(Artificial Intelligence:人工知能)」と連携することでその活用シーンはさらに広がります。データドリブンの分析結果を人間だけではなく生成系AIに読み取らせて客観的な予測を立てたり、人間の想像とは違う観点からビジネスアイデアを提案したりといった活用が期待できるでしょう。
データドリブンの課題と解決への近道
データドリブン経営を推進する大きな壁として、「環境」と「人材」という2つの課題が挙げられます。
1つ目の課題は、「データを活用できる環境が整っていない」ことです。会社自体としてデータ活用への積極的な姿勢、体制が欠けているケースや、分析ツールのみ導入、あるいはデータが各部署に散在している状況などが含まれます。
経営層や管理職が「根拠に基づく意思決定」の重要性をあいまいに理解したまま推進しても、形骸化した取り組みに終わってしまうかもしれません。先に挙げた経済産業省の「DXレポート」でも指摘されているように、データドリブンを浸透させるには、その目的やメリットを正しく理解し、全社的な業務プロセスに落とし込める環境を適切に整備することが不可欠です。
2つ目の課題は、「データを活用できる人材がいない」ことです。
たとえ立派なデータ基盤があっても、それを使いこなすスキルや手段がなければ成果は期待できません。従来、データドリブンの実践にはデータサイエンティストやデータアナリストといった専門職の採用、あるいは社内人材の長期的な育成が必要で、それには多大な時間とコストがかかると考えられてきました。
しかし、現在はこうした人材不足の課題をIT製品や外部サービスの活用によって「補佐」「補完」「支援」「自動化」できる環境が整っています。
自社だけで全ての専門性を補おうとするのではなく、以下のような「外部の力を遠慮なく借りる」ことが、データドリブン実現への大きな近道となります。
- IT製品の活用: 複雑な分析工程を自動化、あるいは直感的な操作で支援してくれるツールの導入
- ベンダーの支援: デジタル化やツールの定着を伴走型でサポートするパートナーの活用
- マッチングサービスの利用: 自社の課題に最適なベンダー選定を支援するサービスの活用
「自前で全てを賄う」という考え方から脱却し、最新のIT製品や外部の専門知見を遠慮なく取り入れる柔軟な姿勢こそがデータ活用のスピードを加速させる鍵となるでしょう。
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データドリブンは「意思決定の精度」を高める経営層に必須の視点
データを基に判断や行動するデータドリブンは、昨今の企業、ビジネスパーソンに重要な考え方です。コツやカンではなく「なぜその判断に至ったのか」を客観的なデータで示すことで、説得力を高めます。知識不足や勘違い、思い込みなどによる判断ミスなども防ぎます。
そのプロセスには、ERPやSFA、CRMといったITシステムやツールが有用です。システムやツールの分析機能は製品によって異なるため、自社にどんな機能が必要なのか製品ごとの機能や特徴を知ることから始めましょう。
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