
企業の経営資源である「ヒト・モノ・カネ・情報」を一元管理し、経営の効率化と迅速な意思決定を支援するERP(Enterprise Resource Planning/基幹システム)。多くの企業で導入が進む一方、「どの製品を選べば自社の課題を解決できるのか」「導入で失敗したくない」といった声は少なくありません。
また、ERPと一口に言っても、今や小規模企業やスタートアップでも導入しやすいクラウド型製品から、国産/海外製、大規模企業向け製品まで、昨今は幅広く膨大に製品の選択肢があります。数多くの製品・システムがある中で、優れた機能や特徴で利用者から高い評価を得ているのはどの製品なのでしょうか。今回はクラウドERP製品のユーザー満足度ランキング TOP10(2025年7月版)をご紹介します。
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機能で比較「クラウドERP」おすすめ製品一覧
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ERPとは?
ERP(Enterprise Resource Planning)は、日本語で「企業資源計画」と訳され、企業の基幹業務を統合的に管理し、経営資源を最適化するためのシステムおよびその概念を指します。具体的には、これまで部署ごとに個別で管理されていた「会計」「人事給与」「生産」「販売」「在庫購買」などの情報を、1つの大きなデータベース(統合データベース)に集約します。これにより部門の垣根を越えたスムーズなデータ連携と情報活用を実現します。
この1ページで解決!ERPの主な機能、メリット/デメリット、選定ポイントを徹底解説

クラウドERPの主な機能と役割
ERPシステムが担う役割は、企業活動の根幹を支える多岐にわたる業務を網羅することです。主な機能として以下のものが挙げられます。これらの機能が有機的に連携し、リアルタイムに情報を共有することがERPの最大の役割と言えるでしょう。
- 会計管理機能
- 人事給与管理機能
- 販売管理機能
- 生産管理機能
- 在庫購買管理機能
会計管理機能
財務会計や管理会計など、企業のお金に関する情報を一元管理します。日々の伝票入力から月次・年次決算業務の効率化、資金繰りの可視化までを実現。経営判断に不可欠な財務状況を正確かつ迅速に把握できます。
人事給与管理機能
従業員の入社から退職までの人事情報、勤怠、給与計算、社会保険手続きなどを管理します。人事評価や人材育成のデータ活用基盤としても機能し、戦略的な人事施策の立案をサポートします。
販売管理機能
見積もり、受注、売上計上、請求、入金管理といった一連の販売プロセスを管理します。在庫情報と連携することで、過剰在庫や販売機会の損失を防ぎ、営業活動の効率化に貢献します。
生産管理機能
主に製造業で利用され、生産計画、部品表(BOM)管理、工程管理、原価計算などを担います。需要予測に基づいた最適な生産計画の立手伝い、製造プロセスの最適化を実現します。
在庫購買管理機能
原材料や商品の在庫状況をリアルタイムに把握し、適正な在庫水準を維持します。需要に応じて発注・仕入プロセスを自動化し、欠品や過剰在庫のリスクを低減させ、キャッシュフローの改善に繋げます。
クラウドERPの導入による【会社・管理部門】へのメリット
ERPの導入は、経営層や管理部門に計り知れない恩恵をもたらします。単なる業務効率化ツールに留まらず、企業全体の競争力を高める経営基盤となるためです。ここでは、特に会社全体や管理部門が享受できるメリットを解説します。
- 経営状況のリアルタイムな可視化:各部門のデータがリアルタイムで統合され、経営層はダッシュボードで常に最新の経営状況を把握できます。これにより、変化の兆候をいち早く捉え、迅速で的確な意思決定が可能になります。
- 意思決定の迅速化と高度化:手作業で時間を要した会議資料の作成が、レポート出力機能により自動化されます。会議準備の時間が大幅に短縮され、精度の高いデータに基づく議論が可能となり、意思決定の質とスピードが向上します。
- 内部統制とコンプライアンスの強化:操作ログの記録や厳密なアクセス権限設定により、不正リスクを低減し内部統制を強化します。また、インボイス制度などの法改正にもシステムの自動アップデートで迅速に対応でき、コンプライアンス遵守を効率的に維持できます。
- 業務プロセスの標準化と効率化:ERP導入を機に業務プロセスを標準化し、属人化や部門間の非効率な連携を解消します。全社で統一された業務フローが組織全体の生産性を向上させ、将来の事業拡大にも対応できる強固な基盤を構築します。
- ITコストの削減と運用の最適化:部署ごとに乱立していたシステムをERPに統合することで、ITインフラをシンプルにし、全体の保守・運用コストを削減します。特にクラウド型ならサーバー管理も不要となり、情報システム部門の負担を大幅に軽減できます。
- サプライチェーン全体の最適化:販売・在庫・生産管理機能のシームレスな連携により、サプライチェーン全体を最適化します。受注から在庫への情報反映が即時に行われ、リードタイムの短縮と欠品リスクの低減を実現し、顧客満足度と収益機会の向上に貢献します。
クラウドERPの導入による【従業員・担当者】へのメリット
ERP導入のメリットは、経営層や管理職だけのものではありません。むしろ、日々の業務を行う現場の従業員・担当者こそ、その効果を大きく実感できる立場にあります。ここでは、現場レベルで感じられる具体的なメリットに焦点を当ててみましょう。
- 単純作業からの解放と生産性の向上を実現する:データ転記や二重入力といった単純作業をなくし、担当者を非生産的な業務から解放します。これにより、従業員はより付加価値の高い創造的な仕事に集中でき、組織全体の生産性が向上します。
- 部門間のスムーズな情報共有を促進する:部門間の問い合わせや確認作業といったコミュニケーションコストを削減します。必要な情報がシステム上で権限に応じて共有されるため、部署の垣根を越えたスムーズな連携が実現します。
- データに基づいた正確な業務遂行を可能にする:勘や経験に頼った業務から脱却し、誰もがリアルタイムの正確なデータに基づいて作業できる環境を構築します。これにより業務の精度が向上し、個人のスキルに依存しない安定した業務品質を維持できます。
- ペーパーレス化を推進し、多様な働き方を支援する:見積書や申請書などの帳票を電子化し、ペーパーレス化を推進することでコストと手間を削減します。また、クラウドERPなら場所を選ばずシステムにアクセスできるため、テレワークなど多様な働き方を支援します。
- 法改正への対応負荷を軽減する:インボイス制度などの複雑な法改正に対し、ベンダーがシステムの自動アップデートで対応します。これにより、担当者は法令対応の負担から解放され、本来のコア業務に専念することが可能になります。
- スキルアップやキャリア形成に貢献する:単純作業から解放され、システムを通じて自社の業務全体を俯瞰する視点やデータ活用スキルが身につきます。データに基づく戦略的な業務経験は、個人の市場価値を高め、キャリア形成にも繋がります。
「ERP」製品満足度ランキング【2025年7月版】
※本ランキングと製品満足度は
のデータを利用しています。2025年7月時点
案件収支管理システム プロカン 無料トライアルあり
詳細と利用者の口コミを見るプロジェクトごとの収支管理に特化したクラウド型ERP。IT・広告・制作業界などに向けて、案件の見積から予実管理、会計連携までを一元管理。見やすいダッシュボードで経営状況を可視化し、業務効率化を支援する。
クラウド型 国際会計&ERPサービス GLASIAOUS (グラシアス)
詳細と利用者の口コミを見る海外拠点を持つ企業の経営管理を支援するクラウド型国際会計・ERP。多言語・多通貨・複数基準に対応し、世界各国の税制や商習慣に準拠。海外拠点の状況をリアルタイムに可視化し、グローバル経営をサポートする。
RobotERPツバイソ 無料トライアルあり
詳細と利用者の口コミを見る自動化とベストプラクティスを重視した新しい時代のクラウドERP。ワークフローやRPA、API連携を活用し、手作業を削減。Salesforce環境へのインストールも可能で、強力な管理会計機能により経営判断を支援する。
(4) Oracle NetSuite
詳細と利用者の口コミを見る会計・ERP、CRM、Eコマースなど企業の主要業務を単一のシステムに統合したクラウド型ビジネス管理ソリューション。全部門の情報を一元化することで、リアルタイムな経営状況の可視化と迅速な意思決定を実現する。
(5) MA-EYES 無料トライアルあり
詳細と利用者の口コミを見るプロジェクト管理と勤怠管理を連携させ、案件ごとの正確な損益管理を実現するERP。柔軟なカスタマイズ性で自社の業務フローに合わせた導入が可能。プロジェクトに関わるヒト・モノ・カネの情報を一元管理し、経営を支援する。
(6) クラウドERP ZAC 無料トライアルあり
詳細と利用者の口コミを見る広告・IT・コンサルティングなどプロジェクト型ビジネスに特化したクラウドERP。案件の見込段階から売上・原価・工数までを一元管理し、プロジェクトごとの収支を可視化。業務フローの標準化により内部統制も強化する。
(7) FutureStage
詳細と利用者の口コミを見る製造業に特化した基幹業務ソリューション。「自動車部品」「金属部品」「一般機械」といった特定業種の商習慣に対応した機能を標準搭載。各分野の有力な製品・システムとシームレスに連携し、製造現場のDXを推進する。
(8) KikanTree(キカンツリー)
詳細と利用者の口コミを見る企業の業務フローに合わせて必要な機能をパーツとして組み合わせ、不足分を追加開発する中小企業向けの基幹システム。ゼロから開発するより低コストで、パッケージ製品では対応しきれない独自の業務にも柔軟に対応できる。
(9) SDJsシステム
詳細と利用者の口コミを見る建設業や産業廃棄物処理業に特化したクラウドERP。手書きやExcelでの管理から脱却し、日報・予実・原価管理といった業務をデジタル化。業務効率化を通じて、従業員の給与向上と企業の成長を支援することを目指す。
(10) Progress-One 販売管理
詳細と利用者の口コミを見る販売・生産・在庫・購買など基幹業務に必要な機能をモジュールとして提供するソリューション。必要な機能だけを個別に導入可能。セミオーダー開発の思想で、業種特有の要件にも柔軟なカスタマイズで対応できる。
成功へつなぐクラウドERPシステム選定のチェックポイント
- 導入の目的と自社のビジネスプロセスを明確にする
- 拡張性、カスタマイズは可能か/どこまで可能か
- 他システム(会計・人事など)との連携がスムーズか
- 法令対応(インボイス・電子帳簿保存法など)が十分か
- 無料トライアル期間があるか
要件定義|導入の目的と自社のビジネスプロセスを明確にする
最も重要な最初のステップは、「何のためにERPを導入するのか」という目的を明確にすることです。目的が曖昧なままでは製品選定の軸がぶれてしまい、多機能ながら自社ノニーズに合わない高額なシステムを導入してしまうといった失敗に繋がりかねません。例えば、「経営状況を可視化したい」「バックオフィス業務を30%効率化したい」「法改正に迅速に対応できる体制を7月までに作りたい」など、できるだけ具体的に言語化していくとよいでしょう。
その上で、現状の業務プロセスを洗い出し、「どこに課題があり、ERPでどう解決したいのか」を整理します。この「As-Is(現状)」と「To-Be(理想)」のギャップを埋めることが、ERP導入のゴールとなります。このプロセスを丁寧に行うことで、自社に必要な機能や要件がクリアになり、製品比較をスムーズに進めることができます。
おすすめSaaS導入前に考慮しておくべき3つのポイント

拡張性、カスタマイズは可能か/どこまで可能か
企業の成長や事業環境の変化に、システムが柔軟に対応できるかは非常に重要なポイントです。将来的に事業拠点の追加や、新たな事業の開始、取扱品目の増加などが想定される場合、ERPにもそれに応じた拡張性が求められます。
多くのクラウドERPは、標準機能に加え、必要な機能を追加できる「アドオン」や「オプション」を用意しています。また、業界特有の商習慣や自社独自の業務プロセスのような独自・固有の要件に向けてカスタマイズできる特徴を持つ製品も多くあります。
ただし、過度なカスタマイズは追加コストやアップデート時の不具合の原因にもなり得ます。標準機能でどこまで対応でき、カスタマイズが必要な場合はどの程度の開発が可能か、その際の費用や制約はどうか、という点をベンダーに詳しく確認しましょう。
おすすめコンポーザブルERPとは? 柔軟な業務基盤を実現する新しいERPの選択肢
他システム(会計・販売管理など)との連携がスムーズか
すでに社内で利用している特定の業務システムもおおくあることでしょう。それらとERPがスムーズに連携できるか、あるいは融合できるかどうかを確認します。
例えば、営業部門で導入しているCRM(顧客関係管理システム)やSFA(営業支援システム)、ECサイトの管理システムなどとERPの販売管理機能が自動でデータ連携できれば、業務効率は飛躍的に向上します。
連携の手段としては、システム同士をつなぐ「API(Application Programming Interface)」が用意されているかは基準の1つとなります。API連携の実績が豊富な製品であれば、比較的スムーズな連携が期待できるでしょう。導入を検討しているERPが現在利用中のシステムと連携可能か、過去に連携実績はあるかといった点を確認しましょう。
【調査レポート】経営者の7割が失敗する「SaaS導入」 回避すべき落とし穴とは?

法令対応(インボイス・電子帳簿保存法・労働関連法など)が十分か
近年のビジネス環境において、法改正への迅速な対応は企業にとって必須の要件です。例えば、2023年10月に開始されたインボイス制度や、改正が続く電子帳簿保存法、労働基準法、消費税法、個人情報保護法、会社法、下請代金支払遅延等防止法、マイナンバー法……など、数多くの法令に適切な対応・順守する必要があります。
クラウドERPの大きなメリットの1つは、こうした対応および法改正に対して製品ベンダー側が対応し、システムの機能をアップデートしてくれる点にあります。
その一方で、対応スピードや内容はベンダー、製品によって異なる可能性はあります。例えば、インボイス制度における適格請求書の発行・保存要件や、電子帳簿保存法における電子取引データの保存要件(真実性の確保・可視性の確保)に、システムがどのように対応しているのか、といったように、具体的な機能や操作方法まで踏み込んで確認することが重要です。
無料トライアル期間があるか
IT製品の導入において、欲しい機能は「仕様/対応している」として載っていたけれど、実際に使ってみると操作しにくかった、機能が乏しかった、自社の業務シーンとは適合しにくかった、など理想・希望と現実が違っていたことは……実は想像以上に多くあります。
クラウド型/SaaS型製品には無料で気軽に試用できる「無料版(デモ版、無料トライアル版)」を用意する製品もかなりたくさん存在します。この無料トライアルを活用して実際の機能、UIや操作感を確かめると、導入後の運用イメージがグッと具体的になります。多くの場合、資料請求後に無料トライアルダウンロードの案内があります。無料版はぜひ遠慮なく活用することをおすすめします。
この無料版で、必要となるカスタマイズ性や既存システムとの連携のしやすさ、サポート体制などの情報も確認し、本当に自社の運用フローに合致したソリューションかを見極めていくとよいでしょう。
関連無料で使えるERP 11選|オープンソース(OSS)型とクラウド型の違い
クラウドERPシステムランキングのまとめと今後のトレンド
本記事では、クラウドERP製品のユーザー評価ランキングを軸に、ERPの基本知識から、導入によるメリット、そして自社に最適な製品を選ぶための具体的なチェックポイントまでを解説しました。ERPは単なる業務効率化ツールではありません。企業のあらゆる情報を一元化し、経営の可視化と迅速な意思決定を促すことで、企業そのものの競争力を高める「経営基盤」です。
今後は、AI(人工知能)を活用した需要予測の自動化や、専門知識がなくても業務アプリを開発できるノーコード/ローコードツールとの連携など、ERPはさらに進化していくと予測されます。
ランキングや本記事で紹介した選定ポイントを参考に、ぜひ複数の製品の資料を取り寄せ、無料トライアルなどを活用しながら、貴社の未来を共に創るパートナーとして最適なERPを見つけ出してください。
流行の「(ビジネス向け)AIツール」についてはこちらもぜひご覧ください。
おすすめ【ビジネス向け】AIツールおすすめ50選 種類別のサービス/製品と自社に合ったAIツールの選び方を紹介
もし「自社に合うIT製品・サービスが分からない」「どう探せばよいのか分からない」とお困りでしたら、あるいは「おすすめ製品・ベンダーを紹介してほしい」「詳しい人に聞きたい・相談したい」希望がありましたら、適切なIT製品・サービス選定に詳しい専門スタッフに聞ける・相談できるITセレクトのコンシェルジュ相談サービスをぜひご利用ください。(無料です!)
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