
日々の受発注業務において、十分気を付けているにも関わらず「発注ミス」が起こってしまうことがあります。特に繁忙期や人手不足のときはヒューマンエラーが発生する可能性が高くなります。発注ミスは、金銭的、工数的な損失があるだけでなく、その後の機会損失や自社の信頼失墜にもつながります。
本記事では、発注ミスが発生してしまう主な原因を改めて確認し、ミスが起きた際の初動対応フロー、今日から使える発注前チェックリスト、そして根本的な再発防止につながる受発注システムの活用ポイントまで具体的に解説します。
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目次
発注ミスの種類|まずは「どのミスか」を切り分ける
発注ミス対策は、原因を深掘りする前に「どのタイプのミスか」を切り分けると、打ち手が早く決まります。自社で起きやすいパターンを確認してみてください。
- 誤発注(品番・仕様違い):似た品番の選択ミス、マスター未整備、確認不足など
- 数量ミス:桁違い入力(10個→100個)、在庫差異、単位(箱、本、ケースなど)の取り違えなど
- 発注漏れ:担当不在、引き継ぎ漏れ、口頭運用による失念など
- 重複発注:情報共有不足、履歴が追えないことによる複数担当の並行作業など
- 納期ミス:リードタイムの誤認、繁忙期の前倒し不足、取引先との認識ズレなど
タイプを特定できると、チェックすべき項目や承認ポイントが絞れます。受発注システムを検討する場合も、必要な機能(通知、履歴管理、マスター管理など)が見えやすくなります。
発注ミスが起こる原因と影響
情報の誤認や確認漏れ、管理体制の不備などといった、発注ミスが発生する主な原因とその影響を紹介します。
発注ミスが起こる主な原因
発注ミス防止の対策を講じるためには、発注ミスが起こる原因やシチュエーションの傾向を知ることが重要です。発注ミスのよくある原因は以下の通りです。
- 情報の誤認、確認漏れ
- データの管理体制が徹底していない
- 業務の属人化が発生している
- 整理整頓されていない労働環境
- 人手不足
- 担当者の健康トラブルやストレス
- コミュニケーション不足
- 社員教育の不足
情報の誤認、確認漏れ
発注業務が煩雑化すると、ヒューマンエラーによる情報の誤認や確認漏れが起こりやすくなります。例えば、電話対応時の聞き間違いによる発注ミスや、文書の読み間違いによる発注ミスなどが挙げられます。また、発注内容の入力や転記ミス、FAX、メールの送付に問題があり発注ミスに至ることもあります。
データの管理体制が徹底していない
受発注データが社内で正しく管理・共有できる体制になっていない場合も発注ミスにつながります。特に、口頭や一時的なメモで情報を伝達している業務体制ではかなりリスクがあるといえ、注意が必要です。聞き間違いやメモの紛失により、発注ミスにつながる可能性があります。「データ」として明快かつ適切に管理し、伝達する体制を整えておかないと人的ミスの根本的な解決は難しいといえます。
業務の属人化が発生している
発注業務が属人化している状況も発注トラブルにつながります。例えば、担当者不在の際に「●●さんに言った」「大丈夫と言われたから」(これは●●さんしか分からないことだ……)(●●さんがいないと重要なことが分からない……)などといったことはないでしょうか。担当者の休暇や長期休職、退職の際に適切に引き継ぎを行う体制とともに、普段から発注業務の標準化を進めて属人化を根本から解消することが大切です。
整理整頓されていない労働環境
職場の整理整頓が行き届いていないと、発注業務に必要なメモや書類を紛失したり、別のデータを参照してしまったりします。その結果、発注ミスにつながることがあります。物理的な環境だけでなく、パソコン内のフォルダ整理やファイル命名のルールも同じように重要です。
人手不足
人手不足によって、発注業務に割く時間や労力を十分に確保できないというケースもあります。このようなケースでは、「コア業務の合間に発注作業を進めている」という場合が少なくありません。チェックするための労力や時間がきちんと確保できないため、ミスの防止ができないのです。
担当者の健康トラブルやストレス
発注担当者の心身に不調があり、発注ミスにつながる可能性も考えられます。例えば、疲労やストレスが原因で発注担当者が発注数を10を100と押し間違えてしまい、必要量の10倍の商品を誤って発注してしまうケースが挙げられます。
このような人のちょっとしたケアレスミスが発注ミスにつながった場合、それを単なる個人の問題として扱うのではなく、組織全体としての課題と捉え、対策を講じる必要があります。業務量の見直しや調整、相談窓口の設置といった取り組みを実施して従業員の健康を守ることが、発注ミスの改善にもつながります。
コミュニケーション不足
顧客の要望を正確に理解できていなかったり、伝達できていなかったりするケースです。また、伝えたつもりが認識のズレが発生している可能性もあります。「齟齬が生じにくい連絡ツールを導入する」「注文内容や数量、納期などの情報に認識のズレがないかチェックする体制にする」といった対策を実施しましょう。
社員教育の不足
社員教育が不十分で発注ミスにつながっていることも考えられます。教育やトレーニングの時間を十分に確保できていないと、間違った知識や認識、フローなどが従業員の間に定着してしまいます。その結果、発注ミスをはじめとするトラブルに発展するのです。
発注ミスによる主な影響
発注ミスによる悪影響も多岐にわたります。例えば以下のトラブルや不都合が発生するでしょう。
×機会の損失
発注ミスが発生すると、事業に必要な商品や材料、部品などが揃いません。顧客に適切な商品やサービスを提供できなければ、売上の機会が失われます。そして売上の減少にもなります。
×顧客満足度の低下
発注ミスによって顧客へのサービス・商品納品が遅れたり、機会損失が重なったりすれば、顧客の信頼も失います。
「必要なサービスを受けられない」「欲しい商品が揃っていない」「ここより他の方がいい」などとネガティブな印象を持たれてしまいます。昨今はSNSなどの発達によって、そんなマイナスな評判が他の顧客に伝わっていくことも早くなっています。
×業務負担の増加
発注ミスをすることで、再発注作業に加え、誤って届いた材料や部品の返品作業、関係者への報告と謝罪などの業務負担が増えてしまいます。工数が圧迫されるだけではありません。「これ以上発注ミスを起こすわけにはいかない」と担当者の心理的負担も大きくなります。緊張感を持って作業を進めることは大切ですが、それが過度なストレスならば大きな業務負担につながってしまいます。
×在庫リスク
発注数量を誤ると、欠品だけでなく過剰在庫も起こり得ます。不要な在庫を抱えると、保管コストや廃棄ロスにつながるため注意が必要です。
発注ミスが発覚したら|初動フロー(30分以内・当日中・翌日)
どれだけ対策をしても、ミスをゼロにするのは簡単ではありません。万が一ミスが発覚したときは、素早い報告と連絡、相談が被害を小さくします。ここでは「30分以内」「当日中」「翌日」に分けて、現場で動きやすい流れを整理します。
30分以内:事実確認と「止血」
ミスに気づいたら、まずは状況を正確に把握し、被害が広がらないように手を打ちます。
- 現状確認:発注内容(品番、数量、納期)と、現在の進捗(未処理、出荷準備中、出荷済)を確認する
- 取引先への連絡:電話でキャンセルや変更が可能か、条件(締切時間、キャンセル料、返品可否)を確認する
- 社内報告:上司や関係部署へ即座に共有し、影響範囲(納期遅延、在庫不足など)も合わせて伝える
当日中:代替案の提示と合意形成
謝罪だけで終わらせず、現実的な代替案を用意すると調整が進みやすくなります。
- 代替策の検討:代替品の手配、分納、他社からの緊急調達などを検討する
- 取引先への謝罪と相談:迷惑をかけた取引先へ、対応案(いつ納品できるか、代替品があるか)とセットで伝える
翌日:再発防止の「原因メモ」を残す
収束後は、同じミスを繰り返さないための材料を残します。ここを飛ばすと、忙しさに流されて同じパターンが再発しやすくなります。
- 原因の特定:入力ミス、承認漏れ、マスター不備など「なぜ起きたか」を短く言語化する
- 対策の決定:すぐできる暫定策(チェック項目追加など)と、恒久策(フロー変更、システム導入など)を分けて決める
発注ミスを事前に防ぐ方法と対策
発注ミスを予防するためには、職場環境の整理や作業工程の見直し、チェック体制の強化といったアクションを実践することが大切です。ミスを事前に防ぐためのポイントを、以下でご紹介します。
発注前チェックリスト(そのまま使える例)
個人の注意だけに頼ると、忙しいときほど漏れやすくなります。確認作業を「手順」にして残すために、チェックリストを用意しておくと安心です。
| チェック項目 | 確認ポイント例 |
| 品番・仕様 | 型番末尾、色、サイズ、規格の取り違えがないか |
| 数量 | 単位(個、箱、ケースなど)は合っているか、桁違いがないか |
| 在庫・引当 | 実在庫と予約済み(引当)を加味しているか |
| 納期 | リードタイム、配送休業日(土日祝)を考慮しているか |
| 単価・条件 | 価格改定、最低発注ロット、送料条件の変更がないか |
| 送信先 | FAX番号、メール宛先、CC漏れがないか |
| 承認 | 金額など社内規定の承認条件を満たしているか |
(1)職場環境の整備
整理整頓が行われていない職場では、発注に必要な書類やメモを紛失しやすくなります。また、モノが多く雑然としている場所では、多数の視覚的情報が視界に入ってくるため集中力が低下します。必要なものをすぐに取り出せない、どこに収納しているかわからない、といったことも起こり得ます。その結果、ヒューマンエラーが起こり、発注ミスにつながる可能性があるのです。整理整頓は、モノの分別・処分を行う「整理」、モノの収納場所を決めて片付ける「整頓」の順で進めると良いでしょう。
(2)作業工程の見直し
発注業務における作業フローを可視化し、見直すことも効果的です。フローを可視化することでミスが起こりやすい工程を洗い出せるようになり、対策を立てやすくなります。不要な工程や形骸化している工程があれば、それらをカットするといった対応が可能です。また、各工程のやることが明確になることで、業務の属人化も防げます。
(3)チェック体制の強化
可視化したフローをもとに、工程ごとのチェックリストを作成しましょう。チェックリストがあれば、抜け漏れしやすい工程を確認しやすくなります。また、複数人によるチェック体制を整えることも大切です。二重チェック体制を導入したり、承認プロセスを構築・見直したりすることで発注ミスを防げます。
(4)適切な情報共有体制の構築
社内の情報共有体制を見直しましょう。例えば、受発注データをリアルタイムで反映・管理できるツールを導入するという方法があります。受発注データをいつでも確認・編集できるツールを導入することで、情報の伝達漏れを防げます。情報が錯綜することも防げるため現場の混乱も抑えられ、発注ミスの防止につながるでしょう。
(5)人員の補充
「人員不足である」「担当者の数と受発注の業務量が見合っていない」という場合は、従業員の業務量を把握したうえで、人員を補充・配置しましょう。発注業務担当者の負担が軽減されます。
担当者の負担が軽減されれば、心身の不調からくる発注ミスやその他のヒューマンエラーも防止できるようになります。採用や教育コストを踏まえたうえで、補充計画を立てることが大切です。タイミングや業務量によっては、発注作業をアウトソーシングサービスするという手もあります。
(6)受発注システムの導入
「受発注システム」を導入し、発注業務を根本から効率化、自動化を進めます。受発注システムは、いつ・何を・どのくらい受発注するのかを管理できるシステムのこと。発注管理機能と受注管理機能の両方を搭載しており、発注作業だけでなく受注作業も効率化できます。
受発注システムを選定するときは、自社の業種や規模、セキュリティ面などの要素も忘れずに考慮するようにしましょう。
発注ミス対策に「受発注システム」の導入がおすすめできる理由
発注ミス対策の一環として、受発注システムがどのように役立つのか、大きな利点を紹介します。
- 人的ミスを減らせる
- 情報を共有しやすい
- 業務フローを可視化でき、状況を把握しやすい
- ペーパーレス化による効率化を進めやすい
- アラートや履歴で「うっかり」と原因追跡を支えられる
○人的ミスを減らせる
受発注システムによって、発注書の作成や送信といった作業を定型化および自動化できます。手動で入力する項目が減ることで、書き損じや入力ミスなどのヒューマンエラーを予防できます。
手書きではないことで字や数字の読み間違いも発生しにくく、確認の手間も省けます。発注にかかる業務量を削減できるため、従業員の身体的・心理的負担の軽減につながり、心身の不調やストレスからくる発注ミスも防止できるでしょう。
○情報を共有しやすい
発注・受注作業の進捗状況をはじめ、金額や仕入れ内容、在庫状況などの情報を簡単に、正確に共有できるようになります。正確な情報を把握ことで、適切な数量の商品や材料が発注可能になるほか、情報の誤認や行き違いなどから起こる現場の混乱も減らせます。行程や情報を一元化し、統一することで、属人化の解消も実現できます。
○業務フローを可視化でき、状況を把握しやすい
受発注システムでは、発注から納品、支払いといった一連の業務フローを可視化できます。これによって発注業務のスケジュール管理がしやすくなり、余裕をもった対応が可能になります。「業務フローの全体像が掴めずボトルネックがわからない」「余裕をもって発注業務をこなせずケアレスミスが多い」といったケースに有効です。
○効率化とコスト削減が進む
システム上に受発注に関するデータを保存でき、ペーパーレス化を促進できます。紙やインク代などの費用をカットでき、職場の収納スペースも節約できます。コストカットにつながるだけでなく、情報が整理整頓され「発注業務に必要なメモや書類の所在がわからない」といったトラブルも防止できます。
○アラート機能で「うっかり」を防ぐ
多くの受発注システムでは、発注ミスを減らすための入力制御や通知が用意されています。
- 必須項目が埋まっていないと発注できない
- 通常の発注量とかけ離れた数量が入力されたら警告が出る
- 発注点が近づくと通知され、発注漏れを防ぎやすい
こうした仕組みがあると、忙しいときでもミスに気づきやすくなります。
○履歴が残り、原因の特定と改善につなげやすい
「誰が、いつ、何を注文したか」が記録として残るため、万が一ミスが起きても状況を追いやすくなります。言った言わないの行き違いを減らし、改善策を決める材料にもなります。
発注ミス対策におすすめの受発注システム7選
ここでは、発注ミスの起こり方に合わせて、受発注システムの例を紹介します。自社の課題が「聞き間違い」「転記」「在庫連携」「数量の判断」など、どこにあるかを意識すると選びやすくなります。

















